第14話8階層




俺は朝の6時半には家を出て、6時40分には多々良ギルド支部前でまだかまだかと歩き回っていた。

ようやく村役場のある方から、山田のおばさんがカバンを持ってやって来た。


「なんだあんたか、こんな早くからどうしたの」


「ダンジョンに急いでいるので開けて下さい」


「あんたも、せっかちだねー」


ガチャガチャと鍵が開けられ、ドアも開けられる。

おばさんはのんびりと照明をつけると、カウンター奥へ行き幾つかの電源を入れている。


「誠!7時前にカードをかざしても読まないよ。設定時間が7時だからね。本当にせっかちだね」


機械の表示時間が7時になった。

冒険者カードをかざして読ませる。

バッグを持つと急いでダンジョンへ入る途中に、遠くに見える村の冒険者集団を発見。

隠れる様にダンジョンへ突入。



1階層の半分まできた時に急に3匹のスライムが天井から落下。

ツタがツルで3匹とも貫き、スライムを干からびさせている。

ツタが居なければ、俺の頭に落下していたハズ。

失敗だった魔物探知がおろそかになっていた。

格下のスライムを見下し油断していた。

気合を入れて「油断するなバカ野郎」と叫んだ。

急ぐ事に集中し過ぎた。初心に戻って出発だ。



従魔らの活躍で最短ルートで突き進み、4階層では毒耐性の実カードを手に入れた。

これは自分自身に使うしか選択の余地はない。

毒耐性の実を食べ終わった瞬間に、又も体が変化した感覚が走り抜けた。

ステータスを確認すると、毒耐性が毒無効に変わって表示されている。

本当に毒が無効になったのか心配だ。

そして毒を飲んで試す事も出来ない俺だった。

この4階層でも防毒マスクは付けたままで、外す勇気は出ない。

ネットでも毒無効と言うスキルは存在しない。

この問題は毒を持った魔物に噛まれて、ようやく解決する問題だ。



5階層でダンゴムシ相手にパワースラッシュを習得した。

地方ギルドで悩んで買ったキラーナイフ。

スライムナイフの二刀流でダンゴムシが止まった瞬間に、右と左で同時に斬りつける事に成功。

その瞬間にパワースラッシュの攻撃スキルを習得。

スラッシュの3倍のダメージを与える優れもので俺は満足だ。



ようやく8階層へやって来た。

従魔らの遠距離攻撃のせいで、6階と7階の魔物を見ることもなくここに来ている。


青い塗料缶で吹きかけてようやく見えるクモの糸。

通常の刃物では切れない糸で冒険者を困らせる。

ネットで見た記事で、火炎放射器で焼き払う方法が試され失敗に終わった。

焼き払う作業中に気絶、そのまま一酸化炭素中毒で死亡。

酸素ボンベを背負うにも、邪魔で却下された。

しかし魔法の火魔法を使えば問題は解決。

魔法の火は周りから酸素を使わずに燃やしている。


俺の従魔には、ピーがいる。

今は火球で燃やしつつ通れる通路を確保。

襲って来るクモはツタが放つツルの一突きで干からび、リップは捕まえては花へ放り込み食べている。

一斉に来る20匹のクモも、キーの雷撃の前では一瞬で討伐。

俺は地面に落ちたクモの糸カードを回収。

今では極上のクモの糸カードが3枚にもなった。

クモの糸は、冒険者の服に使われ、切れない服として結構高い値段で販売されている。

俺の服は防刃と耐摩耗性に優れた布で作られている。

上は22000円で下のズボンは30000円。

クモの服に比べると、かすんで消えてしまうレベル。

だが今回は極上のクモの糸で、オーダーメイドの服を作れるかも知れない。

又も妄想が膨らんでしまう。



地図アプリも7割近くを攻略。階段の位置も印が付いている。


「そこの通路を右だ。クモが待構えているぞ」


右にゆくと待構えるクモが動き出した。


クモが腹部後方から糸を出して攻撃。

スラに当たるが消化されて、反対にピーの攻撃を受けて燃え尽きた。

クモの巣の陰から飛び出して来るクモに、【黒球】を放つと当たった瞬間に消滅。


俺は残ったクモに【吸魔】を発動。MPが8ポイント回復。

そして硬直して落ちたクモをパワースラッシュで仕留める。

そして8階層の地図が完成。

9階への階段へ向かって速度を速める、魔物気配は無いまま階段に到着。


時間も19時を過ぎている。

早速寝る準備を済ませて、携帯食と野菜ジュースを取り出して食事タイム。

どうも腹が減ったので携帯食を1つ多く食べてしまうが、まだ食べたりない気分だが我慢。

結構、俺自身は体を使って戦ったと思う。

近頃従魔らに任せきりだったが、黒魔法もこの階層なら【吸魔】を使い幾らでも黒魔法が使える。

接近戦も合わせて俺自身を鍛えることを今回は考える。



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