第2話 犯人はこいつだ!(解決編)

「まず怪しいのはクレー射撃だな。どうしてやったのか自供しろ!」

「はぁ? 営業妨害も甚だしいね。帰った帰った」

「ぐぬぬ。じゃあ次は射的だ」

「うちのはコルク銃だ。風船に当たっても破裂はしないだろう」

「確かに。じゃあ、吹き矢は?」

「確かにうちのは細い槍みたいなものだからね。確かに風船を割ることができるだろうね」

「だろだろ!」

「でもね。この距離から風船を狙うなんて、素人には無理だ」

 祭りの端と端。というか、間には他の屋台も立ち並んでいる。一直線でない以上、当てるのは至難の業。

「確かに……。じゃあ、犯人はどうやって風船を割ったんだ?」

「知らんよ」

「検索でもしてみる? 同様の事件が起こっているかも」

 とナイスアイデアを出す亜衣ちゃん。

「いいね。風船、割れるで検索してみるよ」

「ん。明智くん。なんだか良い香りがするね。香水?」

「ああ。姉にもらったんだ。いいだろ?」

「うん。柑橘系の、爽やかな香りでいいね」

「だろ! さすが亜衣ちゃん!」

「あれ? でも待って……」

 亜衣ちゃんが本気になり、スマホで調べ物を始める。

「あった! これ。『レモンやオレンジにはリモネンという風船を溶かす物質が含まれています』って」

「え! じゃあ、俺のせい!? それで風船が割れたの!?」

「そうみたい」

「じゃあ、最初からこの事件の犯人なんていなかったんだ……」

「残念だよ、明智くん。私からのプレゼントを壊すなんて」

「ご、ごめん。本来なら額縁に飾っておくところを!」

「そんなバカな話があるかい! 風船飾ってもしょうもないやろ」

「で、でも……」

「あー。しょうがない。これをあげる」

 亜衣ちゃんは髪飾りの一つをとり、俺に渡してくる。

 その髪飾りは♡を模している。

「ああ! ありがとう。これで心置きなく結婚できるね!」

「なっ! その前に付き合いなさいよ!」

「ふふ。そうだね。付き合おう。俺と亜衣で幸せな道を進もう」

「もう。恥ずかしいことばかり言って。まあ、それでも嬉しいけど……」

 尻すぼみになっていく亜衣は可愛いな。


 俺たちもいずれ、幸せな家庭を築くのだろうか?

 きっと未来は明るい。

 花火が夜空を彩る。

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風船を割ったのは誰だ!? 夕日ゆうや @PT03wing

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