第34話 年の瀬は賑やかです その2
済みません。前回の一話では終わらなかったので続きます。
―――――
金田達から誘われたミニクリスマスパーティ。金田がカラオケ店のオーナーと知合いで、持ち込みOKで一室借りる事が出来たようだ。
高橋さん、宮崎さん、柏木さんが座り、反対側に俺と金田が座った。何故か、金田は俺との間を一人部屋に入るとテーブルを挟んで両脇にソファが置いてある。奥から高橋さん、宮崎さ分空けて丁度柏木さんの前に座る形になった。
持ち寄ったお菓子とか食べ物がテーブルに並んでいる。飲み物はカラオケ店からオーダーするみたいだ。
取敢えず、全員、炭酸系のオレンジやグレープフルーツジュースを前にすると高橋さんが
「それでは始めましょうか。メリークリスマス!」
「「「「メリークリスマス。カンパーイ」」」」
パチパチパチ。
始まってすぐに、高橋さんが俺に話しかけて来た。受け答えしながら横目でちらりと金田を見ると柏木さんに話しかけている。
「柏木さん。良く来てくれました」
「ありがとうございます」
「柏木さんとお話して見たかったんです」
「はぁ」
「好きな事って何かあります」
「え、えーと、読書とか映画を見る事かな」
「どんな映画を見るんですか」
「えーと、色々とその時流行っているもの見ますね」
「そうなんですか。僕も読書とか映画鑑賞とか好きです」
ここは直ぐに一緒に行きましょうとか聞いてはいけない。うん。ゆっくりと。
「柏木さん、誰かと一緒に住んでいるんですか」
「えーっと、それは……」
なんでいきなりプライベートな事を聞いてくるんだろう。
…………。
「金田君。柏木さんの相手ばかりしていないで」
「えっ、そうかな。皆で話しているよ」
「嘘ばっか」
面白い構図だ。金田は柏木さんに気が有る事は分かっていたが、さっきからべったりだな。まあ、青春ということで。
そう言う俺も先ほどから高橋さんと宮崎さんから話しかけられて大変。
「立花君。どの辺に住んでいるの」
「うん、大学から四十分位かな。でもアパートから駅までと駅から学校まで、それに乗継まで含めると電車自体は二十分位」
「へえー。そうなんだ。今度、優菜と二人で遊びに行ってもいい」
「えっ、い、いやそれはさすがに恥ずかしいというか、ちょっと済みません」
「えーっ、なんで。誰かと一緒に住んでいる訳じゃないでしょ」
「もちろんです」
「じゃあ、いいじゃない」
高橋さん押し強すぎる。
「音羽、さすがにそれは無理だよ。それに知り合ってからまだ日も浅いし」
「優菜。それでは目標達成は遠いよ」
目標達成って何なの?
「うん、でも強いて事を仕損じても。ここはまずはスロースタートで」
「優菜がそう言うなら良いけど。最初が肝心って言葉もあるよ」
この二人何の話をいるんだろう。
ちらりと金田と柏木さんを見ると、さすがに柏木さんが困っていそう。助けるか。
「金田。偶には俺とも話そうぜ。柏木さんだって、高橋さん達と話したいだろうし」
うん。一石二鳥だ。
「そ、そうだな」
「そうだよ。金田君。柏木さん私達と一緒に話しましょ」
「あっ、はい」
良かった。柏木さんも楽しそうに話している。俺はあまり金田と話す事も無いけど仕方ない。
柏木さんが、おトイレに立つと
「僕もちょっと行って来る」
ふむっ、そうだろうなと俺は思った。
僕は柏木さんがトイレから出て来るのを待って声を掛けた。
「柏木さん」
「あっ、金田さん。おトイレですか」
「いえ、ちょっと柏木さんと二人で話したくて」
「話?」
「柏木さん。僕と付き合って貰えませんか」
「えっ、でも……」
「お願いします」
「私、金田さんの事何も知らないし」
「僕の事ならいくらでも話します」
そう言う事じゃないないんだけど。
「うーん。まだ無理です。あまりにも急すぎます。ごめんなさい」
「じゃ、じゃあ。友達からでも」
「とにかく急には無理です」
「……分かりました。僕トイレ行ってから戻ります」
「あれ、柏木さん。金田は」
「えっ、知りませんけど」
「おかしいな」
俺の感が外れた?
