第99話恐怖の裏側




誠黒ダンジョンのジャングルに突入して、ようやく囲まれたことに気が付いた。

巨木の上から、アナコンダの体が絡まりながら、俺達を見ていた。


あっちにもこっちにも口を大きく開けて、舌をぺろぺろと出して見ていた。

あれは、俺達の匂いを舌で取り込んで、何処に居るかを感じ取っている。

ヘビの舌先が二股に分かれているのも、どちらの方角に何があるのかを時間差で感知する為だ。



そして睨みつける眼光には、威嚇いかくの効果で体を硬直させる能力がそなわっていた。

従魔らも度重なる威嚇に耐えたせいで、威嚇に対しても耐性がそなわっていた。

ただし、始や仁助らは硬直状態に居る。


スラが体当たりをしながら、硬直異常を治している。


その瞬間に四方から攻めるアナコンダ。

アナコンダとツタが互いに絡み合って、締め付けを行なうが、細いツルが長い胴体を4つに千切ちぎっていた。

次に襲うアナコンダの頭に、エランドの槍で突き刺して破裂させている。


リップは向かってきたアナコンダを捕まえると、剣でブツ切りして仕留めていた。


グフは空中から襲い、逃げるアナコンダの頭部を掴み、くちばしで頭を必死に喰い漁っていた。


アイは互いに睨み合いをして、動かない状態にして光線をぶち込んでいた。

大きく口を開け、アイに喰らおうとするアナコンダの口に、アイが光線を当てて頭部を破壊。


巨木を這って登った四郎は、アナコンダを襲い溶かしはじめた。

暴れるアナコンダは落下しても、更に暴れていたが徐々に動きが無くなり止まってしまう。


キーの雷撃が巨木とアナコンダを同時に、引き裂きながら地面へと落としていた。

疾風のブーツを履いていた為に、感電死しなかったが危ない目にあった。

更に俺の近くにも雷撃が落ちると、引き裂かれたアナコンダが上から落ちてきた。

ボタ、ボタ、ボタッと1メートル先に、頭部が落ちてどす黒く焦げた状態だった。



「キー、俺の近くで雷撃は止めてくれ。当たりそうになったぞ」


『親分、ごめんです』


「分かればいい。気を付けろよ」


『うん』


「ピーは、火は厳禁だぞ」


『どうして』


「ジャングルに火が燃え移ると危険だ。広い所で使っても大丈夫だから今は我慢してくれ」


『親分、了解』


そしてようやく戦いは終わった。

従魔らは、魔石を美味しそうに食べている。

俺は、1人でカードを回収して、集めたカード10枚だった。


メタルⅩ


硬く軽い金属

××××


カード鑑定でも読み取れない文字が書かれていた。

どんな能力があるメタルなのだろう。

カード鑑定の能力がアップすれば読めるようになるのか?



急に、危険警告が脳内に響いた。

その方向を見るなと警告している。

凄い催眠なのか?魔法陣の盾を発動して守りにはいった。


「皆、危険が迫っている。気を付けろ」


『主、あれは蛇女です。たしか名はメドゥーサで、ギリシア神話でペルセウスによって討ち取られた怪物に似てます』


「何、メドゥーサ。見た者を恐怖で石のように硬直させてしま奴か?つまり石に成ってしまう」


確か盾の裏で反射させた姿を見て、首を斬り落としたらしい。

この魔法陣の盾でも出来るのか?盾をこちら側に移動させた。

何と姿が映っている。


「禍々しい顔をしている」


体が小刻みに震えていて、恐怖を感じている。

蛇の下半身をくねらせて近づいてきている。


雷撃野太刀で斬るしかない。

何やら従魔らの動きも鈍い、アイとグフも地上に降りていて、アイは飛べそうにない。

やはり俺1人で戦うしかない。


ここか、力を振り絞って横一文字に斬った。

雷撃が頭の蛇を数匹斬っただけだった。


まずいぞ、やはり警戒している。動きも急に速くなっている。

もう俺の真後ろまで来ていた。

そして肩を掴まれた。

メドゥーサの目が盾に間近に映ったまま、再度横一文字に斬り付けた。

血しぶきが俺の体に掛かり、足元に転がる物があった。


足の力が抜けて、崩れるように座り込んだ。

先程の醜い顔が、美しい顔に変わり金髪をなびかせていた。


「これがあの顔なのか?」


石化カードが1枚と魔除けカード1枚があった。


石化


目を見た瞬間に石に変える

従魔用


これは従魔用か?


「アイ、こっちおいで」


『主、何でしょう』


「能力を与えよう」


『分かりました』


カードかざして念じた。

アイの体が光り輝いた。

そしてもう1枚のカードも見た。


魔除け


ゴルゴーンの邪眼が真実を見る


よく分からない説明であったので、考えていた。


『親分、体が真っ赤だよ』


成る程、体中が赤くべっとりとしていて酷い状態だった。

このままの状態で探索は出来そうにない。


「我が家へ帰るぞ」


『その赤い体に抱きつくのか?』


「抱きつくのがダメならカードに戻すぞ」


『分かったよ親分』


全員揃ったので、我が家へワープした。



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