11・散々な一日

(1)




……―――何カ月も経ったような気がするけど、やっと次の日になったばかり。




信じられない、まだ次の日だなんて。




だって…、一睡もできなかったんだもの!




眠っていないせいでヒリヒリする目を、ギュッと閉じ、ゆっくりと開けてみた。





「……」





今、あたしは、三年八組の教室の前にいる。




周りには同じクラスの生徒たちがいて、あたしと同じように待っている。




誰かが職員室に行って、教室の鍵を取ってくるのを。




こういう時って、自分から買って出る人は滅多にいない。




誰もが、他の人頼み。




まあ、あたしだって言える立場ではないんだけど。




…ほんと、人間って嫌だな。




昨夜から、その思いが今まで以上に強くなった。




アナ、と心の中で呼んだ。




あなたは「人間の本性は善だ」って書き残しているけど、本当にそうなのかな?




今のあたしには…正直、そうは思えない。




だって、あたしの愛するアナ・パンク自体、人間に殺されたじゃない。




どんなに酷い目に遭わされても諦めず、人間を信じ続けたのに…、




その甲斐なく、彼女は命を奪われたのだ。




そして、あたしの弟――進真も、狂った奴らにことごとく痛めつけられた。





「……」





昨日、結局、朝方までママと話すことになったのだけど――




ベッドに入ってからも、怒りと悲しみが静まることはなかった。




何度も寝返りを打ちながら、隣の部屋にいる弟を思った。




あたしに話して聞かせながら、涙を浮かべていたママを思った。




あたしだって辛いんだから、ママはどんなに苦しい思いをしていることだろう。




進真は…あの子は、ずっとこのままなの?




そういうことを考えると、なかなか寝つけなくて……




この通り、寝不足よ!




ずっとベッドの上でゴロゴロしていたせいで体が痛いし、おまけに頭も痛い。




ああ、なんて最悪な気分…!




学校なんて行きたくない(来てるけど)、行きたくない、行きたくない…




呪文のように繰り返していると。





「職員室に、鍵、無かったんだよね」





いつの間にか取りに行ってくれていたらしい、




学級長の宇佐美真琴うさみまことが言った。




そう、うちのクラスにも学級長はいる。




でも、今まで、その存在を意識したことはあまりなかった。




けれど、今は…




弟が学級長だったということを知って、なんだか他人ではないような気分だ。




宇佐美真琴も、進真のように、相当な苦労をしているのかもしれない…




て、そうそう。




進真って、学級長なんかしてたんだ?




昨日まで知らなかった。




まず最初の驚きだったよね……なんでそんな重要なことを言わないんだか。




ほんと、男って、理解できない。




まあ、弟だから許すけど。





「え、なんで職員室に無いの?」





誰かが疑問を投げかけ、宇佐美真琴は首を傾げた。





「さあ…。昨日、誰が教室に最後までいたんだろう?」





すると、ある人物が口を開いた。





「原口さんよ。昨日、最後までいたのは」





…呼んだ?




顔を上げると、そこには桐島麗華と岡本杏奈がいた。




うわ、朝から…死にそう。




二人の後ろでは、松木さくらが影のように立っている。




もしかすると、昨日のことを気にしているのかもしれない。





『あたしと松木さくらは、友達とかじゃないよ』





でも、事実じゃないの。




それに、あたしは、彼女を助けようと思って言ったんだ。




あの連中との約束を破るわけにもいかなかったし…。





「え…、原口さん?」





宇佐美真琴と数人の女子たちが、驚いたような顔をして、こちらを見た。




…そんなに、みんなで見ないでよ。




安定の挙動不審スイッチが入った瞬間、





「原口さんって、いつも早めに帰るタイプだよね?わたしの知る限りでは」





宇佐美真琴が急に話しかけてきた。





「え…」





あ、そういうことね。




クラス一の陰キャ女子が教室に最後まで残っていたなんて、




驚くべきことというわけだ。




理解したあたしは、とりあえず笑顔を作った。





「あ、そうそう。昨日は最後まで残ったんだ」





…どうか、理由は聞かないでください。




願っていると――





「そうなんだね。珍しいから、ちょっとビックリした!」





宇佐美真琴は笑って言った。





「もしまた残ることがあったら、図書室の近くの休憩場所に行ってみたら?


