-2- フラウ2
ヤバい!
ヤバいです。
ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!
何がってヴィリディスが、です。
あの発言がヤバいです!
前々から思ってたのです。
宿が一緒だったって事は無いですが、二年も一緒に行動していたのにも関わらず、ワタシに何のモーションも起こさなかったのです。
まぁ、性欲丸出しの力づくってのは問題外ですが、二年もモーションを掛けてこないのも問題外です。
ですが、告白されても困るのです。
陰気な所はあるのですが、顔は良いです。雰囲気を改められたら、街を行く女共の視線を集める事でしょう。その欠点を直さぬ限り、ワタシは彼とお付き合いする気は無いのです……。
だからと言ってモーションを掛けてこないのもどうかと思うのです。
ワタシ、普段着になれば、そこそこの体型ですから、彼の視線が何処に向いているかなんて簡単にわかるのです。ヤりたいってのは痛いほどわかります。視線から……ですがね。
性欲が無い訳では無いのでしょう。時折、ごにょごにょに行ってる見たいですから。頻度はそれ程ではないようですが。
そのヴィリディスがですよ、自分をさしおいて、ワタシとコーネリアスが一緒になっても良いって言うんです。
マジですか?って思いましたよ。
彼が興味を抱いているのは異性ではなく、精神的な何かなのでしょうかね?
そのおかげで、と言って良いのでしょうか?コーネリアスにモーションを仕掛ける事が出来ます。
冒険者ギルドの訓練場で一目見て恋に落ちてしまったのは事実です。
訓練している姿、そして、ワタシに振り向いたときのあの表情。
ワタシの好みを体現していると言っても良いです。いえ、神が使わしてくれた天使!とでも表現しましょうか?コーネリアスは教会を良く思ってないようですが。
あれから一か月以上経ったと思います。
お互いに気を許し始めて来る頃です。ですが、コーネリアスは態度が殆ど変わらないのです。元々そうであったように。
そうなればチャンスです。
頑張れワタシ!
「ねぇ、コーネリアスちょっと話があるんだけど?」
「昨日、話してくれればよかったのに……。酔っぱらっちゃうんだもんなぁ。あれから大変だったよ」
ヴィリディスがワタシの背中を押してくれたのは嬉しかった。
そのおかげでアルコール度数の高いお酒を飲んでしまって失態を晒してしまったのです。二日酔いで昼過ぎまで寝てました。
で、今、こうやってコーネリアスと向かい合って話しているのです。
しかも、彼の部屋で……。
何故、彼、コーネリアスの部屋かですって?
当然、ワタシが失態を晒したからです。
ワタシの宿に運ぶよりも近かったから、ですわね。
「今後の事なんだけど?」
「ああ、ヴィリディスが少しの間離れるって話だろう。無理ない依頼をこなせば良いと思うが?」
うん、期待してた私が馬鹿だったわ。
朴念仁とはコーネリアスの事を言うのかしら?
「違うわ。昨日の事思い出して欲しいのよ」
「昨日……。あっ!」
思い出したわね。何を思い出したか想像できるわ。
コーネリアスってば耳まで真っ赤にして……。
イケるわ!
こんなこともあろうかと、すでに準備は整っているわ。
ヴィリディスが心配していた事なんて起こらないわ。
「ねぇ、コーネリアスに声を掛けたのは魔法に見入られただけじゃないのよ」
「ん?そうなのか」
「ええ、そうよ」
ワタシは身を乗り出してコーネリアスの顔の傍まで近寄る。
ランプの光が真っ赤くなったコーネリアスを一層赤く染めている。
すでに窓の外は真っ暗なのです。
コーネリアスの視線が横を向いた瞬間、更に身を乗り出して彼の唇にワタシの唇を重ねた。
「!!」
既成事実は作ったわ。
でもまだ安心できないわ。一度の口づけだけなんて、拒否されて返品されてしまうかもしれない。
心配だらけ。
そうでしょう。
他人の心の中なんて、誰にも判らないもの。
そうはならなかった。
コーネリアスはワタシを受け入れてくれた。
ワタシを嫌っているのなら、強引に突き放してくるでしょうが、今は背中に腕を回して抱きしめてくれている。
嬉しいわね。
あの心配も無いし。
今日はまだまだ終わらないわ。
長い夜が待っているのだから……。
※この回は全くの蛇足です。
入れても入れなくてもどっちでもいい。
ちょっとでも楽しんでくれればと思って入れました。
たまにはこんな話も良いでしょう(笑)
「人生には息抜きが必要だぞ」
「お前は息抜きの合間に人生をやってるだろう」
みたいな?(違うって!)
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