第4話ゴブリン討伐
今日も朝早くから起きて準備をしている。
玄関の壁に掛けた手を保護するプロテクターを装備して、握ったり開いたりして感触を確認。
胸だけを保護するプロテクターも装備して、脇のバンド調整を入念に調整。
それが済むと厚い特殊加工されたコンバットブーツを履き、紐をギュウギュウと締め付ける。
この瞬間が、別の世界へ行く儀式になっていて大事にしている。
背負いバッグを掴んで玄関のドアを開けて外へ一歩を踏み出した。
薄明るい朝は、やはり薄寒さを感じさせる。
白い息を吐きながら、ギルド支部へ向かう途中に村の冒険者に出会ってしまう。
「お!坊主、昨日は頑張ったみたいだな」
「やっとレベル10になったので、順調に倒してます」
「なんだマコトは俺より5も下だったのか?」
「田村、あんたは口が悪いから、それ以上言わないでおけ」
「リーダーには、かなわないなー」
そんな話をして歩いていると、ギルド支部に到着。
支部内に入り、冒険者カードを機械にかざしてデータを読ませる。
そして次々と支部を村の冒険者は出て行く。
その姿を見送っていると、沙紀が俺を見ながら話しかけてきた。
「あんたもレベル10に成ったみたいね」
「・・・」
「新しいスキルでも習得したの」
「ああ、それなりのスキルを習得したよ」
「そう、良かったね」
俺も機械に読ませて、ここに設置されたPCからスマホへ2階層と3階層の地図を急いでダウンロードを済ませる。
後ろから沙紀の目線を気にしながら、スマホの地図アプリでその地図を確認。
逃げるように支部を出てゆく。
この村に来てからも、余り話しかけて来なかった沙紀が、どうして今日に限って話し掛けて来たのだろうか?
まあそれはそれで良い、年の近い者は俺しか居ないのがこの村の現状。
後は小学生が8人と中学生が3人で、村役場の住民増加計画でやって来た5家族の子供達が大半。
その家族も冒険者としてパーティーを組み、細々とドロップ品と魔石を売って収入を確保しているらしい。
そして小さいながら畑を耕し、自分達で消費する野菜を作っている。
スライムと出会うこともなく階段まで来てしまった。
あの人達はやっぱり強いと思う。
目の前の階段を下りると、この階層のゴブリンと戦う音が聞こえてくる。
その音も1分もしないうちに終わってしまう。
このまま後を付いて行けば、ゴブリンの戦闘が無いままになりそうなので、横の通路へ移動。
奥からゴブリン6体がギギギと鳴きながら現れて、互いに何かを話し合っている。
俺を見つけた瞬間に、棍棒を地面に叩きつけて喜び駆け出したが、地面につまずき転倒。
後ろのゴブリンも押される様に互いに倒れだした。
俺はスラを掴んで、ゴブリンの頭上に放り投げる。
スラは体を広げて、ゴブリンの頭上に上手く落下。
網で一網打尽にした状態。抵抗する6体のゴブリンを一気に消化して終了。
地面には低級魔石6個と臭い玉カードが残っていた。
臭い玉は、10階層内まで使えるドロップ品で、地面に叩きつけることで壊れ臭い匂いを一面に広げる。
その臭いは魔物が嫌う臭いで、逃げる際によく使われる。
ただし、ゴブリンと11階層から下は余り通用しない。
しかし動物系の魔物には有効らしい。
ギルド買取価格は平均5000円で、価格変動も激しいドロップ品。
俺の従魔がゴブリンにも容易に戦えることを確認したので、階段への最短ルートで向かう。
やはり討伐済みの為か、ゴブリンには出会えなかった。
アプリを見ながら従魔に向かう道を指示。
「そこの右へ行け」
簡単な指示なら、言われた通りに従ってくれる従魔達。
最短ルートの半分まで来た時に、俺の魔物探知が11体のゴブリンを、右の通路から向かって来るのを探知。
「11体のゴブリンが来るぞ。戦う準備をしろ」
俺は黒魔法の【黒沼】をいいタイミングで、ゴブリンらの中心に発動。
地面に黒い沼が発生して一気に広がる。
10体のゴブリンが黒い沼に捕まり、徐々に黒い沼に引きずり込まれ姿を消した。
残ったゴブリンは、ピーが発射した球で仕留められている。
【黒沼】の使用で10ポイントもMPを消費。
【黒球】の1ポイントと比べると消費が激しい。
あと少しで階段なのに、通路横のくぼみに4体のゴブリンが隠れている。
俺の魔物探知でその存在が知られている事をゴブリンは知らない。
スラは天井を這いながら向かい、2体のゴブリンの頭上に到着するとそのまま落下。
もがくゴブリンを消化。透けて見えるのでやるせない気持ちになる。
慌てた2体のゴブリンが姿を現すと、待機していたピーが連続で球を発射。
ゴブリンの体に命中。体に大穴を開けて倒れ込む2体のゴブリン。
しばらくすると2体のゴブリンは、ダンジョンに吸収されて消えてしまう。
その跡には魔石4個だけが残っていた。
階段付近でしばらく休憩。
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