第136話ネズミ




それは突然な襲撃だったが、魔法の盾でどうにか凌いだ。

魔法の盾に、鋭い爪が打ち下ろされて、ようやく魔物の襲撃だと気付いた。


「なんとでかいネズミだ!」


『親分、家に居た奴よりでかいね』


高さ5メートルもあるネズミ。

そして凶暴過ぎる面構えで、俺を威嚇いかくしている。


スラが体内で作った砲弾を、撃ちかました。

油断していたネズミの右目に命中。

轟音ごうおんが響き、仰け反るネズミの右目から大量に血が噴出。

しかし、仕留めることは出来なかった。


凶暴な顔が、更に怒りか加わり激怒した目が睨み付けた。


スラに続きリップが砲弾を撃ち出した。

恐るべき動きでかわしたが、スラの砲弾が胴体に命中。

衝撃で巨体な体が一回転。

しかし、すぐに起き上がり「チュウー、チュウ」と鳴きながら飛び付いて来た。


俺はエナジーで従魔ら防御して、巨体な体を支えた。

ネズミは、そんなエナジーに鋭い前歯で噛み付き、火花が散っている。

エナジーの攻撃が、少ししかダメージを与えてないことを知った従魔。

光線での集中攻撃が胴体に命中。

何故か飛散してネズミとエナジーの外へそれている。


リップが再度、砲弾を近距離から撃ち出した。


しかし、素早い動きで右後方に逃げていた。

その瞬間に、グフの風の刃が幾度も命中するが、ネズミの毛一本も切ることが出来ない。

諦めて炎のブレスを吹き出した。


ネズミはやばいと思ったのか、またも凄い動きで後方に逃れた。

それを狙うように、スラとリップが砲弾を撃ち続けた。

ライもも負けじと、酸球を放ち。

キーの雷撃も同じく、幾度も落ち続けた。



土ぼこりが消えると、ずたぼろ姿のネズミがよろけながら立っている。


その瞬間だった。


上空に火の鳥が舞い、ネズミの頭上に火の粉を幾度も振り掛けていた。


「あの鳥を撃ち落せ!」


『任せてよ』


『おいらの斬水をくらえ』


『おいらも負けないぞ』


従魔らが集中して、幾度も攻撃を繰り返して、ようやく火の鳥は大爆発して消え去った。


「チュウー!」と鳴き回復してしまったネズミが、またも襲い掛かる。


エナジーで防いでいるのに、前歯と鋭い爪で、これでもか攻撃を繰り返す。

俺も突進して、雷撃野太刀に気を流して同じく右目に突き刺した。

凄い手応えが伝わり、ネズミも溜まらず仰け反った。


「しまった、雷撃野太刀が刺さったままだ」


『おいらが取るよ』


凄い勢いでツタが伸びて行き、雷撃野太刀を掴むと引き抜いた。

その途端に、右目から血が空へ噴き出している。


「チュウーー!」


おもむろに、俺を睨んだネズミにリップとスラが同時に砲弾を撃ち出した。

見事に左目周辺を吹き飛ばした。


両目を失ったが、なおも攻撃をしよとした瞬間に、従魔らの攻撃がわずかに早い。

攻撃の嵐が途切れると、またもずたぼろ姿のネズミがまだ生きていた。

ツタとリップがいつの間に近づき、ツルと細い根でネズミの首を締め上げている。

そして空中に持ち上げた。


何が起きたか理解しないネズミは、手足を必死に動かし始めるが、既に遅かった。

それはあたかも、絞首刑のような姿をさらけ出して、手をピクピクさせて止まってしまった。


ゆさゆさと振りながら、死んだことを確認したのだろう。

一気に放した。


ドスンッと落ちたネズミは、しだいにダンジョンに吸収されて無くなった。


俺は1枚のカードを拾い、見た。


俊敏の指輪


AGI+10



成る程、はめてみると確かにAGIが10ポイント加算されている。

何だが身体が軽くなった気がする。


『親分、カードだよ』


なんとカード自体が赤い色をしている。


再生の炎


自身か誰かを、炎の力で再生できる

(従魔用)



炎ならピーしかいない。


「ピー、新たな力が欲しいか?」


『ただなら何でも欲しいよ』


これも、テレビの影響か・・・

カードかざして念じた。

ポワンと光、習得したようだ。


『誰か、傷ついた奴はいないかーー、誰もいないのか・・・』



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