第9話5階層




ここ5階層のダンゴムシは体を丸めて高速回転させながら向かって来る。

その回転力を使って天井でも駆け上がり、頭上から襲うダンゴムシであったが、リップはあの花でガブリと受け止めてガリガリと嚙み砕いている。

甲羅が固く武器破壊の異名を持つダンゴムシをいとも簡単に食っていた。


スラの針攻撃は、あの固い甲羅と回転によって弾かれ通じない。

それでも速いスピードで転がって来たダンゴムシに跳びかかり、強い衝撃もスラの体で吸収して素早く消化。


ライムの場合は、水球に当たった瞬間に半分以上が溶かされ、ライムに近づくことも出来ない。


それでもスキを付いて俺の所へ来たダンゴムシは、黒魔法の【黒盾】にぶつかった瞬間に暗黒の世界へと消えた。

【黒盾】は1メートルの丸形盾で、どうやら暗黒世界と繋がっていて魔法攻撃でも飲み込まれる。

その世界に入った者は二度と戻ってこれないと俺は信じている。


リップは花をもぐもぐさせてプイッと何かは吐き出した。

それはカードで、拾い上げて確認すると磁石球カード。

結構強力な磁石で、日本政府は買い取りキャンペーンを実施した時期もあった。

値段はたしか3万2千円だったと思う。

そして俺は思い出した。

ある学者がこの磁石を使ってダンゴムシが、高速回転をする仕組みを発表したニュースを見た。

内容は読まなかったので分からない。


本当ならドロップ品で甲羅が出ることもあるのだが、従魔の討伐方法を見る限り期待は出来ない。

甲羅で軽い鎧が作れるのに、俺の黒魔法でも消滅させるので残念だ。


しばらく進むと、この階層のトラップ通路に到着。

ここは傾斜になっていて、傾斜の中央まで来た瞬間に2メートル先の天井穴から、ダンゴムシが高速回転しながら現れる。

それも間隔をおいて10体が出る為、村の冒険者も遠回りさせられる通路。


俺には秘策があるので大丈夫。

傾斜を進むには、両手両足を使って登れる様に微妙に凹凸がある。

俺が先頭で両手両足を使って登りだした。

中央直前に【黒盾】を発動。それを移動させて穴の下に待機。

そのまま進むと、隙間から【黒盾】へ入ってゆくダンゴムシが見えた。

そのまま数を数える。9の時に俺の体は光った。

ようやくレベル11になったみたいで、そのまま登りきった。

スラとライムは心配することもなく登ってきたが、リップは根を上手く使い登ってくる。


「ステータスオープン」


青柳誠あおやぎまこと


Lv11


HP110+50

MP70


STR5 VIT3

DEF3 INT5

DEX5 AGI6


固有スキル

カードマスター

カード化・カードホルダー・従魔・カード鑑定


魔法スキル

黒魔法


攻撃スキル

スラッシュ


支援スキル

魔物探知


カード鑑定が表示されている。

ようやく鑑定が出来るのか?喜びながらあのカードを取り出す。

赤い木の実カードを取り出して確認。

絵柄の裏に説明文が書かれている。


毒耐性の実


食べると毒に対して50パーセントの耐性がつく

毒耐性の実を2つ食べると毒を無効化できる


「毒耐性か?悪くない効果だ。しかしもう1つ欲しい」


スライムカードを取り出して見る。


スライム 【無】


HP20

MP 5

ー  -  -  -

フローディアカードも取り出して見た。


フローディア 【毒】


HP100

MP 50


神経毒

ー  -  -  -

ライムをカードに戻して確認。


ライム 【水】


HP100

MP100


酸球

ー  -  -  -

スラも同じくカードに戻して見る。


スラ 【毒】


HP80

MP80


毒針


習得して間もない為か、経験が足りないのか?

少ない情報だが有るだけでも良いと考えるべきなのか?


スラとライムを具現化させて元に戻す。


「お前ら周りのダンゴムシに注意するんだぞ」


そして、毒耐性の実カードを具現化させてそれを食べる。

味は苦くて少し粘りがあって食べ難いが我慢して食べきった。

しばらくすると体に少し違和感を感じる。

ステータスを確認すると、防御スキル・毒耐性と追加表示されている。

4階層に行って試したいが、フローディアの毒に掛かるのも何となく嫌だ。

次回の毒耐性の実がドロップするまで現状維持で良いだろう。


俺の魔物探知が探知。


「またダンゴムシが右から来ているぞ」


右通路から現れたダンゴムシは、高速回転し続けて急激に向きを変えて向かってくる。

先頭に居たリップが口を大きく開けて待構え、口に入った瞬間ガガガと削れる音がして一気口を閉じる。

又現れたダンゴムシも同じ様に食らうリップ、ガガガとグシャ、ガガガとグシャ・・・プイッ。

口から吐き出したカード3枚を拾い確認する。


超磁石


磁石としての機能がある


「なんだ、しょぼい説明だけか?」


色々考えさせられる鑑定だが、もうしばらく様子見するしかないだろう。


もう時間的に階段へ戻らないと21時を過ぎるかも知れない。

はやく戻るには、来た通路を逆に戻るだけ。

早速来た傾斜を滑り落ちてるが、バランスを崩し変な体勢で落ちた。


「あ!やってしまった」


足を少しばかりひねってしまった。

低級ポーションカードを具現化して、ひねった足のブーツゆっくりと脱がしポーションを掛ける。

嘘の様に痛みが消え強く触っても大丈夫だった。

再度ブーツをはいて出発。


なんとか3回の戦闘で階段へたどり着いた。

エアーマットの近くにカードが乱雑に置かれている。

ピーらが1度戻って来たらしい。

それを回収して、エアーマットの上に座ると改めてカードバインダーを確認。

大きな木の実カード1枚が増えているが、フローディアカードは1枚しか増えていない。


少し遅いが携帯食で腹ごしらえをすませる。

そして、残った水を全部飲み干した。

そして横になると、いつの間にか睡魔に襲われ寝ていた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る