第86話そんな事があったのか
朝早くから「村役場の駐車場に集合だ」と、玄関先から鈴木課長の大声で呼び出された。
なんでも冒険者限定だと言っていたのに、駐車場にはおばちゃんや村人が多く見られた。
台に村長が立ちマイクを持って話し出した。
「みなさんも知っているが、昨日東京の若者が誠黒ダンジョンへ入ろうとして捕まった。新たに来た冒険者は知らない者も多いだろう。明日から正式に手続きをすれば入れると連絡があった。多々良ダンジョンと同じ色なので入っても大丈夫らしい。しかし中の魔物は半端なく強いので自己責任だと警告まで受けている。詳しい事は上のダンジョンの支部で聞いてくれ以上だ」
あっちこっちで、こそこそと話し声が聞こえてくる。
村長の連絡が終わると、おばちゃんや村人が村役場の奥の施設に入って行く。
おかしいな・・・あんな所に施設があったか?
近くに居た鈴木課長に聞いてみた。
「おばちゃん達は、何しにあそこへ入ったのですか?」
「村の温泉施設が今日からオープンなんだよ、オープン記念に無料になっているから来たんだろ」
「え!俺、知りませんよ」
「村のホームページにも告知してるし、回覧板にも載せてた筈だよ」
「分かりました。それでは失礼します」
納得いかないが、鈴木課長に言っても仕方ない。
我が家に戻ろうとすると、あの隊長の隊員の2人が待ち構えて居た。
「隊長がお呼びだ」
「断ることは出来ますか?」
「無理だな・・・」
俺の後ろ方では、あの冒険者の若者達がひそひそと、俺の事を話し出している。
そんな状況なのに、黒塗りの大型四輪駆動車に乗せられて走り出した。
又も誠黒ダンジョン支部へと連れられてしまう。
会議室のモニターには、中国の青海省の地図が映し出されていた。
「君には申し訳ないが、中国のギルドからの指名依頼なんだ」
「内容は、どのようなことですか?」
「
「え!それだけですか?」
「その後、軍が派遣されたらしいが、それも全滅したらしい」
「誰が犯人か分かっているのですか?」
「衛星画像から1人の男性だと分かっているが、戦い方は不明だ
「そんなニュースは見た事も無いですよ」
「それは
とんでもないことが起きていた。このまま放置は出来ない。
早い段階で倒さないと、奴は更に強くなるだろう。
下手をすると
「分かりました。受けます」
「すぐにヘリで出発してくれ」
「嫌々、家に帰らせて下さいよ。準備もしないと行けませんよ」
外に隊員を待たせて、従魔らを集めた。
今回の簡単な説明をしてやると、
『親分、行くぞ』
『おらっちも行くぞ』
『そうだ、そうだ』
何が気に入ったのか行く気満々だ。
外ではあの2人が大声で「まだかーー」と催促している。
「皆カードへ戻すぞ」
『OK』
『大丈夫だよ』
『ええ!もういくの・・・』
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