第12話オークション出品
ここ新幹線が止まる新神戸駅が見えた。
その近くの兵庫地方ギルドもようやく見えてきた。
見事な20階建てのビルが兵庫地方ギルド。
この裏を歩いて15分程度で神戸ダンジョンの出入り口がある。
そこから更に歩いて行けば布引の滝を見るポイントまで歩いて行ける。
駐車場の案内表示坂には、わかりやすく絵で描かれていた。
俺は地方ギルドへ緊張しながら入ると、1階ロビーは広くしばらく呆然として立ち尽くす。
ビル中央が吹き抜けになっていて、天井の一部はステンドグラスでトカゲと戦う人が巧妙に作られていた。
「どうかなさいましたか?」
綺麗な女性が話しかけてきた。
「あ、オークションに出品したいのですが?」
「そうでしたか、あちらの階段前で荷物チェックと身体チェックをしたあとで、2階の7番がオークション窓口です」
「どうも、ありがとう」
俺は頭を下げて、言われた階段へ向かうと列が出来ていた。
最後尾に並ぶと10分後に俺の番。
荷物をコンベアに載せて、俺はゲートに冒険者カードを差し込み、それと同時にゲートを
ゲートを出て右手前にカードが出ていた。
そのカードを取って、俺のカードだと確認。
目の前の背負いバッグを掴むと、階段を上がり7番の窓口を探す。
他の窓口は賑わっていたが、目の前の7番は誰もいない。
「あのーー、オークションに出品したいのですが?」
「それでは、冒険者カードをこちらに差し込んで下さい」
言われるまま差し込んだ。
「青柳誠さまですね」
「はい、そうです」
「それでは、どの様な物を出品でしょうか?」
背負いバッグを開けて探し、紙に包んだ大きな木の実を2つを窓口に置く。
「木の実にしては大きいですね、どのような効果でしょうか?」
「木の実の50倍の効果があります。私自身試したので間違いありません」
「・・・しばらくお待ち下さい」
そう言って、立ち上がり奥の部屋へ入ってしまう。
何か不味いことを言ってしまったかと、そのドアを見続けるしかなかった。
「青柳さま、カードと品物を取って、私の後へついてきて下さい」
いつの間にか後ろに居るあの女性。
女性が行くので仕方なく付いて行くと、ドア前でカードをかざして穴を覗く女性。
あれは眼球の
ドアを開いてそのドアを押さえる。
「そちらにカードをかざして下さい」
言われるままカードをかざすとピッと音がする。
俺は簡単に出品できると、ネットの書き込みを信じ過ぎた。
匿名での出品は、窓口業務で終了だったのに何故なんだ。
動画でも案外簡単な出品のタイトルで、色々見て知っていたのに
そしていつの間にか俺の後ろには、強そうな警備の2人が付いて来ている。
「どうぞ入って下さい」
これでは逃げることも出来ない。
長い廊下を行くと、突き当たりの部屋で又カードをかざしピッと音が鳴る。
ドアを開かれた。
「入って下さい」
幅広の長いテーブルの向こうに2人の男性が座り、傍らにメガネを掛けた女性が立っている。
そして奥の方に1人の女性が、腕を組んでこちらの方を見ている。
どうも居た堪れない思いで立ち尽くす。
男性が「どうぞおかけになって下さい」
椅子に座ると、男性が名刺ケースから名刺を取り出し、俺の前にその名刺を差し出しながら名乗った。
「風間です、出品の担当をしています」
俺は初めての名刺を受取る。
「それでは木の実の出品だそうですが、鑑定をしても良いでしょうか?」
「はい、いいですよ」
そう言って、背負いバッグから大きな木の実を2つを、テーブルの上にゆっくりと置く。
するとメガネの女性が木の実に近づき、メガネを触りながら大きな木の実を丹念に見ている。
鑑定が終わったのか、風間の耳元で囁いている。
「分かりました。出品をさせて貰います。次の日曜日でよろしいですか?」
「はい、それでお願いします」
「青柳さま、こちらへどうぞ」
ドアを開けられ、女性について行きあの窓口でカードを渡された。
「木の実の預かり証になります。落札後はギルド銀行に振込みますか?現金で受取りますか?」
「振込みでお願いします」
やっと解放だ。ブラブラとギルド内を探索。
どうも赤い枠で廊下やドアに示されている所は、職員以外立入り禁止だと警備の人に注意されて、赤っ恥をかいてしまった。
どうも冒険者は、1階と2階のここだけが自由に出入りができて、それ以外は職員の同行が必要らしい。
どうも多々良支部と全然違う世界だと、感心してしまう。
・ ・ ・ ・
「青柳誠はどんな人物なの風間くん、何か分かったの?」
「スキルはカードマスター、レベル12に成ったばかりです。多々良支部が拠点です。なのであの木の実も多々良ダンジョン産で間違いないハズです」
「あんな所でドロップしたの?」
「詳しく情報が必要でしたら、情報員を派遣しますか?」
「そうだねーー、それしかないかも」
「関係あるか分かりませんが、急に魔石の数が増えたのに、今回の5泊では魔石の販売はありません」
「そうなんだ・・・本当にその効果で間違いないの?」
「わたしの鑑定に間違いはありません」
「東条くん、疑ってる訳ではないんだ。今までにない物だから信じられないだろう」
「もしかしてレアダンジョンかも知れません」
「成る程、それなら納得だね、しかし誰が調べるの・・・」
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