第43話 プチ旅行その2


御宿駅から安房鴨川までは四十分。やはりボックス席。また二人で並んで座った。

今日も天気が良い。

「隼人、安房鴨川に着いたら鴨川市―ワールドに行ってみたい。駅から二キロ位だから歩いても三十分位だし、良いかな」

「楽しそうですね。行きましょう」


まだ、結構暑い日差しだが、素世さんはしっかりとガードしている。まあ女性だから。


鴨川シーワールドは、海の生き物のアトラクションや水槽で見れる屋外型の大型水族館のようだ。シャチやイルカ、トドやペンギンとアトラクションが有ったが、時間を合せながら見ていたら、あっという間に午後一時になってしまった。


「隼人、お腹空いたね」

「実言うとペコペコです」

鴨川シーワールド出て駅の方に戻ると地元の魚を料理する定食屋さんが一杯有った。

ちょっと高かったけど、思い切り美味しいものを食べれたと思えば安く済んだ感じがする。


その後は、また、民宿に荷物を預けて海岸に降りた。やはりここの砂浜もとても広かった。サーファーが一杯いる。


そんな風景を見ながら素世さんと手を繋いで歩いていると

「ふふっ、楽しいね。隼人とこうして居れるなんて。まだ先の事かと思っていた」

「まだ先の事?」

「う、うん。そう先の事」

「…………」

なんだろう。どういう意味かな。


「隼人、あなたの事好きよ。愛している。もし隼人さえ良ければずっと側に居たい」

「俺も素世さんの事好きです。でも俺なんかで良いんですか」

「いいよ」

「じゃあ、俺の側にずっといて下さい」

「本当。嬉しい。でも私結構嫉妬深いよ。隼人が他の女の子と歩いているだけで焼き餅焼くよ。ちょっと重いかもしれないよ」

「良いですよ。それに他の女の人に心流れないですから。素世さんだけしか見てないですから。それよりも素世さんの方が心配です。優しいし、綺麗だし、スタイル良いし、他の男が言い寄って来たらどうするんですか。俺よりいい奴なんて一杯いますよ」

「大丈夫。隼人しか見えないから」

「それならいいんですけど」


「隼人自信持ちなさい。隼人こそ心配なんだから」

「俺は昔から持てないですから」

「ぷっ、本当にそれ真面目に言っているの。今まで一杯いたじゃない」

「一杯はいないです。それに二人共振られました」

よほど自覚無い男の子だな。

「じゃあ、私が最後の女でいいね」

「はい」


その夜も別々にお風呂に入り、食事をして寝た。…何もしていません。疲れていました。


翌日は、朝食を取ると館山経由で野島崎灯台に向かった。安房鴨川駅から館山駅を経由して大体一時間四十分位で行ける。宿泊は館山。ここはプチリッチにホテルにした。


「隼人、分かっているけどこうやって見ると、地球って丸いのね」

「そうですね。とても大きく感じます」

俺達は、館山駅から一時間弱を掛けてバスで野島崎灯台に来ていた。天気も良く抜群の景色だ。


 この後館山駅に戻りバスで浜金谷から少し歩いて鋸山へロープウエーで登った。もう三時を過ぎていたが、陽は高く問題なかった。めちゃくちゃ綺麗な景色を一望できた。


ホテルにチェックインしたのが、夕方の五時半。ツインのワンルームを取った。でも朝食付きのみなので結構安い。

ここは夕食が付いていないので外の食堂へ。ここでも結構安く地元の物が食べれた。


ホテルに帰ると

「隼人、お風呂は?」

「ここは実言うと温泉が付いているんです。大型のお風呂が有って」

「えーっ、ほんと」

「はい、だからここ選んだんですよ。最後の日だし」

「そっかあ、早速行こうか」

「はい」


男湯と女湯の出口に待ち合わせ場所がある。そこで俺は素世さんが出て来るのを待った。

白いTシャツ一枚にホットパンツ。髪の毛は巻いて上にあげてある。

 顔がピンク色に染まり、唇はリップを付けてもないのに真っ赤。つい見てしまった。


「ふふっ、どうしたの」

「い、いえ」

素世さんがちらりと横にある自販機を見ている。


「隼人の誕生日は七月よね」

「はい」

「じゃあ、もう二十歳ね」

「え、ええ」

「そうか」


素世さんは、自販機コーナーへ行くと小銭を自販機の中に

チャリン、チャリン、チャリン。

ガタン、ゴトン。


「持って」

「えっ、これって」

「そう、ビールよ。三百五十CCだから問題ないわよ」

「い、いや、いや」

「持って!」

「はい」


部屋に戻って、小さなテーブルに椅子が二つ。二人で座ると、テーブルに素世さんがおつまみを乗せた。


「隼人、楽しかったプチ旅行も最後の日。今日は二人で乾杯しましょう」

「は、はい」


プシュ、プシュ


素世さんが美味しそうに飲んでいる。俺も口を付けて見た。

生まれて初めて口にしたビール。苦い。でも三口くらい付き合いで飲んだ。色々話していたけど、素世さん俺の側に来て顔を近づけて

「隼人、しよっか」


…………。

乗せられた。



朝、何か頬に柔らかい物が、ゆっくり目を開けると

「隼人おはよう。良く眠れましたか」

返事をする前に俺の体の上に乗っている素世さん。何も着けてない。柔らかい物の正体は、えっ…………。あっ、いけない。

「ふふっ、もう元気なの」


…………。


素世さん、積極的。帰り大丈夫かな。


俺達は結局チェックアウトぎりぎり十時にホテルを出た。

帰りの電車の中で素世さんは俺の肩で爆睡していた。



―――――


素世さん、結構好きなのかな。でもあの年齢なら普通かな?

何がって。まあ、そんな事です。


隼人に素世さん、楽しい旅行で良かったですね。

次回からは、また大学生活に戻ります。



次回をお楽しみに。


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


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