第13話家を買う




神戸で少しばかり観光を楽しみ、元町で中華を思う存分食べた。

そして三宮で買い物をした後で、多々良村へ帰ったのが夜の21時を過ぎていた。

家に入ると、寝室のデスクでPCの電源を入れる。

早速、兵庫地方ギルドのオークションサイトで出品項目を【木の実】で検索。

俺の大きな木の実がトップの項目にあった。閲覧数も1万以上も超えていた。


鑑定結果


大きな木の実


HP+50が追加される


始まりの値段が5000万円と書かれていて、ゴクリと生唾を飲み込む。

神経を減らす思いをしたが、値段を見た瞬間に吹っ飛んだ。

期待と不安が交互に襲い、ただ見ているだけ。

その見ている中で閲覧数の数が増える度に、ドキドキとしてきた。

一応出品されている事は確認できた。

柱の時計を見ると、23時23分。

そんなに長い時間見ていたらしい。俺自身呆れてしまう。


帰り道にコンビニでサンドイッチとコーヒーを買って、運転しながら食べた。

しかし、少し腹が減っているがあとは寝るだけだ。

寝る前に食べると太ると言うので、我慢するしかない。

そんなことを思いながらベットの中に入ると、金が入ったらと妄想にふけりながら就寝。




ゆっくりと寝たので、遅い朝食を取って村役場へと出かける。

ここの村役場も老朽化が激しいが、予算が無いので素人が塗った壁は刷毛ムラが激しい。

そんな中で冒険者専用窓口に向かい、太った田村のおばさんに声を掛けた。


「田村さん、今住んでいる家を買いたいのでお願いできますか?」


「ああ、あんたか出来るよ。ちょっと待ってて、えーと確かああこれか400万円だよ」


バッグから現金400万円を入れた袋を取り出して、窓口に袋から400万円を抜き取り並べて置いた。

この金は兵庫地方ギルドで下ろしてきた金。

なので冒険者カードには、55万円しか残っていない。

苦労して貯めた金だ。


そして、ここに来た時に一番安い家賃の家を選んだ。

そして買取の場合は400万円と聞いて知っていた。


「現金だね。課長!青柳さんが家を買うっと言ってます」


「どれどれ、成る程現金持参だね。・・・これが預かり証で面倒な手続きはやっておくよ。今度の月曜日に判子を持って来るように」


「判子なら持ってきてます」


「残念だがこっちが書類が揃ってないんだよ」


「分かりました。ありがとうございます」


頭を下げて、村役場を出ると新しい移住家族だろうか、車の後に引越しのトラックが通り過ぎた。

俺が来た時は、この村は大丈夫かと思ったものだが、少しづつ活気が出てきた気がする。


家に帰った俺は、この家が俺の物になるのかと思うと、今まで感じた印象が違ってきている。

今度から庭の草狩りも真面目にしようと思う。


それでは、PCを稼動させてネットでの多々良ダンジョンへの連泊申請を事前申請する。

冒険者カードの登録番号を入力、次はパスワードを入力。

前回申請したので今回は早く入力できて終了。


村の冒険者の報告されている階層を見たが、6階層と7階層で活躍している。

8階層の魔物も報告されているので、見てみたがネコ程の大きさのクモだと判明。

それも10匹程で襲うため、手を焼いている状態で先に進めないらしい。

クモの糸が厄介だと書かれている。


6階層と7階層の攻略された通路を確認。

まだ80%しか攻略されてないが、階段までの最短ルートは手に入れた。


今回のダンジョンへは6階層と7階層は最短で抜けて8階層へ行く。

6階層と7階層は、今回も村の冒険者が来るので従魔らを見せる訳にはいかない。

なので8階層で魔物討伐して目に触れない様にしたい。

できれば9階層まで行きたい。

そして上手く行けば10階層へ、行ってみたい。

10階層からは、中級魔石Aが手に入る。値段は30万円。

6階層から9階層は中級魔石Bが手に入るが値段は1万円。


そして10階層はそれだけ強い魔物が居る。

それとダンジョンの特異性が現れるのが10階層。

1階層から9階層までは決まった魔物であるのに対して、10階層からは1割の確率で違う魔物が現れる事がある。

そんなダンジョンをレアダンジョンと呼ばれている。


そしてダンジョンの特異性はまだある。

それはダンジョンの色に染まる事。

ダンジョンには色で区別されるマナの色が存在する。

今解明されている色は、赤・黄・青・緑・紫・白の6色。

なのでダンジョン会話の中の色は、この事を指している。

同じ色のダンジョンなら潜っても、普段のスキルや力が発揮される。

しかし違う色のダンジョンに潜ると、スキルが使えず力も半減。


ダンジョンの色に染まる時間が168時間だと言われている。

それでも違う色のダンジョンに潜る方法はある。

違う色に潜り合計1000時間も弱い状態で魔物と戦う事。

それによって前の色が抜け新しく色に染まる。

村の冒険者のリーダー山田勇やまだいさむさんも半年近く苦労した。

俺は染まる前に、高校を中退して逃げるようにここにやって来たので苦労はしなかった。


そしてダンジョンの謎と言われる不思議な現象も確認されている。

色に染まって違う色に染まり、そして3度目を行なうとダンジョンに入った瞬間に死んでしまう現象。

偉い学者があれこれ学説を唱えるが、明確な答えは今でも出ていない。

そのせいでダンジョンへの弊害が色々でている。


なので多々良ダンジョンは、何色か分かっていない。

山田勇さんが赤の色だった事で、赤で無い事は分かっている。

違う色のダンジョンに潜るのは、大変なリスクがあり冒険者もそれを知っている。

なので違う色や分からないダンジョンには潜ろうとしない。



ダンジョンの魔物から必ず取れる魔石。

ある科学者が魔石を研究をして、その成果を発表。

魔石から電気を取り出す方法を見つけたのだ。

しかし魔石の種類によって取れる電気量は違う。

その為、取れる電気量で細かく値段が設定された。

俺が売っていた低級魔石は充電器程度しかなく、中級魔石で飛躍的に上がる。

そして二酸化炭素を出さないクリーンエネルギーとして世界が注目。

上級魔石ならアタッシュケース程の機器で火力発電をまかなえる。


そして各国は魔石の争奪をするようになり、第3次世界大戦に突入寸前までになった。

各国のダンジョン数のバラツキが問題だった。

例のダンジョン爆破事件やテロが切っ掛けでギルドが設立。

ギルドが一手に魔石を扱い、国連で議決された魔石量を公平に配布する事で、第3次世界大戦が起こることはなかった。



それでも諦めない国は存在する。

その為ギルドには、そんな国相手に分からない様に暗躍する組織【JIBA】(ジバ)が設立。

諜報から妨害活動と暗殺まで行なう組織。

それを承認した国は先進国7カ国であった。

その為、当初設立から指導までアメリカとイギリスが行なった。

その為かCIAと合同で任務遂行をして達成させている事案が多い。



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