第33話フロアの敵
3階層はもっと大きな巨大迷路でまだ迷路の端にも辿り着いていない。
通路先に5メートル四方のフロアが有るが、四方の壁には規則正しく穴が開いていて、罠探知でもパチンコ玉みたいな物が発射される仕掛けに成っている。
引き返して迂回すべきなのかと、考えているとライムが勝手に入ってしまい。
体中に玉が命中。今でもボスッバスッと打ち込まれている。
「ライム!大丈夫か?」
『大丈夫だよ。ただツンツンて突っつかれるだけだよ』
『ならおいらも行くぞ』
「キーまで何故、勝手に行くんだ」
『ほらほら大丈夫だよ』
スライムら次々と入って行き、悠然としている。
『親分、玉切れみたいだよ』
「リップ進んでみてくれ」
『OK』
リップが入ったが球は発射されない。
防御魔法を発動してから入ったが大丈夫のようだ。
そして壁には小さな穴が無数に開いている。
『親分、ここに通路があるよ』
これが通路か?成る程、スライムにとって直径70センチの穴は通路と言えるだろう。
全範囲探知と罠探知で調べるが5メートルもこの穴は続き、通常の通路に繋がっている。
「リップとアイはカードへ戻すぞ」
この2体には通れる筈もなく、カードに戻すしかない。
『分かった』
スライムとツタはもぞもぞと簡単に入って行き、俺は這いながらヒジやヒザをこすりつつ進む。
5メートルもこんな姿勢で進むのは、自衛隊の訓練以外見た事もない。
ようやく通路へ這い出した。
全範囲探知に25メートル先に広大なフロアを探知。侍とまだ見た事もない魔物が合計100体も探知。
規則正しく並び、昔の合戦を想像させる。
忍者や侍を倒しつつそのフロア前へ到着。
前列に槍を持った足軽が、その後ろには弓を持った足軽が居る。
そして黒い馬にまたがる侍が、一騎だけ後方にいる。
全範囲探知でフロア奥の壁の台に何か置かれている。
何かお宝が置いてある感じで期待が膨らむ。
その為にもここを突撃して戦うしかない。
「気合を入れて戦うぞ。ツタは左から叩け、そしてリップは中央突破。アイは高い天井を活かして高い位置から攻撃だ。スライムらは好きなように戦え」
『おいらは頑張るぞ』
『主、任せるのだ。攻撃して皆殺しにして見せますぞ』
『勝ってやる』
「突撃!」
俺は右に駆け出しながら、【黒沼】を発動。
右側の28体を一気に沼に沈める。
俺の体が光りレベルが上がった。
空中高くから光線の連射が、侍を中心に命中。白い土煙が舞う。
20本近くの矢が飛んでくるが、リップは盾で弾き飛ばす。
ツタはツルで矢を掴み投げ返している。
スライムに矢が刺さるが、その矢を溶かして吸収。
3体の足軽が青い炎に包まれ、その炎は別の足軽に燃え移る。
俺は空弾を連発して足軽を狙う。居並ぶ足軽8体が粉々になり、後ろも巻き込まれ手足が千切れる。
リップが中央突破して、血だらけの侍と馬を斬り刻んでいる。
足軽が横から槍を突こうにも、
もがき苦しむ足軽の体を越えて、ツタが槍を槍で弾き別のツルが首に巻き付き締め上げる。
集まって防御に徹する足軽に雷撃が落ち、消し炭になった数12体。
ようやく戦いは終息。
リップとツタは魔石を取り付くした後で、死体をあさり出して花の中へ放り込む。
俺は壁の台に行き、指輪が有ったので取ろうとしたが光り輝き、光りがおさまると指輪は無かった。
落としたかと下を探す途中で気が付いた。
はめていた二重リングが三重リングに変わっている。
何かリングに力がみなぎる。試しに空弾を作り始めて、壁に向かって放つ。
「ドドーン」と壁に2メートルの陥没が出来て、周りに幾つも亀裂が走っている。
今まで使っていた空弾を越えた威力を発揮。
「結構な威力だ」
『親分、脅かさないで』
「驚いたか?」
『腰が抜けそうになったよ』
「スライムのお前に腰ってあったのか?」
『エヘヘヘ、ないよ』
『腰ならあるぞ』
急にリップが割り込んできた。腰がキーワード。
「リップに腰って有るのか?」
『ここが腰で上が胴体だぞ』
「どう見ても同じにしか見えないがなーー」
『この微妙な形が分からないとは、情けない』
その微妙が分かる筈もなく。
「その腰を大事にしろよ」
『親分、カードが有ったよ』
「どれどれ」
それは弓を扱うスキルであった。
弓技
弓の扱いが上達する
俺は遠距離攻撃を持っているので、もう充分で従魔に試すのも悪くないと思った。
リップかツタのどっちかだが、リップは既に鎧があるのでツタにする。
ツタを前にカードをかざして念じる。
カードは消え、ツタが光った。
カードホルダーから弓セットを取り出し具現化させる。
弓+1
STR6
― ― ―
矢+1
STR4
「ツタ、これを使って射ってみろ。あの陥没の真ん中を狙え」
ツル2本が器用に取り、弓を構え矢をつがえると強く引きしぼり射る。
見事に中央に刺さっている。
「見事だ。今後使っていけ」
『頑張るぞ親分』
『親分、こっちの通路に行くのか?』
「そうだな、それしかないから行くか?」
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