第52話海外




俺はスマホでアメリカ行き飛行機のチケットを予約した。


1年前の村の冒険者達と家族で親睦を深める為だと、山田さんに無理やりパスポート申請させられてハワイに行ったことが有る。

あの時は、通訳アプリがあるからとしぶしぶだが行ったが、どうもアプリの不具合で通訳が上手くいかずホテルの1人部屋でもんもんと4日を過ごした。

最後の1日だけがバスツアーが有ったので観光らしい1日を過ごし、1着5万円のアロハシャツを買う羽目になった。


そのパスポートがまだ有効期限が切れてないので、今回の海外旅行を計画。

その計画はアメリカで重火器を購入すること。

刀とナイフでは心許無こころもとないのが原因で、絶対に裏の世界に話を付けて購入してみせる。

相手の考え分かるのなら、悪党もすぐに見付け出せる。

そしてスキルで丸め込めば簡単に武器を入手出来る筈だ。




ロサンゼルス国際空港に降り立つと、他の客に混じって列に並ぶ。


アメリカの入国審査も【精神把握】を使って簡単にスルーして通った。

タクシーにメモ書きを渡して、拳銃やマシンガンが撃てる店へ直行。



説明をあれこれ聞かされ、拳銃を絶対に人に向けるなと強く言われ、ようやく撃てるらしい。

耳カバーをして、足幅を肩幅ぐらいにして構えた。

早速、拳銃の撃ってみた。衝撃はあるがたいしたことはなく失望。

あの弾丸速度なら、俊足で的まで行き、手で掴むことさえ出来てしまう。


今度は口径のでかい拳銃を撃ったが、これも簡単にかわしてしまうレベルでしか無い。


それ程、俺のレベルは上がり過ぎたのかも知れない。

これなら剛腕の刀で斬った方が断然はやいし威力もある。


1回目の地上戦で銃器が欲しいと思ったが、2回目の地上戦を経験して何か変だと感じていた。

俺の動きが、人間離れをしている事実をようやく認識することが出来た。


ロケットミサイルの追尾型でないと速さは付いてこれないが、俊足で簡単にかわせるのでロケットミサイルもさして興味が持てない。



空港内で見つけたヤバイ奴に謝礼を奮発して話は付けた。


折角、裏の世界の武器屋と連絡が付けたと思ったのに残念だ。

しかし、ここまで人に会って交渉したのだ武器は購入しようと思う。

違法であっても【黒空間】に収納してしまえば、誰にも見つけ出すことは不可能。

それに武器屋を紹介した奴が、魔石でも武器と交換出来ると言っていた。



早速、ステータスオープンから始まりダンジョンワープを表示。

このアメリカでも未確認の赤のダンジョンがあったので、マンハッタンへ一気に20階へワープ。

奥のフロアには、炎をまとった人型が待ち構えて居た。

何度も俊足を発動して、足元に現れた瞬間に剛腕の刀で下から真上の額に目がけて斬り上げた。

体が2つにわかれるが、カードのドロップは無く魔石だけが残っていた。

魔石を拾い、目指すは19階層。

そこなら上級魔石が大量に取れそうな気がする。


赤い体毛に覆われた熊が立ち上がり、4つの前足から火球を連続で投げつけてくる。

俺はゆらりゆらりとかわし、赤熊の喉に剛腕の刀を突き刺した。

コイツの弱点は喉で、立ち上がる一瞬に喉の弱点を考えたのが不味かった。

よもや考えることが読まれるとは思わなかったのだろう。


19階層で暴れ周り、背負いバッグの袋が3つもなり、これなら大量に武器が買えるだろう。

あれだけ倒したのにカードのドロップは無かった。

ステータスオープンから始まりダンジョンワープを表示。

【はい】に触れて、地上に戻った。

待ち合わせの近くの空き家から出て、誰も居ないことを確認して歩き出した。


ひと気のない空き地に立って待って居ると、大型バンがやってきて停止。


「あんたが日本人の客か?」


軽く頷く。そして紙切れを渡した。

バンのドアが開くと、様々な拳銃やライルから機関銃が有った。


「魔石で買えるか?」


「魔石次第だな、見せてみろ」


1袋を渡すと、紐をとき中身を確認。


「これはスゲエ!この中の全て持っていっていいぜ」


「本当か?」


「スゲエ儲けになったぜ。遠慮するな」


俺は次々と【黒空間】へ収納すると、もう1人の相棒が俺の顔と消える武器を交互に見ている。


「ニッキー、お前は知らないのか?スキルだよスキル」


「これがスキルだって」


「それにしてもスゲエなそのスキル、俺も欲しいぜ」


「ダンジョンへ行けば貰えるさ」


「俺は御免だ、マジで死ぬ経験をしたからな。これは俺のダークサイトへのパスワードだ。又、欲しくなったら見てくれ」




折角ロサンゼルスまで来たので、ここの白のダンジョンを外から拝ましてもらう。


高い塀の50メートル手前にも金網が張り巡らされている。

【高圧電流注意】と看板に書かれヤバイ雰囲気をかもし出している。


俺はダンジョン記念館の屋上から、望遠鏡で覗いて少しだけだが穴が見える角度。

俺以外にも観光客は多い。



思い残すことは無くなったので、夜の便に空きがあった為、乗って帰ることにする。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る