第2部

-1-

※第2部もよろしくお願いします。

 ぼちぼち、物語の謎を入れて行きます。

 (少しおふざけ有)





 僕たちは無事に拠点としているウェールの街に戻って来ることができた。

 ホントに無事にと言っても良いよね。

 千匹近く集まったゴブリンの軍隊と戦ったんだからね。


 ……。


 御免なさい。

 正面から戦ったのはレスタートンの領兵とその援軍です。


 僕たちはそこから零れたゴブリンたちを討伐しただけ。

 簡単に言えば後ろについて行ってお零れに与っただけ。

 まぁ、それでもかなり懐は潤ったけどね。


 何が一番大きな報酬になったかと言えば、ゴブリンの軍隊との戦闘が終わった後の残党狩りで出会ったゴブリンリーダーの首だった。

 領兵たちがゴブリンリーダーの首を刎ねたのは当然の事。千匹のゴブリンの存在の裏にはリーダーの存在があるのは当然だった。だが、千匹に対し一匹のリーダーだと数が合わない……。らしい。


 ゴブリンについての知識なんて、冒険者じゃたいして持ってないよ。僕もね。

 どれだけに対してリーダー一匹なんて判らないよ。

 ただ、人間の軍隊に換算すると最低でもリーダーはもっと存在しても良いのだとか。

 そう思うと、一匹ってのは可笑しいって事なのだとか。


 と言う訳で、二匹目のゴブリンリーダーを見つけて討伐した僕たちにはそれなりの報酬を受け取る権利がある、とのことで今は懐がかなり暖かいのだ。

 まぁ、装備を新品で一新する!なんて事はまず無理な金額だけどね。


「それで、これからどうするんだ?」


 何時もの騒がしい冒険者ギルドの酒場とは違う、物静かな酒場に入り顔を突き合わせて尋ねる。

 僕は懐が潤ったとは言え、休むつもりはない。

 パーティー結成の立役者、フラウに今後の方針を聞いてみたいと思ったんだ。


「数日休息に当てて、それからいつも通りに依頼を受けるって感じかしら?まだ暖かいからいいけど、寒くなったら良い報酬の依頼も減るからね~」


 まだまだ暖かいから依頼は沢山ある。

 この辺は冬になっても雪が降らないからそれなりに依頼をあてにできる。休み休みになるだろうが、仕事はあるだろう。

 だが、旨味のある依頼は少なくなる。魔物たちの中には冬眠で春までぐっすり、何てのもいるからね。その分、春先の討伐依頼が多いのはご愛敬だ。


「確かに何時もよりは疲れたかもしれないな。慣れないベッドで身体が痛かったからなぁ」


 レスタートンの領兵が切り開いた森が宿営地だった。

 広い空間を利用できたのは良かったが、所詮森の中。テントを広げて眠るには都合が悪かった。特に地面が寝るには適していなかった。


「たしかにあれは酷かったな」

「だろう、ヴィリディスもそう思うだろ」


 ヴィリディスも同様の意見だった。

 いまだに身体の節々が痛むのか、首に手をやり、ボキボキと首を回してる。


「悪いが、少し調べたい事が出来た。オレは暫くパーティーから抜ける」

「あら?そんなことして良いのかしら」


 フラウはニヤニヤと、何とも言えない笑みをヴィリディスに向ける。

 あの笑みは何かを企んでいる顔だというのはわかる。


「構わんよ。お前たちがくっ付こうがどうしようがな。だが、妊娠だけはしてくれるなよ。オレの計画が台無しだからな」

「ちょ、ちょっと待て!」

「あら~、嬉しいわね。ですってよ、コーネリアス~」


 フラウが僕の横に移動してくると、ピタリと僕にくっ付てくる。

 ダメだよ……。

 その、何だ……。胸が当たってるって!


「ただ、あからさまに見せつけてくるのは困る。オレの手が滑って、”火矢”を誤射しかねんからな」

「うん、気を付けるわ」


 と、言うか、それでいいんですか?ヴィリディスさん。

 まぁ、ヤりたいかどうか、と言われれば……男だから当然だけど。

 ねぇ。

 と、言うか、いいのか?


「暫く抜けるからそれまでは存分に楽しんでくれ。ただ、途中で手を貸して貰うかもしれん。それだけだ」

「パーティーを解散するわけじゃないし、良いわよ。ねぇ、コーネリアス?」

「あ、あぁ」


 何を調べるのか判らないが、手伝いが必要なら喜ばしい事だ。同じパーティーでもあるのだからね。


 そう思いながら、フラウの感触を有難いと思うか、迷惑としていいのか、その答えを出すのを一旦諦めるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る