第44話再会
空を飛び回り、背中のバッグではキーが眠りについていた。
スラはそんなキーに気づかって、俺の肩に大人しくしている。
一度死んだショックがそうさせているみたいで、そんな目に遭わせない為にも強くなりたい。
そんな思いで一杯でいると、スラが顔を突っつき地面をみるよう体の一部で指している。
20頭のホワイトタイガーがばらけて何かを嗅ぎ回っている。
「キー起きろ。戦いが始まるぞ」
『おいら寝てたのか?なんだか気分がいいや』
「キーも起きたので、ホワイトタイガーを討伐するぞ」
『親分、分かったよ』
『まかせて下され』
『OK』
アイが近場の1頭に光線を幾度も連射しているが、何か見えない障壁で防いでいる。
後ろに居たホワイトタイガーが空中を駆け上がり、アイを襲うが俺の
斬られた瞬間に俺を見るホワイトタイガーの眼が怒りに満ちていた。
俺に注意しながらホワイトタイガーは、従魔を襲い続ける。
コイツらは狡猾な魔物に見えてきた。
俺が構えた瞬間に、刀が振り下ろされる範囲から逃げ出している。
俺が追い回すと1頭だけが囮になり、そのスキに又も従魔を襲う。
従魔も反撃するが障壁によって防いで、数頭が後ろから襲い出す。
空中の移動は従魔が有利で、どうにかかわし続けているがこのままでは数で負けている。
キーの雷撃も寸前で障壁で防いで、中々倒せないでいる。
スラの複数の針攻撃も、いとも簡単に防いでいる。
思わぬ空中戦が始まったが、俺はホワイトタイガーの動きをジッと見続けた結果。
あの障壁は1枚しか張れないことが分かった。
それに空を駆け回る仕組みがようやく分かった。
足元にミニ障壁を発生させて、踏み台にして空を駆け回っていた。
「挟み撃ちで攻撃をしろ。真上の移動が遅いから考えて攻撃しろ」
アイとグフがどうにか交差した瞬間に、互いに撃ち合った。
そして1頭がようやく胴体に幾つもの穴を開けて落下。
ホワイトタイガーを5頭も倒すと、不利だと悟ったのかグフのみを襲いだした。
リップを抱えてることが原因だと思う。
従魔らの経験を積ませるのも、レベルアップをさせるのも限界だ。
負傷させられる前に、【暗黒球】を発動。
1分内に、ホワイトタイガーを【暗黒球】が食ら尽くした。
又も俺はレベルアップをはたした。
『親分、もっとはやく倒してよ』
『そうだ、そうだ』
「お前達の経験とレベルアップを考えての行動だよ」
『成る程、そんな深い考えがあるとは知りませんでした』
『・・・どんな意味』
『各々が考えて行動しろと、主は諭しているのだよ』
『ほーそうなの?』
俺は地面に下りると、従魔が倒した時にカードがひらひらと落ちたのを見ていた。
何処にいったのだと探し、あ!あれか急いで駆け寄り手を伸ばす。
誰かが横から取る奴がいる。
「誰だ!」
『おいらだよ、分からない』
俺の周りには誰も居ないが、これはツタなのか?
目の前の地面が徐々に変化してツタが現れた。
そしてツタの下からもぞもぞとピーとライムが出てきた。
『親分、久し振りだね』
『おいらは会いたかったよ。ハグをしよう』
ピーが跳び付き、体をガシッと抱きつく。ピーは1分程で終了で、ピーらしい。
『ピー、会いたかったよ』
今度はキーとピーが抱き合い、中々終わらない。
スラとライムはそんな従魔を見てぴょんぴょんと飛んで喜んでいる。
「ツタ、あれは見えなかったが何か取得でもしたのか?」
『擬態を習得したよ親分、それとカードだよ』
ツタがカードを渡すので、受取って早速見る。
障壁
障壁であらゆる攻撃を防ぎ、移動時に小障壁で移動できる
なんと凄いスキルカードで、これを与える従魔は既に確定済み。
リップしかいない。大きいリップは的にされ易いし、空中ではグフに負担が掛かり過ぎている。
丁度、従魔らが下りてきた。
従魔らの再会で互いに抱き合っている。
「リップ、おいで」
『親分も抱いて欲しいのか?』
「お前に空を歩けるスキルを与える」
『え!本当に貰えるの・・・』
リップにかざして念じる。
リップが光り輝きスキルを授かった。
リップはおそるおそる歩き出し、空中へと歩いて行く。
『親分が下にいるよ』
調子に乗って仰ぎ見る高さまで行ってしまった。
「リップ、いい加減に戻っておいで」
『親分、なんだか恐いよ』
それは分かる気がする。
『ゆっくりでいいから、一歩一歩下りておいで』
今でも従魔全員が、上を見上げている。
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