あそこ、自販機とかもあるし、何より眺めがいいから好きなんだよね。


オススメだから、ぜひ!」




「あ、そうなんだ。じゃあ行ってみようかな…」





そうだ、宇佐美真琴はこういう人なんだった。




あたしのことを陰キャだと、彼女だけは思っていないみたい。




距離を感じさせるような話し方をしないし、




かと言って、馴れ馴れしい態度を取ってくることもない。




去年から同じクラスだけど、




彼女はあたしのことも静かに見守ってくれている気がする。




ちなみに、この子、去年も学級長だった。




しかも、それと同時に、生徒会のメンバーとしても活動していたっけ。




話したことは今までほとんどなかったけど、




あたしの知る限りでは”最強の女子”である。




どうして、こんな高校で骨を埋めようとしているのかね?(勝手な疑問)





「で、原口さん。鍵はどこにやったの?」





そう尋ねてきたのは、桐島麗華。





「昨日、ちゃんと職員室に戻しに行ったんでしょうね?


最後に鍵を触ったのは、あなたなのよ」





その隣で、岡本杏奈がこくこくと頷いた。




いや、そんなこと言われましても…とあたしは思った。




鍵がどこにあるかなんて分からないし、




第一、最後に触ったのはあたしじゃないんだから!




犯人は、あの金髪男…




いや違う、あの分からず屋の末っ子くんだ!





「……」





なんて、言ってごらんよ。




この女たち(桐島麗華&岡本杏奈)、あたしを殺そうとするかもしれない。




昨日の今日だし、それに…




なんだか今日は、いつにも増して殺気立っているような――





「ちょっと、無視する気?なんとか言いなさいよ」





桐島麗華が、こちらに迫ってきた。




鼻にしわを寄せて、あたしを指差しながら言う。





「周りを見てよ。みんな、待ってるじゃない。


なんで、そうやってボーッとしていられるわけ?」





岡本杏奈もこちらにやって来た。





「鍵をどうしたの?まさか、失くした?」





あたしは首を横に振った。




あのKYワガママ男――高橋来登!




と、心の中で叫んだ。




一体、あれから、鍵をどうしてくれたわけ?




九組の鍵と一緒に持って行こうとしてくれていた高橋敬悟から奪い、




自分が持って行くって言ったよね!?




こうなると分かっていたら、自分で持って行ったのに……




やっぱり失敗だった!!




あんな連中を信じようとしたあたしが、バカだったんだ!!!





「ねえ、なに黙ってるの?」





容赦ない、桐島麗華と岡本杏奈。




まるで何か恨みでもあるみたい。




もしかして、昨日、何か思うところでもあったのかな?





「このままじゃ、八組のみんな、教室に入れないじゃない。


いつまでこうして待っていればいいのよ」




「そうよ。探しに行ってくれば?宇佐美さんにばかり任せてないで」




「宇佐美さんに責任を押し付けて、自分は怠けようってわけね。


可哀想じゃない、宇佐美さんが」





…もの凄い、集中攻撃。




この二人、また一段とエスカレートしたんじゃないかな?




そんなことを思っていると、





「わたしのことは気にしなくていいよ!」





宇佐美真琴が間に入ってきた。





「桐島さんも岡本さんも、少し落ち着いて?


そんなに責め立てたところで、話し合いは進まないから。


原口さん、大丈夫だから、気にしないでね」





優しくて、勇敢な人…!




