第5話コボルト討伐
ゴツゴツとした通路を歩き続けてしばらくすると、待ち構えている魔物が遠くから見えてきた。
3階層からはコボルトの戦いになる。ゴブリンより手強い相手だ。
コボルトは剣や槍と弓を使ってくるので注意が必要。
連携しながら攻撃してくるので、ゴブリン相手の様に力任せでは倒せない。
一定の距離に近づくと、剣を持ったコボルト1体と槍を持ったコボルト2体が駆け出して向かってくる。
その後方で弓をつがえるコボルトが2体が見えていた。
その弓を持ったコボルトに向かって【黒球】を連続で2発を発射。
弓の狙いが定まる前に仕留めた。
「残りは任せたぞ」
天井を這っていたスラが、先行していた剣を持ったコボルトの頭上に落下して1体を仕留めた。
ピーのピンク球が1体に命中。最後の1体は新たに加わったライムが水色の球で溶かしてしまった。
地面の魔石を拾いながら袋の中へ入れて、一杯になった袋を背負いバッグに入れてから、新しい袋を取り出す。
ここまでのカード化したカードは、剣カード2枚・槍カード1枚・弓カード2枚・矢5枚。
この弓を具現化させて、試しに使ってみたが経験のない俺には、コボルトに当たる前に地面に落下。
しかしネットで書かれた通りに、射抜いた後の10秒後には矢は戻って来た。
不思議な武器として有名であった。
なのでギルド買取価格も弓と矢の1セットで、50万円が平均価格として買い取られる。
矢単体では30万円。
そして剣は40万円で槍は25万円で買い取られるのが相場。
しかしコボルトカードはまだ現れていない。
ギリギリまで粘ったが、コボルトカードは何故かドロップしない。
そろそろ時間が残り少ない。
ライムとピーをカードに戻し、スラを抱えた状態で走り出す。
腕時計の時間を気にしながら、走る速度を上げる。
途中で出会った魔物は、スラを投げつけて仕留めた。
俺のMPは3ポイントしか残っていない。
帰る途中でスラはレベルアップをして更に消化速度がはやくなっている。
どうにかMPを1ポイントと残し、5メートル先に階段が見えてきた。
黒魔法の【吸魔】を使って相手の魔物から、20パーセントのMPを奪って来たがMPが少な過ぎた。
1ポイントのMPを消費して、ゴブリンは2ポイントでスライムにいたっては1ポイントしか奪えない。
これ程少ないとは思ってもいなかった。事前に試して検証するべきだった。
地上へ上がる階段付近でスラをカードに戻し、階段を急いで駆け上がる。
ギルド支部に到着した時には、時間は19時35分。
急ぎ機械に冒険者カードを読み込ませると、窓口で今日の魔石を買取って貰う。
ギリギリセーフで、ここ多々良支部は20時で閉店。
もう少しで罰金10万円を払う羽目になり掛けた。
PCの前まで行くと、操作して見たい項目を開いた。
今日、出かけた2パーティーはダンジョン内で連泊する予定でそれを確認。
PCの画面にも、しっかりと表示されていたので間違いない。
メモに書き写して2パーティーの動向を把握しておく。
帰って来る予定日も明記されていて、7日を過ぎても帰ってこない場合は死亡扱いになる。
従魔にしたスライムのことは、まだギルドには報告していない。
俺の感覚では、知らせることに抵抗を感じている。
何故だか理由は分からないが、その感覚を信じて黙ることに決める。
スマホを取り出して、4階層と5階層の地図もダウンロードする。
「誠、時間が過ぎたよ。出て行ってくれるかな」
日帰りは限界かも知れない。
そろそろ俺もダンジョン内で泊まる事を考える時期にきている。
今日は月曜日。ギルド多々良支部は休みでダンジョンに潜ることは出来ない。
ここは朝7時から20時までが、ダンジョンの出入りの申請時間帯。
それに伴ない買取時間帯も同じ。
ダンジョン出入り口には、監視カメラが24時間稼動。
申請をしないまま顔を隠して入ることが出来るが、AIによる24時間監視体制の為、即通報される。
ギルド警察がやってきて、捕まると初犯でも6ヶ月間の冒険者停止処分。
そして罰金200万円が言い渡される。
冒険者登録をしていない場合は、実刑1年が言い渡される。
何故そんなに厳しいのか?
ダンジョン発生当時に、ダンジョン反対運動が起きて。
ダンジョンの破壊活動が頻繁に発生。問題解決の為、作られた法律が今に至っている。
その為、ダンジョンに入る為には細かい手順が決められている。
そして忘れられない災害が起きたのも同じ時期であった。
ある国がダンジョンに大量の爆薬を仕掛けて爆破。
1日が経過した時に、魔物達が破壊された穴から這い出して破壊の限りを尽くした。
10日後、離れた位置に再びダンジョンが発生。
破壊していた魔物は、再びそのダンジョンへ帰ってしまった。
犠牲者は大勢居たハズだったが、その国は発表をしなかった。
しかし、誰が流したか分からない映像がネットで拡散。
国連が査察して、事態が公になり国を越えたギルド設立の切っ掛けとなった。
人気のギルド支部なら、24時間体制の365日も休まず運営されている。
そして常時ギルド警察が警戒している。
4駆の軽自動車を運転しながら、下まで買い物に出かける事にする。
ここは郊外にあるアウトレットモールの近くに建つ大型スーパー。
その大型スーパーの4階に、冒険者コーナーがあり今日の目的地。
メモに書いた商品をようやく見つけカートへ入れる。
ダンジョンに役立ちそうな物を見ながらカートを押してゆく。
ダンジョン用食品コーナーへ来ると、どれにするか悩んでしまう。
結局有名メーカーの2リットルの水9本入りを選び、2箱をカートの下に積み込んでいると、向かいの棚に目がゆく。
携帯食が並ぶ棚から、栄養バランスの良い携帯食2箱をカートに入れて違う物も1つ入れる。
ついでに武器と防具売り場を覗くと、特殊加工されたバットで50万円。
分厚い作りの刀で300万円から360万円が並んでいる。
一度はその刀を抜いてみたいと、衝動に駆られる自分がいた。
やはり刀には、独特な雰囲気をかもし出している。
聞いた話だと、この刀にはダンジョンの金属が使われているらしい。
そんな頑丈なショーケースの中を見続ける。
防具も色々揃っていたが、やはり値段が高い。
特に軽いが防御力の高い防具は、1千万円越えが当り前。
厳重な防弾ガラスに収められて客寄せの商品だとすぐ分かる。
防犯カメラの2台がしっかりと監視中。
俺の防具は軽いが、防御力はさほど高くない。
それでも60万円もつぎ込んでいる。
軽自動車に買った物を積み込んで、又多々良村へと出発。
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