第43話キー




早く他の従魔らを捜すべく空から双眼鏡で捜索している。

その空へ飛び立つのにひと騒動があった。

空を飛べないリップを、地面に置いて行けないのでカードに戻すぞと言うと「いやだ」と即答。

どうも捜索に係わりたい、早く会いたいと言われるとダメだと言えなかった。


その為、グフが足でガシッと掴み空を飛んでいる。


「飛んでるぞ、飛んでる」


今もうるさく、調子に乗って浮かれ騒ぐので大変迷惑だ。

スラはスラで背負いバッグから這い出して、頭の上に乗ろうとして顔面にずり落ちてくる。

必死に掴まる為、一瞬で口と鼻を塞ぎ呼吸困難にさせられてしまう。

本当にリップとスラは捜索の邪魔でしかない。



急に危険探知が危険を知らせる。

とっさに剛腕の刀で斬るが、大爆発に巻き込まれ地面に向かって落下。

再度空弾を作り、地面への直撃を回避。

地面に降り立ち、誰が撃ったのか、見渡す。

アイとグフは上手く何度もかわしている。

若干グフが重たそうに回避している。


空中の見えない1点から発射されているが、正体が分からない。

剛腕の刀を振り、赤いスジを飛ばすも、既に移動。

違う所から又、俺に打ち出してくるが空弾で破壊。


アイも光線を連射しているが、全然当たる気配も感じない。


相手の打ち出す地点を集中して観察。かわして移動するパターンが見えてきた。

次のグフの風の刃に集中して、空弾に気を溜めて撃ち出した。

予測された移動先に空弾が直撃。大爆発が発生してカードみたいな物がヒラヒラと落ちてきた。

急ぎ駆け出した先には3枚のカードがあった。


「あれ、これはキーのカードに似ている。進化前のキーの絵柄でステータスも同じだ」


キー 【雷】


HP250

MP250


電撃・雷撃


雷撃の次に雷放があった筈で、体から雷撃を無数に放出する広範囲攻撃。

それが無くなっている。


カードに念を入れて放り投げる。

現れたのはキーで間違いない。


「お前はキーなのか?」


『そうだよ親分』


「何故、以前の姿に戻ったんだ」


『親分、おいらは魔物に負けたんだ』


「負けたって・・・もしかして」


『殺されたんだ』


「殺されたって、生きているだろう」


『殺されたら、進化前に戻されるんだ。そしてカードに強制的に戻ってしまうよ』


「すると最初のカードで殺されたらどうなる」


『それは、おいらから言えないよ』


「するとキーは進化を3回したので、今は2回目か?」


『親分、おいらは悔しい。急に何処からか攻撃を何発も食らい、なす術もなかった』


「それなら敵討ちは、俺がしたから心配するな。早く見つけられなくてすまん」


『あ、リップとスラとアイがいる。あれは誰』


『新しく仲間になったグフだよ。グフ、先輩のキーだ挨拶をするんだよ』


『始めまして、グフです』


『グフか、キーだよ仲良くしようね』


一瞬だが俺も悔しい思いがしたが、生きていてありがたいっと思った。

残りのカードを見る。


隠蔽いんぺい


あらゆる物を隠し見えなくする


-  -  -  -


進化


魔物を進化させる


これは、キーを倒して手に入れたカードなのか?

そうとしか考えられない。今も落ち込んでいるキーに進化を返そう。


「キー、こっちにおいで」


ピョンピョンと飛んで来たキーに、カードを見せると、


『え!それっておいらの進化か・・・?』


「キーの進化だ今から返すからな」


『うん』


キーにかざして念じる。


キーは光り輝き以前のキーになっていた。

俺の胸に飛び込んで、体にグリグリと押し付けて愛情表現をしてくる。

さぞやうれしかったのだろう。体をなでてやるとキーの温もりを感じる。

しばらくはそっとしていると、周りにも従魔が集まり俺の体に自身の体をグリグリと押し付けている。


かれこれ1時間も同じポーズを撮り続けていると、さすがに気まずいと思い押し返そうとするがビクともしない。

更に2時間が経過。


「さあ、もういいだろう」


『親分は素っ気ないよ。おいらの愛情に真摯しんしに取り組んでもらわないとダメだよ』


『そうだ、そうだ』


周りからガヤが飛んで来るが、俺はピシッと言う。


「ここはダンジョンだ、スキを見せる訳にはいけないんだ。分かってくれ」


『分かった。今回だけだよ』


『そうだ、そうだ』


どうやら不満があるが納得したみたいだったので、スキルカードを自分自身に念じる。

心地よい気が流れ、体が一体化した気分だ。


『親分は何処へ行った』


『急に見えなくなるなんて、怒っているの』


『帰ってきてくれーー』


この隠蔽は凄い効果だ。

従魔ら可哀想だ。早速、念じて隠蔽を解除する。


俺が急に現れたことに気付き、キーが足に跳び付き抱きしめた。


『親分、さっきはごめん』


『親分許してーー』


『主のことを考えずにすまぬ』


『・・・』


『親分・・・』


なんだか、従魔らは勘違いしているが、誤解を解かなくとも気付くだろう。

なにせ、俺らは繋がっているのだから。


それにしても隠蔽スキルは支援スキルで、もしも地上で危険な目にあった場合に役立ってくれるだろう。



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