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 初めての依頼を終えてから約1週間。

 冒険者の仕事にも慣れてきた。

 殆どが肉体労働なのでなまっていた筋肉もビシッとしてきたみたいだ。


 そろそろ街の外に出る依頼を受けてみようと思うんだけど……。

 当然、魔物退治はありません。

 街の外に出てうっかりと出会ってしまう、なんてことはあるかもしれないけどね。

 安全に依頼をこなしましょう。


 そんな訳で今日の依頼はこちらです。

 ”有用な植物を見つけよう”、です。


 有用な植物と言っても無数にある。

 誰もが知ってる傷薬に使える薬草とか、虫刺されに効く薬の原料とか、打ち身に効く塗り薬のベースとか。それらの有名どころは畑で採れるので依頼として流れて来ない。

 ではどんなものがあるか、と言えば畑で栽培できない草花って事になる。


 そんなのあるのって言われそうだけど、結構多い。

 植物の範疇から外れるけど、キノコ類は畑での栽培が難しい。出来ない事は無いけど、有名どころでも栽培できないから困ってるらしい。

 後は虫じゃないと受粉してくれない植物とかね。人の手でやろうとしても受粉しないのは、虫が持つ体液を媒介しないといけないからって研究結果を出している植物もある。


 その中で僕が受けたのはキノコの採取。

 近郊の森に群生地があるらしく、そこから収穫して来れば良いらしい。

 ただ、乱獲は出来ないで必要量が集まらない時があるらしい。

 依頼失敗にはならないようだけど、成功報酬が半減するそうなので人気敵にはイマイチって所か?

 とりあえず、場所は聞いた。


 実はキノコの採取は難しい。

 それは似たキノコが沢山あるからなんだよね。

 一見、目的のキノコだと見えても、傘を下から見たらドピンクで毒キノコだった、って事が良くあるらしい。

 注意しなくちゃいけない。


 でも、よくよく考えたら、僕は鑑定持ち。

 採取対象のキノコを鑑定したら、しっかりと頭に浮かんだから大丈夫だった。

 採取対象のキノコなんて分かったなぁ、って言われそうだけど、カウンターで相談したら現物を見せてくれた。前日に他の冒険者が持ち込んでいたらしい。

 非常に有難かった。


 この鑑定スキルって役立たずって言われる由来がある。

 一つは鑑定の道具がすでに完成しているって事。

 しかもそんなに高くない。どちらかと言うと安い部類に入る。でも、簡単に買える道具じゃないのは確か。あくまでもそんな道具の中では安価って意味。

 だから鑑定が必要な職業の人はみんな持ってる。

 安いから皆が揃えたんじゃなくて、皆が揃えたから今安くなったっていう方。量産効果って奴らしい。

 虫メガネ型の道具で魔力を流すと見えるらしいね。


 役立たずの由来その二は鑑定したことない物は鑑定できないって事。

 要するに、一度でも鑑定し、それが何かって分かっていて始めて鑑定が生きるって事。

 自分の頭の中に商品カタログみたいなのが出来る、そんなイメージかな?

 鑑定スキルを使わないと見えないから使い勝手は悪い。


 鑑定スキルが道具として売っていても、メリットばかりじゃない。

 それは、壊れたら修理に結構な料金が発生すること。

 安いと言っても庶民には手が出ない価格。その半分が掛かるんだから、壊れたら大変。何個も所持してる豪商だったら良いんだけどね。


 さらに言うと、道具で鑑定でないものはその先もずっと鑑定できない。

 スキル持ちだったら、頭の中のカタログを更新出来るけど、道具にはそれが無い。

 名前が無ければ価値も分からない。

 ちょっと不便なところだね。


 そう言った理由で、僕は採取で必要な情報を頭の中に入れておいたって訳さ。



※鑑定道具の外観は変えるかもしれません。

 ですが、道具として存在するだけは変わらない予定です。

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