確かに、この子に任せてしまったことは悪かった……




いつも嫌な役を快く引き受けてくれるからって、甘えてしまっていたんだ。





「あ、あの…ごめんね」





あたしが言うと。





「ううん、本当に気にしないで」





女神のような微笑みを浮かべて、宇佐美真琴は言った。





「鍵は、みんなで探そう。きっとどこかにあるから!」




「どこかって、どこよ」





岡本杏奈が口を挟んだ。





「まさか、この高校中を探せっていうの?時間の無駄でしょ」





アンタ、ほんと性格悪い!




意外と桐島麗華よりもね!




けれど、宇佐美真琴は腹を立ててはいないようだ。




至って冷静に、あたしに向かって尋ねてきた。





「職員室以外で思い当たる場所、ないかな?」




「うーん…どうだろう」





宇佐美真琴には申し訳ないのだけど、考えている素振りを見せた。




頭の中では、昨日の記憶が流れていて――




やっぱり人間を簡単に信用してはいけないんだと思った。




なぜなら、昨日、進真の話を通して確信したから。




人間には悪人や傍観者がほとんどで、善い人はそれらの”悪”に潰されるのだと。




世の中は”悪”で溢れていて、真っ当な人間は生きていけない世界なのだと。




善人なんか、この世界の人間の一握りほどしかいないのだろうということを。




昨日までのあたしは、まだ純粋だった。




だって、あの五人の不良たちを信じようとしたんだから。




…今のあたしは違う。




目の前にいる宇佐美真琴も、本心では何を思っているのかとか。




今まで以上に、曲がった目で人を見るようになってしまった。




高橋来登…あの男も、ちゃらんぽらんの信用できない人間だったのだ。




勝手なことをしておきながら、鍵一つも返しやしないんだから!




あの分からず屋KYワガママ末っ子のせいで、こんなことになった。




昨日は進真のことですっかり忘れていたけど、




やっぱり学校に来るとどうしても思い出さなくちゃいけない――




「イケヤン」のことを。




やっぱり、あたしは、あの男たちが嫌いだ!




結局、振り出しに戻ってしまったのだった――めでたしめでたし。




と、その時だった。





「じゃあ、バイバーイ♪」





今、最も憎らしい女が現れた。




階段のところで別れた男に向かって、愛想よく手を振っている……




中谷美蝶だ。




うっ、と拒絶反応で吐きそうになった。





「あれれー?」





教室の前でたまっているあたしたちを見て、その女…中谷美蝶が言った。





「こんなとこで、何してんのー?


朝からお仕置きでも受けてるのかと思っちゃった」





お前だよ、お仕置きを受けるべきなのは。




相変わらず、ぶっ飛んだ、超越した女ね。




今は顔も見たくないのに、同じクラスだとこうなってしまう。




本当に最悪だ。





「教室の鍵が紛失していてね」





他の女子たちが無視しているのを見兼ねて、宇佐美真琴が言った。




さすがは学級長の平和主義者…!




中谷美蝶は、「へぇ~」と返した。





「それで、こうして集団ホームレスみたいにしてるってわけ。なるほどねー」





しゅ、集団ホームレス?




女子たちの多くが、突き刺すような視線を送った。




けれど、もちろん、中谷美蝶という女には響かない。





「あたしの目には、そう見えたんだけど…違った?


て、冗談に決まってるでしょ。


ジョークも通じないとか、正直、ありえないわ。


どうぞ、ご自由に、悪口でも言えば~?」





ガ―――ン。




周りから、その音が聞こえてきた。




やはり、この女、頭が変だ……もう手の施しようがない。




あたしたちの絶望も構わず、中谷美蝶はまだ何か言う気だ。





「鍵を最後に見たのが誰か、分かってんの?


それが分かってないんじゃ、どうしようもないんじゃない?」





中谷美蝶の質問に、桐島麗華が答えた。





「もう分かってるに決まってるでしょ。


原口さんよ、うちのクラスの鍵を最後に触ったのは」





え、ちょ…。




完璧な地獄絵図じゃん。




桐島麗華と中谷美蝶が、二人して、あたしを蛇のような目で見ているなんて。





「原口さん、そこにいたんだ。おはよう」





中谷美蝶がニコッと笑って挨拶してきた。




ゾワゾワ…!




