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※有難いことにPVが4000を超えました。

 ありがとうございます。



「それにしても、こいつ等、煤汚れてるな?」

「だろうな。そう言う魔法だからな」


 洞から飛び出してきて屠ったゴブリンもそうだし、目の前のゴブリンリーダーもそうだが身体が黒く煤汚れている。いや、炭化しかけてると言った方がいいかもしれない。


 ヴィリディスの”爆炎”魔法が巣の中で渦を巻き、その熱風で体の表面を炭化させた。一番奥に居座っていたゴブリンリーダーがこんな状況なのだから、入り口近くに陣取っていた個体はもっと激しく炭化して、真っ黒な炭になり替わっているのかもしれない。

 まぁ、ゴブリンの巣に潜ってみなければハッキリとはわからないだろうが。


 それとは別にゴブリンリーダーが所持している剣。

 何処かで拾ったそれは赤いぬめりをしたたらせている。

 巣の奥から逃げるときに邪魔な通常種のゴブリンを切り殺したのだろうか。

 なんとも惨い事をするものだ。

 まぁ、ゴブリンには自分以外の命に価値など見いだせていないのだから仕方ない。


「とは言えゴブリンリーダーか……」

「結構やるとは思うが……。援護はいるか?」

「一当てしてみる。劣勢になったら援護よろしく」

「ああ、わかった」


 ヴィリディスと軽く打ち合わせをすると、警戒心を露わにしているゴブリンリーダーに飛び込んでいった。

 相手は通常種のゴブリン以上の体躯の持ち主。

 剣技では勝っていても劣勢を強いられるだろうと思いながら……。







「あっけなかったな……」


 ゴブリンリーダーとの戦いはあっさりしすぎるほど直ぐに終わった。

 楽勝と言っても良いかもしれない。

 ゴブリンリーダーも通常のゴブリン同様、身体強化魔法を使えなかったようで、剣を握ったばかりの大人と同じくらいの実力しかなかったのだ。


 通常種のゴブリンだったらあの剣を満足に振るえないだろうが、その位の筋力は残っていた。

 それよりも体格が人のそれに近く、僕が踏み込んで剣を横に一閃した時の高さが、首を刎ねるに程よい高さだった事が要因として上げてもいいだろう。


 ホントにあっけなかった……。


「こっちも敵は見えないわよ。潜ってみる?」

「ゴブリンが出てきたのだから、安全かどうかは置いといて、見てみる位はしても良いと思う」

「オレも遺跡は気になるから、一度見てみたいな」

「じゃ、決まりね」


 フラウは荷物から松明を一本取りだすとヴィリディスへ手渡す。

 狭い通路の先頭を進むのは僕の役目なのだが、魔法一発で火を付けられる彼に渡すのは何時もの事だ。


「”着火”!ほらっ」


 ”火矢”よりも簡単な魔法だとは言え、息を吸うように発動させる彼はすごい。

 火が付いたら用無しとばかりに僕へと渡してくる。

 何なの、このリレー?


 それはともかくとして、松明を掲げて洞を注意深く覗き込む。


「これは元々地下への入り口があったんだな。直ぐ階段が見える」


 地下へ向かう階段があり、そこに覆いのような建物があったのだろう。その四隅に木を植えてあったのだが、建築物が壊れて四本の木が一本の様に合わさってこの地下への階段を守っていたのだろう。

 僕はそうやって出来上がったと思った。

 真相は遥か昔だから謎のままだけどね。


「それじゃ、下りてみるか……」


 剣を片手に地下への一歩を踏み出した。


 地下への階段はヴィリディスが”爆炎”を使ったとは思えない程綺麗だった。時折筋状に炭化した木の根が壁に張ってるくらいで。

 壁は薄汚れているがあの爆風に耐えた”失われた技術ロスト・テクノロジー”はすごいと思うしかない。興味はあるが……。


(研究しても判らないのだろうな……)


 諦め気味にゆっくりと階段を降りるのであった。




 そして、最期の一段を降り切り僕の前に広がっているのは刀傷を負い、すでに息の根を止められた数匹のゴブリンと広々とした地下通路であった。


「ふ~ん、こうなってるのか……」

「なるほどね。これはこれは……」


 僕たちはその光景を興味深く観察するのだった。






※ゴブリンリーダーとの戦いですか?

 残念ながらありませんでした。

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