第97話大岩を食った




今日も我が家でのんびりと、露天風呂に浸かっていた。

そして露天風呂から上がりかけた時に、違和感を感じて辺りを見渡した。


なんと目隠しに置いていて大岩が無かった。

そして大岩があった位置に光る物があった。

それは握り拳ぐらいの金属で、もしかして金か?



そして向こうの大岩にスライムがへばり付いていた。

淡い光りを発しながら、大岩にべったりと付着するさまは異様だった。

始や仁助らの5匹がモゾモゾとしている。

そして観察していると、スライムは徐々に大岩を消化して食っていた。


「スラは何処だ!」


『何ですか?親分』


ジッと見詰めてようやく居場所を発見。

スラは水風呂の近くにベターとした状態で、日向ひなたぼっこをしていた。


「見ろ、始や仁助が岩を食っているぞ。あれは何だ」


『あれは、食事をしているだけだよ。おれっちは食わないが、魔石の代わりに修行中によくダンジョンの壁を食ってたな』


「この金は、何故あそこにあった」


『おれっちもよく分からないけど、美味しくないから後で吐き出していると思うよ』


「ほーー成る程。すると土も食らうのか?」


『聞いてみようか?』


「すぐに聞いてくれ」


スラはぴょんぴょんと跳ねて、始らの大岩へ行き上下に体を揺らしていた。


『土の苦さも好きだと言っているよ』


「そうか、それならたらふく食える所へ案内するからスラも一緒に来るんだ」


『えーー、もう少し日向ぼっこしたかったのに』


急ぎ服を着て、バッグにスラや始らを入れて出発。

山道を駆け走り、辿り着いたのは俺が購入した金が取れる山だった。

今まで放置していて、気にはしていた。


「さあ、好きなだけ食っていいぞ。スラは監督で守ってやれ。くれぐれも人が来たら隠れるんだぞ」


『分かったよ、親分』


「皆、よく聞け。沢山この金を取ってきた者には、褒美にこの上級魔石5個をやるからな」


断然やる気をだしたスライムは、土を食い始めた。

岩より断然早く食っていて、すでに斜めに大きな穴を開けている。

俺が睨んだ通りだった。あの先に金が沢山眠っている筈だ。


「このバッグはここに置いてゆく、金をバッグに回収してくれ」


『うん、分かった。おれっちにも魔石をくれるよね』


「ああ、2個を褒美にやるぞ。そうだ褒美の前金に1個欲しいか?」


『うん、欲しい』


ポーチに1個が残っていたので、取り出してあげた。

体の中でジワーッと溶け出していた。

スラの体はピンク色に淡く光っていた。

これがスラの美味しく味わっている表情だった。


しばらく我が家に帰って、食事をして戻ってた来た。


「スラ、何処に居る」


『ここだよ』


掘った穴から出てきた。

体の上にバッグを載せての登場で、バッグには金の塊が3個程入っていた。


「スライムらは頑張っているか?」


『頑張ってるよ』


穴は崩れないように固くしていて、何か固くするような能力がスライムにあったのだろうか?

しかし、このまま金を掘り当てても、販売する時に問題が出てくるだろう。

猪野研究所に丸投げして、和也に頑張って貰おう。


「スラ、皆を呼び寄せてくれ」


『分かったよ』


集まったスライムの前で、1番多く金を取ったのは仁助だった。

仁助に上級魔石5個を渡して、他のスライムには参加賞の上級魔石1個を渡してゆく。

最後にスラにも1個を渡す。


新しいバッグにスライムらを入れて、金が詰まったバッグは【黒空間】へ収納。

ゆっくりと山を下りてゆく。



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