第75話頂上決戦




頂上付近の捜索で、一軒の建物に大型焼却炉があった。

煙突も他の建物で見え難くしている。

そしてまだ焼かれていない死体が12体もあった。11体は男性であとの1体は女性の死体だった。

死体の損傷が激しく、撲殺された者から銃弾を複数に撃ち込まれている者など色々だ。


「止めろ、俺が殺したんじゃない。俺は焼くだけの担当なんだ。見逃してくれ」


「そうなんだ、上からの命令だったんだ」


そんな言葉を必死に発しているのは、太った男と中肉中背の男だった。

そんな言葉を一考いっこうもしないピーが、2人ともまとめて抱きつき炎で燃やした。

ピーは何故かゆっくりと燃やしていた。炎の中で手足をバタつかせている。

俺はそんな光景を開け放たれた扉から見て、何も言えなかった。



そして、俺に向かってロケットランチャーが発射されたが、横合いに居たスラが飛び付き受止めた。

スラの体内でボフッと鈍い音が響く。


『親分、守ったよ』


「スラ、ありがとう」


更に3・4発もロケットランチャーが発射されたが、全てスラが受止めた。

ロケットランチャーを発射した連中は、グフに襲われて両目をくり抜かれた後に、ジワジワといたぶられて死んでいった。



目の前にホセ・マドリードがキツイ目で俺を睨んでいる。

攻撃系の支援スキルの持ち主だ。充分に注意が必要だ。


ホセも俺が只者でない事は分かっていた。

横に駆け出し一気に飛び、屋根へ着地。


俺も負けないように走りだして軽く飛んで、屋根へ着地した。

頂上から銃弾が飛んできたが、頭に命中する前に手甲で掴んでいた。

撃った狙撃者は、アイの光線で頭ごと吹き飛ばされている。


ホセは額からひとすじの汗を流した。目を更に見開いて睨んでいる。


「お前は魔物だったのか?」


「何をバカなことを言っている。俺は人間だ。ただしお前より強いだけだ」


ホセは、隣の屋根に飛び移り、更に隣へ飛んだ。

俺も追跡は諦める気はない。俺も飛びホセを目で捕らえた。

俺に向かってくる透明な球体に、雷撃野太刀で放電して消滅させる。


俺はホセの居る屋根に飛び乗った。

既に催眠に掛かったホセは動けないでいる。目の焦点だけがけたたましく動いていた。

雷撃野太刀で袈裟切けさぎりにする。

ホセは肩から斜めに切られた為に、上半身がずり落ちて絶命した。

俺は淡く光って、Lv122になっていた。今までで一番のレベルアップだ。

それだけコイツが、大勢の冒険者を殺したことになる。


吸血玉


透明な1センチの玉を気力で出し、相手に向かって飛び相手の血を一瞬で吸取って消える


これがホセの攻撃系支援スキルの正体だった。

生霊の変化した物と言えばいいのだろうか?



500人近くの人間達が1本の坂道を、銃器を乱射しながら駆け下りてくる。

従魔ら、一斉にその集団を襲い始めた。

悲鳴が鳴り止まない中で、スラとスライムを背負いバッグに入れて俺は急いでいた。


やはり別の人間達が6つに別れて、アジトから脱出していた。

狙う目的は既に決まっている。

5つの方向へスライムを1匹づつ、剛速球で投げつけた。

あとはスライムの好きなようにすれば良い。

結界で逃げられないのは分かっていたが、それでも希望だけは残しておく。

人間は希望が無くなると何をするか分からない。



奴らの目の前に、ドンッと着地。

こっそりとスラは這い出して、奴らの後方へ回る。


「金は幾らでも払う見逃してくれ」


「見逃したら、又同じことをするんだろ」


「しない、絶対にしない」


「お前の話を、誰が信じられるか!!」


ふてぶてしい男の顔に笑みが残っている。

アントニオ・センシオが幹部連中を引き連れて、俺に交渉してくる。

それは時間稼ぎで、俺に精神コントロールを必死に掛けようとしている。

俺は自分自身に精神把握で支配している為に、アントニオの支援スキルは効かない。


後方ではスラが退路を断った。

雷撃野太刀に気力を込めて振り斬った。

アントニオ・センシオと幹部4人が、体をブルブルと震わせて感電死してしまった。

アントニオ・センシオの右手は、空に向かって突き出して倒れていた。

何を取ろうとしたのだろう。


体が淡く光り、Lv128になっていた。


支配


20人の人間を支配する事が出来る


支配がアントニオ・センシオの支援スキルだった。

そして従魔らの討伐も終わっていて、全員が俺の所に集まった。


「お前ら、よく頑張って戦ってくれた。何処か行きたい所は有るか?」


『我が家で露天風呂にはいりたい』


『そうだ、そうだ』


『主、我が家でいいぞ』


「そうか、分かった。俺に掴まれ」


一斉に掴まったり、バッグへ入ってくる。

そしてワープを発動。我が家に帰ってきた。


魔石を中級魔石に交換して結界オーブを家の中心地置く。


「お前ら、羽目をはずして外にでるなよ」


『わかったよ』


再度ワープを発動してあそこに戻った。

MPは100ポイトしか残っていない。

このワープは距離でポイントを消費するみたで少し疲れを感じる。


「俺です・・・はい・・・依頼は完了しました。すぐに来て下さい」


スマホで連絡して終了。

しばらくしてバタバタと軍の人間がやって来た。


下山する際に、パーカーで深く顔を隠してマスク着用して下りて行った。

マスコミのフラッシュが一斉に、カシャカシャカシャと四方からあびせられて、ようやく車に乗って一段落した。


やはりギルドで事情調書されて、報酬は5億以上間違いないと確約も取れた。

決まり次第で送金されるみたいだ。


放送された映像を早送りで確認したが、俺だと判別される映像はなかった。

充分に気を使った行動で、カメラの向きも全範囲探知で確認済みだった。


そして誰やら偉い人が来て握手をしたが、余り覚えていない。



帰りのプライベートジェット機でぐっすりと寝込んでしまう。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る