第10話新たな仲間
俺が目覚めた時には、スマホの時間は12時を過ぎていた。
「そうかスマホのアラームをセットしないまま寝たせいか?」
どうも精神と肉体が思っていた以上に疲れている。
ダンゴムシの移動速度に対応する為、緊張を強いられ続けたのが原因。
従魔をもっと信頼するべきなのか?
ソロで活動していた癖で、どうしても1人でやってしまう。
5階層の階段付近で戦い続けて、カードがドロップした時にリップに持たせた袋に入れる様に指導中。
何度も掴むのに失敗したが、どうにか掴むコツを覚えたようで俺は嬉しい。
俺が倒して手に入れた魔石を放り投げると、花を落下地点に移動させて食べている。
なんだか動物園の調教師になった気分だ。
もう何度も見ていたが討伐とカード回収を問題なくこなしている。
「6時間ぐらい戦ったら、階段へ戻って来い。分かったな」
リップは分かったと根を振り答えたが、スラとライムは無反応。
リップばかりにかまっていたので、もしかしてすねているのか?
しかしリップが動きだすと、跳ねながら付いてゆくので、帰って来たら魔石を与えてなでてやるか・・・
従魔に時間の観念が有るのか無いのか分からないが、戻って来ない場合は俺が戻れと念じれば帰って来るだろう。
今の時間は14時23分、俺は階段へ戻り休憩でもしよう。
階段に戻ったがここでする事は限られている。
食うか寝るかしかなく、どうしたものかと考える。
エアーマットや背負いバッグと2リットルの水を少しだけ移動。
物が動かない状態が12時間続くと、消滅する為気が付いたら移動するように心掛けている。
スマホにアラームを20時をセット。寝る前に又移動させる必要があるからだ。
少し面倒だと思うが、仕方ないことなので諦めるしかない。
あ!階段からピーとキーのコンビが戻って来た。
俺の前でピーがカードをプイと吐き出す。
「えらいぞー、頑張って集めてきたなー」
言いながら2匹の体をなでてやる。
喜ぶ2匹は、又階段を飛び跳ねながら上って行ってしまった。
集めたカードを1枚1枚収納。
大きな木の実1枚が又増えた。
次にフローディアカードが10枚に達したので、取り出して確認。
絵柄は手の平の形をした葉が沢山生えたツタの集合体が描かれている。
裏を見る。
ツタ 【強】
HP180
HP 50
攻撃スキル
締め付け・連打・吸血
どう考えても接近格闘系にしか見えないスキルが揃っている。
カードを放り投げてイメージをすると、ツタが出現してゴソゴソと移動。
壁に這いながら、3メートルも広がり茂っている。
「あの地面を連打だ」
俺が指差した地面に、ツルが急に10本程伸びてダンダンダンダンと穴を開けている。
凄い連打と感心してしまう。
「向こうの壁へ移動しろ」
ゴソゴソゴソと天井へそして向こうの壁に移動して茂っている。
普通に走る速度とかわらない、充分に戦闘に向いている。
コイツはツタと書かれていたから、名もツタでいいだろう。
ツタを連れて、5階層を移動。
進んだ先からダンゴムシの転がる音が響いて来る。
「ツタ、もうすぐダンゴムシが2体来るぞ。お前の実力を見せてみろ」
最初のダンゴムシは、2メートル先でツル4本によって刺されて、体液が吸われた様に干からびていた。
次のダンゴムシは、ツル6本に捕まり締め付けられている。
丸い状態が維持できずに、無数にある足をバタつかせている。
そのまま体が2つに別れた。そして別れた体にツルが伸びて体内に進入し吸取りだしていた。
「倒した魔石も食ってもいいぞ」
するとツルが伸びて、先端が魔石に触れると一瞬で魔石は消えた。
ツルの先端に口の様な物があるのだろうか?
又移動した先でダンゴムシと出会い、ツルの連打で3体が討伐。
充分な実力を示したので、階段へ帰り今は壁に茂っている。
見栄えしないダンジョン内で、緑が茂っているだけでも何故か癒される気分。
暇を持て余した俺は、スマホにダウンロードした小説を読み始める。
しばらくするとリップとスラとライムが戻って来た。
リップは俺に袋を渡した後、不思議そうにツタを見て根で触ろうとする。
「リップ!仲間のツタだ。だから手を出すなよ」
出し掛けの根をピタリと止め、花を左右に振ってナカマナカマと喜んでいる。
そうか同じ植物系だから仲間意識が強いのかも知れない。
そんな時に、スマホのアラーム音が鳴り出した。
もうそんな時間か?
エアーマットと水とバッグを少し移動。
エアーマットに横になるとスマホを明日の8時にアラームをセット。
「今から寝るから後は任せた」
充電器に繋げて横になると、寝過ぎたせいか眠れない。
あれこれ明日の事を考えていると、知らない間に寝てしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます