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※更新を休んでしまって申し訳ないです。

 仕事が変わって、肉体的な疲労が溜まりに溜まってしまって何もする気が起きませんでした。




 火にかけたスープから食欲をそそる匂いが立ち始めると、テントから眠そうな目をしたヴィリディスとフラウの二人がのそっと起きてきた。フラウは誤魔化しているけど、僕には腹の虫が小さく”クー”と鳴いたのを聞き逃さなかった。

 うん、眠気よりも食欲だな。欲望に一直線で羨ましいぞ?


 切ったパンを火で炙り、スープと一緒に腹に収める。

 味は……レストランじゃないからこんなものだろうか?

 僕としては頑張ったんだけどね。

 二人の顔が変にこわばっていないから、朝食としては及第点を付けても良いかもしれない。

 まぁ、瞼が閉じそうになりながら朝食を取っているんだから味なんてわからないのかもしれないけど……。


 焚火の残りでお湯を沸かし、食後のお茶を淹れる。

 ちゃんとした茶葉なんて逆立ちしたって庶民には買えるはずも無い。

 だから、代用茶葉でつくったお茶だ。

 ただ、柑橘類から作られたお茶だから、正規のお茶に比べて甘い匂いがするからみんな大好きなんだ。

 庶民からすれば、お茶と言えばこんなのだからね。


 それから焚火が消えるまでの少しの間、食後のまったりした時間を過ごした。そして、、野営道具を畳んでバックパックに仕舞い込み、今日の行動を始める。

 まぁ、今日の行動はすでに決定しているから楽なもんだ。

 遺跡に行き、件の魔法陣を調べる。それだけだ。

 調べる項目はクリガーマン教授から全て教えて貰っているから、それに沿って調査すればよい。ヴィリディスが、ね。

 僕らは見つけることは出来るけど、調査の足しには全くならないから、調査するヴィリディスの護衛がお仕事です。




 と言う訳で、僕たちは遺跡に足を踏み入れた。

 遺跡って言うくらいだから、立派な建物が残っていたりすると考えるだろうけど、ここは全く違う。ゴブリンが占拠していたあの遺跡やトロールと戦った遺跡は建物が残っていた。巣にする事が出来るくらいね。

 でも、この遺跡は半分以上が森に飲み込まれてしまったみたいで、全ての建物が打ち壊されてしまっている。

 生えてきた木々の根に石畳は掘り起こされ、数えきれないほどの年輪を持った切り株がそこら中に生えて家々を壊し、斜めに掘り起こされた建物は全て瓦礫と化している。


 その中でも頑丈に基礎を作っていたのか、中央に存在する建物は辛うじて原型を留めている。だけど上構物は崩れているので床がむき出しになって風雨に晒され続けている状態ではあるが。

 それでも、一番頑丈に作られているからこそ、僕たちは調査を行う事が出来るのだ。

 古代人に最上級の感謝をするしかないだろうね。


「さて、オレは調査を始める。何かあったら声を掛けてくれ」

「心配するな。手に負えない魔物だったら呼ぶかもしれないが、そうならないように全力で狩って見せる」

「頼もしいな。フラウもよろしく頼むな」

「まっかせっなさい!」


 トロールとかが現れたら心許ないが、ゴブリンや魔狼が少数だったら、二人でも撃退は可能だ。足場もそこそこ良いと思うし、何より昼間だからね。

 ヴィリディスは僕たちの言葉を聞いて安心したのか、早速遺跡の調査に入った。

 バックパックを下ろし、教授から渡された鑑定用の魔道具を出して。


 鑑定用の魔道具と言ったが、僕がスキルとして持つ鑑定とはちょっと違う。

 遺跡調査の鑑定具、と言うよりも、魔力検知器と言った方がいいだろう。

 巨大な虫メガネと見えるが、細部を見ればメーターがあったり、知らないボタンが並んでいる。それだけ見ても不思議な道具だなと思う。


 ヴィリディスは魔法陣を調べるだけじゃなく、遺跡の文様も合わせて調べるみたいだから、僕たちに構っている暇はないだろう。

 邪魔して調査がはかどらない、なんて事が無いように、ヴィリディスには集中して貰うとしよう。


「二人だけどよろしくな」

「久しぶりに二人になった気がするわね。この依頼が終わったらデートしてよね?」

「そうだね。ヴィリディスを守って、調査結果を教授に渡せれば時間も出来るだろうしね」

「ふふ。それを聞いて安心したわ。でも、もう少し早くデートしたいわ」

「善処する……」


 フラウと二人、ちょっとした会話をしながら周囲を警戒するのであった。

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