第59話ドロップカードが凄い




しばらく黄金コンビと抱き合っていると、下の階層へ行ったリップらが戻ってきた。


「おらっちをのけ者にして、抱き合うなんて・・・」


リップがおもむろに抱き付いてきた。

もう従魔らによって無茶苦茶状態で、誰が誰を抱きついているのか分からない状態。


「えいかげんにしろ!窒息してしまうわ」


それでも抱きつき攻撃はやまない。

俊足を発動してどうにか脱出。


「お前ら、ほどほどと言う言葉を知らんのか?」


『親分、怒ってる』


『これは、リップが悪いかな・・・』


『そうだ、そうだよ』


『おれっちが悪いのか・・・?』


『必然的みても、そうなりますな』


『お、おれっちが悪かった。』


『これでめでたし、めでたし』


俺はこれ以上言っても、変な方向にいってしまうだろう。

諦めるしかない。


リップは花を垂れながら、おずおずと進み出て袋を差し出した。

その中にはカードが30枚も入っていた。


「何故こんなに沢山、ドロップしたんだ?」


『主、ワシから申そう。25階で20枚がドロップして、27階で8枚で、あとは平均的なドロップ率だと思う』


『そうだったね。25階はでかい毛虫だよ』


『そうそう糸を吹きかけて邪魔で仕方なかったなーー』


ピーが足元にもそもそとやってきた。


『親分、黄金コンビもカードをゲットしたぜ』


プイップイッとカードを吐き出した。カードの数は17枚もあった。



黄金コンビのカードは雷刀らいとうカードが12枚と雷手甲らいてっこうが1枚。

そして残りは中級ポーション4枚だった。

やはり、従魔と俺が同じダンジョン内に居ることでドロップ率が異常に上がるのだろう。

俺の予測では、雷手甲のカードは激レアなカードだと思う。

カードの絵柄にキラキラと光っている部分が目を引く。


雷刀


雷を帯びた刀


雷刀カードをカードホルダーに1枚1枚収納すると、10枚目でやはり変化した。


雷撃野太刀らいげきのたち


雷撃を振った先に放つ


・  ・  ・  ・


雷手甲


磁場を発生させて防ぐ


雷手甲カードを具現化して、片方付けてもう片方も取り付けた。

両手にはめて見ると、プッシュと突然に音がして包み込まれて、両手に馴染んでいる。

手を握ったり開いたりしても、違和感は無い。

壁に向かって、強烈なフルパンチを叩き込んだ。

壁に幾重にも亀裂がはしったが、俺の拳には痛みが全然なかった。

衝撃も無く、分厚いクッションに叩き込んだ感触だった。



次に雷撃野太刀カードを具現化させる。

そりが強くて太く刃長が1メートルもあり、波紋が黄色にキラキラと光っている。

軽く振っただけで、バチバチと放電している。

強く気合をいれて振れば、凄いことになりそうだ。


雷撃野太刀を天井に向かって突き上げて、気合を入れた瞬間にひとすじの雷撃が放たれた。

天井には穴が開き、穴の欠片がバラパラと落下してきた。


『なんだよ、親分の仕業か・・・』


『そうだよ、おいらはビックリしたよ』



次にリップらが持ってきた袋を調べた。

DEX強化カードが20枚。

STR強化カードが9枚。

HP強化カードが1枚。

上級ポーションが1枚。


DEX強化


DEXを5ポイント追加される


・  ・  ・  ・


STR強化


STRを5ポイント追加される


・  ・  ・  ・


HP強化


HPに30ポイント追加される


・  ・  ・  ・


上級ポーション


万病を治し、死者を1時間以内なら復活させる


復活か・・・このカードも雷手甲と同じく激レアなカードだ。

キラキラと輝いている。


「この上級ポーションのカードを、何階でドロップした」


『それは25階の人型に布を巻きつけた、変なヤツからドロップしたよ』


『あいつは、変だった。ウーウーと唸ってた。本当に気味の悪いヤツだったよ』


ステータスの強化を始めよう。

早速、DEX強化カードで自分自身に念じた。ピカッと光り体が温かい。

ステータスもDEX61+5と表示。


「お前たち、ステータス強化をするから、順番に並べ」


『おいらが1番』


『近くに居たので反則だよ』


「すぐに終わるから、順番は気にしない。ほれほれ並んで」


DEX強化カードとSTR強化カードを念じた。

かざしては念じて、かざしては念じてを繰り返した。

ようやく終わった。


今度はSTR強化カードを自分自身に念じた。ピカッと光り体が温かい。

ステータスもSTR61+5と表示。

ようやく強化は終わったが、DEX強化カードが11枚も残った。

またオークションに出品するか?



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