-23-
※★とか♡とかフォローとか、沢山いただきありがとうございます。
話数は多いですが、一話分の文字数を少なめに設定してますのでサクサクと読めるとは思います。
毎日一話は更新していきたいと思いますので応援よろしくお願いします。
「ほら、あそこ。何かいるよ?」
フラウが指を向けたのは街道から三百メートル位離れた草むら。誰の持ち主にもなっていない、一メートル位の高さに雑草が広がっている場所だ。その一カ所、風に逆らうように微かに動いているだけの様だった。
僕が見てもさっぱりわからない。
ヴィリディスも同じだと、首を振っている。
よくわかるなと感心してしまうよ、ほんと。
「一匹じゃなのは確か。五匹位かな?一匹は槍を持っているのは確実だから、ゴブリンだよ」
よくよく見ると草むらを飛び出て木の棒が見えている。器用とは言っても穂先を作るほどの知能は無いみたいだ。ただ、木の棒を尖らせているだけ。
だけど、あんなのに刺されでもしたら簡単に行動不能になってしまう。
そうしたらゴブリン相手に命を落とすことになる。
それだけは何としても避けたい。
出来るなら遠距離から始末したいとは思う。僕には無理だけど。
「数も判るのかぁ……」
「揺れ具合でね。もうちょっと多いかもしれない」
それでも一匹ではないと判るだけでも有難い。
本格的な集団とは戦ってないからな。いくらゴブリンと言っても、集団になると油断できない。こっちはそこそこの腕を持つ(だろう)三人とは言え、ね。
「どうする?もう少し近づけばオレの魔法が使える。だが、あそこだと大変なことなっちまう」
ヴィリディスが得意とする火魔法の射程距離は百メートルの射程を持つそうだ。その距離での命中率は聞かないでくれとのことなので、まぁ半分くらいと見積もるべきか?
それよりも、彼の火魔法をこんなところでぶっ放してしまうと、枯草じゃないとは言え、見渡す限りの草むらだ、大変なことになるのは必至。
「で、どうするんだ?」
そのまま戦闘に移行出来ない。つり出すにしてもどうするのかとフラウに問い掛けてみた。
すると、少し考えた素振りを見せた後……。
「もう少し近づいて、ワタシの弓を打ち込んでみるよ。急がないとどっかへ行っちゃうかもしれないからね」
フラウが手にする短弓だと射程は長くない。
それに、山なりに撃ったとしても敵に当たる可能性は低い。
近づいて戦うのがベストだろう。
「百メートルもあれば四本は撃てるよ」
「接近を許して、近距離に来た敵に向かって弓を使えばだろう?」
「そうとも言う」
通常種のゴブリンなら百メートル先で気付かれても、接近するまでに時間が大分ある。
その間に四本撃てるというが、最後の一本は至近距離からの一撃になるそうだ。
今日は三人で行動をしているのだから一人でやろうとしなくてもいいのに。
って、そう言う意味合いじゃないのは知ってるけどね。
「一射だけして、ゴブリンをこっちにおびき寄せるでいいんじゃないか?」
「オレもそれに賛成。草むらからおびき出せれば、”火矢”で十分に対処できる」
「二人がそれでいいのならやってみましょう」
行動指針を決めてからは早かった。
街道から五十メートルの所で荷物を下ろす。戦闘では邪魔になるからね。
僕は普段使いの剣を抜き放ち、フラウは短弓に矢を番え、ヴィリディスは杖を構える。
先頭は僕で少し離れて横にフラウ、そして、二人の真ん中少し後方にヴィリディスが陣取る。ちょっとだけ歪な逆三角形に並んだ。
ゆっくりと草むらに近づく。
森の中なら気付かれぬ方が良いが、草むらを大火事にしては大変な事になるので気付かれた方が今回は殺り易い。
何時もは足音を立てないように歩法を気にしているが、今日は逆に重心を少し落とす事だけに注意する。
そして、百メートルほどの地点まで到達すると、敵に気が付かれたような仕草を見せた。草むらから飛び出した尖っただけの槍が草むらに下ろされたのだ。
「来るよ!」
僕たちはその場で足を止める。
するとすぐに草むらからゴブリンが飛び出して来て、僕たちに突撃してきた。
※次はゴブリン戦だぁ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます