第100話ジャングル




我が家の風呂で、顔や髪に付いた血を洗い流していた。

従魔らは、露天風呂で今でも遊んでいて、騒ぎが内風呂まで聞こえるほどだ。

内風呂の一角でジェットバスが、心地よく体を揉みほぐしてくれていた。

隣の広い内風呂では、四郎と五郎が水面を器用に泳いでいる。


そんな従魔らを風呂にほったらかして、体を拭きながらリビングに移動。

そこにはアイとツタが仲良く、時代劇のテレビを見ていた。

場面が斬り合いで、アイもツタも小刻みに体を揺らして感情を高ぶらさせている。

よっぽど好きなんだ。

俺はニュースが見たかったが諦めた。


そんな時に固定電話のベルが鳴り響き、しばらくして留守電話の応答メッセージが聞こえた。


「只今留守にしています。発信音のあとにお名前とご用件をお話しください。」


「俺だ、ギルドの緊急依頼が来ている。ダンジョンから帰ったら至急連絡してくれ。多々良支部にも連絡済みだが念のためここにも連絡しておいた。頼むぞ」


又なにか起きたのか?

ノートパソコンで検索してみたが、そんな重大な事件は無かった。

冒険者が連続で殺された事件も無かった。

今回はダンジョンを優先させたい。前回の戦いで色々考えさせられたからだ。

その為にも、もう1度ダンジョンへ行くべきだ。



もっと露天風呂で遊びたいと言う従魔をなだめた。

魔石がたらふく喰いたくないか?もっと強くなろうとけしかけた。

それでようやく納得したらしく、誠黒ダンジョンへワープした。



俺達が立っている場所は、あの座標ポイントだった。


前回と同じくジャングルにやって来ていた。

まだ魔物は復活していない。そのせいで戦闘も少なく早くジャングルに到着。


あのメドゥーサと戦った場所へ来ていた。

そして、魔除けカードのことを思い出した。

魔除けカードの絵柄は、メドゥーサの顔を正面に見た絵柄だった。

あの【ゴルゴーンの邪眼が真実を見る】だけで意味が全然分からない。

取り合えず具現化してみよう。


え!指輪。それもメドゥーサの顔が彫られた指輪だ。

カード鑑定で呪いは書かれてないのではめてみた。

体は光らないし、何も起こらない。

何だか肩透かしを食らった気分だ。



そのままジャングルを探索すると、「キキキー」と鳴くサルが木の枝を揺らして威嚇している。

その鳴き声が、木霊するようにジャングルから鳴き響いていた。

周りを見渡すと、何時いつの間に大勢のサルが俺達を取囲んでいた。


俺は雷撃野太刀を横一文字に振り切った。

雷をまとった剣スジが、目の前の木を6本も切り倒した。

俺の後方では、魔法陣の盾が爆音を鳴らして、何かを防いでいた。


サルは手の平に緑ぽい球を作りだすと、振り被って投げていた。

魔法陣の盾が目の前に現れたが、なのに球はカーブを描いて曲がってきた。

魔法陣の盾もカーブに合わせて移動して防いだ。

奴らはカーブまで投げるのか?



アイとグフは格好の的らしく、方々から球を投げ付けられていた。

今はかわすのがやっとだ。


「リップとスラ、大砲をぶちかまして木を倒せ」


『わかった』


スラは砲弾を作りだすと、撃ち放った。

リップも同じく大砲を撃ち続けた。


俺も負けないように木を切ってゆく。



ようやく頭上からの攻撃が減り始めた。

地面に落下したサルはピーやライムらが始末している。

木の上では機敏に動き回るサルも、地上では断然に動きが悪い。

倒れた木から飛び付く三郎に、もがきながら溶かされていた。

隣ではライムに捕まり、一瞬で溶かされていたサルは後を絶たない。


向こうでは、木に登ろうとするサルを、木に絡まったツタが槍で突き刺していた。


かわしていたグフも空から急襲して、ひと掴みして握り絞めて爪の餌食にしていた。


アイも負けないように石化させて、木から落としていた。

地面に落ちた瞬間に、粉々に飛散してしまう。

アイと目が合った瞬間に、石化して次々に落ちるサル達。


キーも雷撃攻撃が激しくなって、サルを仕留めた。


戦いが終わった。

メタルカードが28枚と、そして上級ポーション1枚が手に入った。


メタルXI


硬く軽い金属

××××


このメタルも読めない説明が含まれていた。

どんな力が宿っているか知りたいが、まだ力不足なのだろう。




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