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”どどぉーーーーんん!”
ゴブリンの巣になっている洞に放り込んだディリディスの魔法、”爆炎”が炸裂し爆音が鳴り響いた。指向性を持たせたと説明していたので洞から噴出した爆風はそれ程ではなかった。とは言え、爆風である、周囲の気温が上がったような気はしないでもないが。
気のせいだよね?
そうだと言って!
「これでしばらく様子見だ」
「入らないのか?」
「直ぐ入る訳ないだろうが」
僕は爆風が収まったら直ぐに入るのかと思っていた。
だが、ヴィリディスの考えは違った。
まず、”爆炎”魔法は炎よりも爆風を発生させることを主眼にしているとは言え、高温の炎が発生する。炎が収まったすぐに向かうのは無理があった。そして、高温の風が奥まで届いたとしてもゴブリンを殲滅出来たかは判らない。もしかしたら、生き残って巣から飛び出してくる可能性が捨てきれないと言うのだ。
「だから今はこうして待ち受けていればいいのだ。コーネリアス、君一人で十分だと思うがね」
僕は暫くの間、洞の横にいて、ゴブリンが出てきたらその時は僕の剣を当てにしていると告げられた。
うん、理解した。
弓では殲滅力に欠けるし、魔法は使い過ぎると疲れる。一番消耗が少ないのが僕の剣だね。ゴブリンを一刀の下に屠るのは比較的簡単にできる。
ただ、上位種が出てきたときには皆の協力が必要とは思うよ。
え?その時は全力で手伝ってくれるって?
それはありがたい。
「それじゃ、僕はここにいるから、周囲の警戒はよろしく頼むよ。後ろからグサッとされたらたまったもんじゃないから」
「は~い、任されました」
そんなやりとりをしながら普段使いの剣を引き抜くと大木より少し離れた場所に陣取る。当然、出口となる洞の中から見えない位置に、だ。
後ろはフラウたちに任せれば大丈夫。何かが現れても対処できるだろう。
その後は仕事など無いだろうと高を括っていたのは事実。見ていれば良いだけだ、楽勝だ、とね。
でも、そうはならなかった。
「ん?なんか来るぞ、ヴィリディスの予感が当たったな」
洞の奥からヒタヒタとリズミカルな音が近づいてくる。
裸足の子供が駆けるような軽い音が。
その調子から予想するに、一刻も早くこの場から立ち去る、そんな風に感じられる。
本来なら爆風に晒されて警戒するところだが、安全と思われた巣の中を爆風が駆け巡り混乱の極みにあったのだろう。そうなると、敵の存在など記憶の何処にも留めておくことが出来ず、ただ逃げ出したいとだけ考え走り出した。
そう予想できる。
そんな事を考えながら僕は剣をそっと構える。
足音が徐々に大きくなる。
そして、洞から勢いよく飛び出したゴブリンを”えいっ!”と振り下ろした剣で仕留めた。
(一匹!と言うかまだ出てくるのかよ!)
数匹なら問題ないだろう、そう考えていたが、僕は更に二度、三度と剣を振っていた。
その度にゴブリンが死体の山へと変貌を遂げる。
「おいおい、一体何匹出て……おぉっと!」
新たに飛び出してきたゴブリンに驚き、僕は思わず後方へと飛び退いてしまった。
「こいつ、上位種か?」
最期に飛び出してきたのは見慣れた小柄なゴブリンではなかった。
体躯は一・五倍、フラウと同じくらいの身長で筋骨隆々と言い表せば良いだろうか?
通常種のゴブリンだったら今にも餓死しそうな体躯をしていたが、こいつはそれとはまったく違い、栄養状態はばっちり、骨も浮かび上がっていない。
それだけ見れば上位種だと思っても仕方がないだろう。
「違うな、こいつは変異種だ。ゴブリンを率いる力を持ったゴブリンリーダーだな」
「ゴブリンリーダー、こいつが?」
属性魔法を使うゴブリンマジシャンだったら上位種と言ってもいいだろう。体躯はほぼ同じで属性魔法を使えるだけなのだから。
だが、変異種となれば全く別の種類に分類されても良いのだとか。
「リーダーは身体強化魔法に加えて統率のスキルを持っているとされている」
「なるほど、それで変異種か……」
僕は思いもよらぬ強敵の出現に背中に冷たい汗を流すのであった。
※ゴブリンたちにはヴィリディスが放った”火矢”の音が届ていました。
その音によって襲撃があると読んでいたのです。そこで階段下で待ち構えていたら一網打尽に出来ると考えて行動に移ったのです。
が、そこへ”爆炎”が襲い掛かり殆どのゴブリンたちが消し炭になりました。
無事なゴブリンはそれで混乱して逃げ惑うのですが、怒りに満ちたリーダーが剣を振るったので仕方なく階段を上って逃れようとしました。
という、経緯が地下で起こったのでした。
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