虫唾が走ったのと同時に、怒りが湧いてきた。




あたし、さっきからずっとここにいましたけど!




前までは見逃してやっていたけど、今はもう無理……




だって、アンタは、あたしの弟をイジメたイカれ野郎の実の姉なんだから!




それに、アンタ、弟にろくでもないアドバイスをしたでしょ!




気分がムシャクシャした時の対処法が、人をイジメることだって?




ふざけるな!!!





「原口さん、おはよう」





無反応のあたしに対して、もう一度、中谷美蝶は言ってきた。




あたしは、拳を握りしめた。




この…悪の元凶!




そう心の中で罵りながら…――





「おはよう」





漂う威圧に耐え切れず、結局、挨拶を返してしまった。




…あたしのバカ。




腰抜け、弱虫、意気地なし。




弟のあんな話を聞いていながら、




自分の残された学校生活の平和を優先するなんて…馬鹿げてる。




分かっているけど……本当に、卒業まであと少しなんだ。




ここまで、ずっと我慢してきた。




今さら、それを自分で崩すというのも…なんだか、無意味のような。




チラッと見ると、中谷美蝶は満足そうに微笑んでいた。





「鍵がどこにいったかって、みんな気にしてるけど。


どう責任を取るつもり?」




「…責任?」





思わず聞き返すと、





「うん。責任」





中谷美蝶は笑顔のまま頷いた。




そして、人差し指を顎に当てた。





「そうだなぁー、何をしてもらお?」





…え、何?




何を言う気?




初めて会ってから三年も経つのに、全く慣れないこの感じ。





「……」





この女はいつも、独特の狂気的なオーラを身にまとっている。




だから、結局、従ってしまうのだ。




きっと、この女の弟も、同様の独特さを持っているに違いない。




話を聞いたところ、そっくり…




いや、姉弟揃って、ほぼ同じ人格だもの!




この狂気的な雰囲気に、普通の人間は吞み込まれてしまうのだ。




その結果が、進真たちである。




昨日、聞いたことが目に浮かぶ……進真、なんて可哀想なの!!





「じゃあ、」





中谷美蝶が言った。





「購買で、買い物してきてよ。いちごワッフルだけでいいから」





…拍子抜けした。




てっきり、もっと残酷な命令をしてくるのかと思ったけど…




たったそれだけ??




…て、あたし、感覚が麻痺しすぎだよね。




これでも十分なパシリだし、




この女の弟の話を聞いてから頭がおかしくなったみたい。




あー、自分も含めて、全部無理。





「…いちごワッフルだけでいいの?」





気を取り直して尋ねると、中谷美蝶は大きく頷いた。





いちごワッフルね!じゃあ、よろしく~!」





新発売も、そうじゃないも、あるのかね。




所詮、ただのいちごワッフルでしょ…そう思っていると。





「新発売のいちごワッフル?」





いきなり、桐島麗華と岡本杏奈が入ってきた。




今日の朝はカオスだな。





「あの、スタグラ映えするってやつ?麗華、まだ買ったことないんだけど!」



「杏奈も!だってあれ、超人気で並んでも買えないじゃん」





スタグラとは、確か「スターグラム」のこと。




あたしは使ったことないけど、食べ物とか、出かけた場所とか、




とにかく自分のプライベートをひけらかすための物らしい。




そのスターグラムに載せる写真に良さそうなのを、




「映え」と表現するんだとか…見聞きしたことがある。




まあ、あたしには必要ないし、理解の出来ない世界なんだけど。




並んでも買えないくらいの人気商品が、この高校に?




そして、中谷美蝶は、そんな物をあたしに買って来いと言っているの?




