第41話見つけた




広大な空を舞い続けていた。

グフから飛び降りて、空弾の上に上手く着地して浮上し続ける。

大鷲の群れがやって来たからだ。


大鷲はソニックブームを複数も吐き出して攻撃してくるが、俺の魔法防御に弾かれている。

そのスキに後方の鷲3羽を空弾が粉々にしてゆく。

あの鷲は子供だったのだろう。大鷲の攻撃が激しくなっている。

小さくなった空弾を操り、大鷲の後方にぶつけると小さな穴が開き、大鷲は地面へと真っ逆さま落ちてゆくだけだった。


大鷲の頭上をとったグフは風の刃で攻撃して、わずかにかわした大鷲の右の翼を大きく斬り裂いた。

そのままきりもみ状態で落下。グフもそのまま急降下して止めのを刺した。

その間に、2羽の大鷲に追い掛け回され、急速反転して剛腕の刀でダブルを食らわして2羽共に斬り裂いた。


残った7羽の鷲は、後ろからの光線の連射で次々と仕留められてゆく。


『親分、寂しかったよ。何処に隠れてたーー』


アイの頭上にスラが乗っていて、俺の胸にダイビングしてきたので刀を持った状態でキャッチ。


「脅かすなスラ」


『えへへへ』


「アイも探し回ったのか?」


『もちろん探しましたぞ』


『親分あれは、誰』


「あれは新しく加わったグフだ」


『キーキ』


どうやら「よろしく」と言っている。


『話せないのか?ならばおいらの念話を伝授してやる。ウ~ッヤー』


「それで話せるようになるのか?」


『もう既に伝授したよ、あとは本人しだいだよ』


『お・・・おや・・・ぶん』


『もっと落ち着いて言えば大丈夫だよ』


『おやぶん・・・』


『言えたね、おいらの仲間』


俺はスラに背負いバッグの中へ入ってもらった。


『この中は暗くて気持ちいいよ』


「そうか、それは良かった」


『アイが下で這っていたおいらを見つけてくれたんだ』


「そうだったのか、大変だったな。うん?何処かで戦っている音が聞こえる」


『主、こっちだ』


アイが向かうの方へしばらく向かうと、眼下でリップがブラックウルフ相手に破裂弾を撃ちまくっている。

既に200体以上の死体があっちこっちに散らばっていて、今もリップが逃げながら200体と戦っている。


その戦闘の中に、アイから撃ち出される光線の連射は、凄い威力を発揮して既に50体が穴だらけになっている。

そして俺の背中から這い出したスラは、破裂弾を撃ちまくっている。

こうなると俺は刀を振り難い状態で、空弾を放つしかなかった。


グフは急降下しながら風の刃を放ち仕留めて、地面近くのブラックウルフを捕まえて、上空高くで解き放っている。


『もっと早く、助けに来てくれよ』


リップはそんな泣き言をいっている。リップの細い根が半数近くが噛み千切られていて、太い根も噛み痕が残っている。

満身創痍まんしんそういでぼろぼろ状態の体で、太い根を引きずりながら必死に逃げていた。


俺はリップのかたわらに滑るように着地。


「リップ、この中級ポーションを飲め」


リップは中級ポーションを奪うように取って、フタを開けずにそのまま飲み込んでしまう。

一瞬だが体が光り、みるみると失った根が再生して噛み痕も治っている。


『親分、助かったよ。一生付いて行くからね』


『リップは大げさだな。見てみろおいらの針攻撃を』


レベルアップで強さを増したスラは、一気に無数の針を飛ばし40体程を、毒の餌食にしていた。


『何だと、こいつら相手にあみ出した旋風斬を見ろ』


そういってブラックウルフの密集ポイントに突撃をかまし、2本の剣を上手く使い体を回転しながら斬って斬りまくった。

リップが通った跡にはブラックウルフの死体だけが残っていた。


どうやら新たなブラックウルフが救援にやって来たみたいだ。

ブラックウルフの断末魔だんまつまの叫びを聞いてやって来たのだろう。

あっちに500体とこっちからも400体が向かっている。


更に戦いが激しく盛り上がり、俺の体が光りレベルアップをはたした。

空から攻撃するグフも何度もレベルアップをしていた。


さっきのレベルアップで風魔法Ⅱが風魔法Ⅲに変化して、更なる魔法知識が追加。

手を合わせて合掌後に強く念じた。

目の前に空弾が10弾も発生して、互いに絡み合いながら500体のブラックウルフを襲い始めた。

細切れになるブラックウルフは5分後には殲滅せんめつ

勢いが止まらない空絶弾くうぜつだんは400体のブラックウルフを襲いだした。

どうやら俺が欲しているイメージだけで、生きているように襲っている。


こちらのブラックウルフもようやく、従魔らに倒されて終わったようだ。

グフはふわりと下りてきた。


『は、はじめましてグフです』


『新しい仲間なのか?』


「そうだ、新しい仲間だ」


リップはグフに近づき、細い根で軽く体を抱きついていた。


『リップだよ、新しい仲間のグフ』



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