第61話新たな任務




俺達は岐阜の奥飛騨温泉郷の山に位置する、青の未確認ダンジョンに来ていた。


ダンジョンに到着すると、ボスを目視で確認。

ステータスが上がったせいで、遠くてもよく見える。

そして、ボスの情報はそれだけで良かった。時間をかけずに攻撃しろと俺が命じた。


俺は安全エリアから、20階層のボスを従魔らが倒すのを見学。

フロア全体に広がった従魔らによる波状攻撃はじょうこうげきが開始された。

四方から何回にもわたって繰り返される攻撃は、止まることなく続いた。

水の人型はあらがう事が出来ずに、飛散して更に熱によって蒸発して消えていた。


魔石を食らうのは、順番でスラが決まっていたので、魔石を取り込んで消化している最中だった。

リップがカードを1枚を持って、俺の所へ運んで手渡した。


俺の手にはダンジョン耐性【木】カードがあった。

そのまま念じた。

ふわりと浮く感覚が止むと、防御スキルにダンジョン耐性【火・雷・水・木】と表示されていた。


「俺は風呂に入りに上に行くが、好きなようにしていいぞ」


『分かったよ。そのあいだも頑張るよ』


『キー、行くぞ』


「俺も行って来るよ」


ステータスオープンを表示。そしてダンジョンワープに切り替える。

そして、地上に戻った。




露天風呂に浸かりながら、スマホを確認。

スマホには、電波が届かない所に居たので、メールが一気に受信を開始。

どれだけ、同じ件名を送ったら気が済むんだ。

20件の同じ件名。【俺だすぐに連絡くれ】。

内容を見たが、

【JIBA】(ジバ)の用件だ。

下のスマホに連絡しろ。


0×0××××××××


用件のままで素っ気無い文面で、どうしようかと悩んでいた。


微かに呼び鈴の音が聞こえる、そしてドアを叩く音が響き、あの隊長の大声が聞こえてきた。


「開けろ!居るのは分かっている」


あれ?今きて入ったのに何故知っている。

もしかして、山に監視カメラを設置してこの露天風呂を覗き見しているのか?

全範囲探知で探してみた。成る程、あの山に設置されていた。

ゆっくりと風呂にも入れないなんて、どうかしているだろう。


仕方なく露天風呂を出て、着替えて出てみた。


ぶすっとした隊長とメガネを掛けたスーツ姿の勤勉風の男性が立っていた。


「私は、法務省に勤務している佐藤と申します」


名刺には、ダンジョン課の課長の肩書きが書いてあった。


「ジバに対して、クレームがあったので伺いました」


そして難しい法律用語を使い、クレーム対しての対応をあれこれと難しく語って1時間が経過。


「それで、何が言いたいのですか?」


「いまから隊長と海外へ行って貰いたい」


「はあ、何を唐突に言ってるのですか?意味が分かりませんね」


「国連ギルドの要請です。断ると相当なペナルティが加算される恐れがあります」


「ペナルティて何ですか?」


「聞きますか?聞くと恐いですよ」


「じゃーーやめます」


「そうですか?行ってくれるのですか?隊長、行ってくれるそうだ案内を」


いつの間にか、例の隊員2人が両腕を掴み車の後部座席に入れられ、逃げられないように挟まれた。

運転席には隊長が座り、助手席にはあの男性が座ると走り出した。

俺は諦めて、従魔らに当分戻れそうにないと念話で伝えた。

従魔らは「何故、なぜ」と念話で送り返してきたが、大人の事情だと伝えた。


そして誠黒ダンジョンのあの建物から、大型ヘリに乗せられて飛び立った。

あのスーツ男が手を振って見送っている。

関西国際空港から、プライベートジェット機に乗って飛び立った。

パスポートの出国手続きも無いまま飛んだことに、一抹の不安を感じるのだった。



隊長はタブレットを操作して、タブレット画面を見せてきた。


「コイツが今回のターゲットだ。殺してもいい」


「またかよ。何処へ飛んでるの」


「K国だ、今あそこでは大勢の冒険者が100人以上が連続でコイツに殺されている」


「100人以上なら相当強い奴ですね」


「狙撃にも全然当たらない。大掛かりなトラップも掛からなかった。今K国は冒険者が海外に逃げ出す騒動になっている」


「え!そんなニュース見た事ないな」


「当り前だ、情報統制をしているからな」


「それって当り前なんですか?信じられないと思いませんか?」


「それが当り前の世界に、君がどっぷりと浸かっているけどな」


「なんですか、そのけどなって隊長が仕向けておいて・・・」


「それは、俺も反省している。すまん」


なんだかヘリの中が重い空気になっている。



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