第60話あの夢は




スマホを見ていて、メールが何件も入っていた。

全部消そうかと思っていると、ある件名に気付いた。

【お前の高校の同級生について聞きたい】。

差出人は山田のおっさんだ。



あの夢と関係しているのか?

念話で従魔らに地上に行くことを伝えた。

そして我が家に戻って、山田のおっさんに電話を掛けた。


「はい青柳です・・・はい・・・そうですか?・・・分かりました」


山田さんの家に行くと、1人で留守番をして暇を持てあましていた。


「散らかっているが上がってくれ」


居間に行くと食事中だったみたいで、ごっはんと味噌汁と焼き魚と漬物が食べ掛けだった。


「食事中だったんですね」


「まあ座れや、最近潜ってないな」


「色々とあったので」


「聞きたいのはこの2人なんだ」


簡単な履歴書を2枚見せられた。

確かにあの時のメンバーに居て、俺に最初に足蹴りした奴と連れの奴だった。


「この2人が、俺らの冒険者グループに入りたいと面接したんだが、どうもお前のことを知っているみたいだった」


「何が知りたいのですか?」


「ハッキリ言って、何か胡散臭い気がして気になってな」


「ハッキリ言います。こいつらのいじめで多々良村に逃げて来ました」


「そうか、分かった。ありがとう」


「どうするのですか?」


「キッパリと断るよ。正直言うと、俺もいじめでダンジョンに逃げた。遠い昔の話だ」


「そうでしたか?」


なんやかんやと話し込んで、1時間以上も居たことに気付いた。

山田のおっさんに別れを告げて出たのが、14時頃だった。

我が家に戻ると、玄関先に奴らがいた。


「マコト、お前でも務まるダンジョンなら、俺ならすぐにここのダンジョンでトップを張れるぜ」


「俺の居場所を何故なぜ知った」


「偉そうに、ライン仲間がひとみのラインを覗き見して、お前の存在を思い出したぜ」


「それでどうしたいんだ」


蹴りが繰り出されたが、片手で掴んだ。相手は必死に動かしてもはずせない。


「何しやがる。見てないでやれ」


相棒のパンチも軽くかわして、その足に軽く蹴りあげた。

バキッと変な音がして左足を抱えて転げ回っている。


足を掴まれているのに、殴り掛かってきたが、ことごとく空いた右手で防いだ。

30分も続くと、そいつのこぶしも痛くなったのだろう。

肩で息をしながらうつむいてしまった。俺は足を放すとそいつと相棒はこそこそと逃げ出した。



それにしても不思議だ。もしかしてこの事を予見して夢を見させたのか?

ダンジョンとは、何なんだ。

俺に何をさせたいんだ。



昔のことだが少しは晴れた気がした。

ああ、また泣いたみたいだ。

ぽろぽろと涙が止まらない。

最近涙もろくなった。年をとったせいなのか?



玄関の鍵を開けて入って、また鍵を掛ける。

誠黒ダンジョンの襲撃事件以降、多々良村でも鍵を掛けるよう注意の観覧板が回ってきた。


最新の鍵や監視カメラの設置に、村役場が全額支給をするキャンペーンが始まった。

どうも大半がギルドから支給されるみたいだった。


そして監視カメラは、一箇所に統括管理されるみたいだった。

あのギルドのビルに集中監視室がある事は知っていた。

そこで村人を守る名目で、管理されているが村人から文句は出なかった。

役場にも、モニター1台で見られるが、いちいち手作業でカメラを切り替える必要があった。



我が家も玄関先と進入されそうな2ヶ所に、監視カメラが設置されている。

勿論、自前で設置した監視カメラだ。

我が家の中を見られないように、設置場所を考えて設置しているので安心している。



さあ、赤のダンジョンに戻ろう。

赤のダンジョンでは前回、DEF強化のカードが5枚しか手に入らなかった。

後はスライムらにDEF強化を施すには、4枚が必要で俺が行かないとドロップ率が下がってしまう。


ステータスオープンを表示。そしてダンジョンワープに切り替える。

日本地図を拡大して点に触れて階層を選んで決めた。

20階に瞬間に移動。またボスが復活をとげていた。

俊足を2度も発動して近づき、右手の雷撃野太刀と左手の剛腕の刀を交差した状態で、横に同時に斬り捨てた。

雷鳴が轟き、雷が幾度も落ちて、赤いスジが一文字に飛び斬っていた。


炎の人型は何をすることもなく斬り倒されて、所々に大きな穴を開けていた。


そんな最中にスライムらから、DEF強化のカード4枚が手に入ったと念話で伝えてきた。

今から戻ってくるらしい。

何時に戻ってくるかは不明だった。


どうにか2時間後に戻って来たが、ピーが吐き出したのはDEF強化カード5枚とAGI強化カード2枚だった。

スライムらはピーを先頭に並びだした。


「早く強化しろっと言いたいのか?」


『早くしてよ、楽しみにしてたんだよ』


『そうだ、そうだ』


DEF強化カードで次々に強化して、強化が終わると飛跳ねて喜んでいる。



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