金田が帰って来た。下を向いて少しがっかりした感じだ。そのまま高橋さん達の側に座った。なるほど撃沈したか。
「立花君」
柏木さんが俺の側に来た。と言っても向かいには高橋さんと宮崎さんが座っている。
「いつ帰るの」
「帰れない。塾の冬季特訓で休みは全部塾講師する予定」
「えーっ、そうなんだ。また一緒に帰れると思ったのに」
えっ、ここでそれ言う。ほら高橋さんが反応した。
「えっ、なになに。柏木さん。一緒に帰るってどういう事」
「あっ、……」
「柏木さんと俺、同じ高校で同郷なんです」
「えー。そ、そーなんですか。二人ってもしかして付き合っているの」
「い、いやいや。想像とは違います。友達です」
良かった。ナイスフォロー柏木さん。
「そうか。そうか。よかったね優菜」
高橋さん、どういう意味?
宮崎さんが嬉しそうな顔をしている。まさか宮崎さん。立花君の事。
それから、しばらくして、歌を歌う事になった。はっきり言って俺は何も歌えない。知らないし。
「俺全然知らないので、聞くだけにします」
「立花君。全然知らないの」
「済みません。全く知らない世界です」
「そうなんだ。立花君も知らない事あるんだ。仕方ないね。優菜歌おうか」
「うん」
金田、高橋さん、宮崎さん、柏木さんの四人はうまかった。特に宮崎さんの声は有名な歌手の声によく似ていた。
三時間後、お開きになって、カラオケ店から外に出て駅に向かおうとした時、宮崎さんが話しかけて来た。顔を赤くしながら
「立花さん、今度二人で会えないかな」
「えっ。……」
「あっ、急になんてだめだよね。ごめんなさい」
返事も何もしない内に高橋さんの所へ掛けて行った。高橋さんと何か話している。どうしたのかな。
結局、駅でみんなと別れた。午後四時から始めたので、まだ七時。お腹も一杯だし、アパートに帰っても仕方ない。少し、ぶらついて帰りますか。
取敢えず本屋へ行こう。あそこは楽しい。駅から直ぐ近くのデパートの中に入っている本屋へ向かおうとした時、
「隼人」
振向くと素世さんが立っていた。
「あれ、どうしたんですか」
「隼人はどうしてここにいるの」
「ああ、大学の知合いとミニクリスマスしていたんです」
「そうなの」
何か疑われている。
「素世さんは」
「私は、五限に受ける科目が有ったから。その後、友達と話していたらこんな時間になっちゃった。隼人この後、用事ある」
「もう七時ですから。ないですよ。帰る前に本屋でも行こうかなと思っていました」
「隼人、私の部屋に来る」
うーん。明日、明後日素世さんのとこだけど。いいか。
「いいですよ」
「じゃあ、帰ろう」
嬉しそうな顔をして、いきなり手を繋いできた。こんなところで手を繋いだらまずいと思うのだけど。
「素世さん、向こうの駅に着いてから手を繋ぎません。ここだと知り合いがいるかもしれないし。素世さんまずいでしょ」
「ううん全然。隼人ならみんなに知られてもいいと思っているから」
「そ、そうなんですか」
「隼人は嫌なの」
「いえ、そんな事無いですけど」
「じゃあ、良いわね」
はあ、積極的だな。……素世さん、この後も積極的でした。
―――――
金田君、柏木さんの事残念だったね。
しかし柏木さんにとっては新たなライバル宮崎優菜さん。内気そうだけどどうなる事やら。
素世さんはいつもと同じでしたね。隼人、まだ若いから頑張ってね。……なにがんばるんだろう。私も意味不明。
さて、次回からは春先になります。
皆さんご期待の方達も現れます。隼人の心配は的中です。好事魔多し。…ちょっと違いますね。(笑)
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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