…なんだか、嫌な予感。





「原口さん!」





桐島麗華と岡本杏奈が、こちらに不自然な笑顔を向けてきた。




かと思えば、二人揃って両手を合わせだす。





「お願い!麗華と杏奈にも、いちごワッフルを買ってきて!」




「…え?」




「ちゃんとお金は渡すから!あ、さくらも頼んだら?」





急な注文を受けたあたしと、急に振られた松木さくら。




お互いに戸惑いながら、少しの間、見つめ合った。





「わたしは…」





松木さくらは、少し間を置いて答えた。





「いい。いらない」





桐島麗華の目が、一瞬、鋭くなった。




けれど、次の瞬間、それを繕うように笑みを浮かべた。





「あっそ。じゃあ、麗華と杏奈で頼むね」





岡本杏奈が、あたしの方に目を向けてきた。





「原口さん、お願いね。絶対に買ってきてよ」





その時だ。





「アンタたちはダメ」





突然、中谷美蝶が言った。




桐島麗華と岡本杏奈の目が丸くなり、徐々に怒りを帯びていく。





「どうしてよ?」





桐島麗華が尋ねた。





「どうして、あなたは良くて、麗華と杏奈はダメなの?」





すると、中谷美蝶は…





「うるさい」





とても低い声で、その一言だけを発した。




桐島麗華の顔は青ざめた。




隣の岡本杏奈も、ビビった表情を浮かべている。




この光景を見て、あたしは思った。




”上には上がいる”。




十分性格の悪い桐島麗華と岡本杏奈でさえも、




中谷美蝶の狂気的なオーラには敵わないのだ。




ということで…。





「じゃあ、原口さん。


この馬鹿女二人はいいから、あたしの分だけを買ってきて。


売り切れないうちに、急いで行ってね♡」





そう言うと、どこかへ歩いて行ってしまった。




残されたあたしたちを、特殊な空気が包み込む。




学級長の宇佐美真琴ですら、どうしようも出来ないようだ。




あたしは恐る恐る、桐島麗華と岡本杏奈の方を見た。




すると…





「クソ、あの女!」





桐島麗華が、怒り狂って叫んだ。





「何よ、自分が一番クソ女のくせに!


原口さんは自分だけの召し使いだって思ってるの?あー、ムカつく!」





…あたしに失礼だとは思わないわけ?




誰も中谷美蝶の専属召し使いになんかなるもんですか。




そう思っていると、岡本杏奈から腕を掴まれた。





「あの女のせいでイライラする!


原口さん、こっちに来て。話があるから!」





ちょっと、勘弁してよ。




もう、すでにクタクタなんだから…。




けれど、もちろん、この女たちはあたしの都合など構わない。




宇佐美真琴が止めようとしてくれたけど、




あたしは小道具のように廊下の隅へと連れて行かれた。





「…?」





桐島麗華と岡本杏奈が、あたしを挟むようにして立っている。




…一体、話って、何のこと?




イケヤンとは、もう話をつけたのに。




まだ、何か、気に食わないことがあるっていうの?




中谷美蝶もそうだけど、この二人も大した女ね。




去年は一度も話さなかったのに、




イケヤン問題が関わってきた瞬間、こんなに急接近してくるんだから。





「あの、話って…」





あたしが切り出そうとすると、





「分かってるでしょ?」





岡本杏奈が遮るように言ってきた。




横に立つ桐島麗華と同様、超不機嫌な様子……この顔、昨日も見た。





「…イケヤンの、こと?」




「そうよ、当たり前」




「昨日、もう完全に切れたよ。だから安心して」




「ホントに?ウソだったら許さないよ」




「ウソじゃない」





首を振るあたしを見て、桐島麗華と岡本杏奈はチラリと目を合わせた。




そして、口を開いたのは桐島麗華だ。





「昨日、イケヤンと、どんなことを話したの?


長々と一緒にいたみたいだけど」





一瞬、脳がフリーズしそうになった。




…長々ってことは、まさか。




やっぱり、あれから見張られていたんだ?





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る