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「ふんふん、なるほどね~」
僕は冒険者心得なる用紙を念のためと思い目を通すことにした。
当然邪魔にならないように誰も居ない壁際にもたれて。
冒険者ランクはどれだけ貢献したかによる。
と言っても、高ランクはそれだけじゃなれない、己に降りかかる災いを実力で打ち返せるだけの力が必要だ。
ランクはFランクから始まり最高のAランクまである。
Fランクは祝福の儀を迎える前の子供達に作られたらしく、成人していればEランクから始まる。
だいたいはCランクで止まる。Bランク以上は貢献度以上に実力を持たなければならないからね。
冒険者カードには僕の名前とランクがわかる。
後は登録地かな?
ランクはA~Fしかない。
カードにランクの欄があって、A~F全てが刻印されている。ランクがFの時はそのまま、上がっていくうちに一つ下のランクを打ち抜いて空欄にする。それで今のランクを示しているんだ。
つまり、Aランクの冒険者はB~Fを全て打ちぬかれてカードの向こうが見えるって寸法さ。
後は……。
・ギルド内で刃傷沙汰は禁止(特定の場所で指定された刃物はOK)
・ギルド内で喧嘩はご法度
・緊急時ギルド長の命令に従わないとカード剥奪。もしくはEランクから出直し。
位だろうか?
まぁ、十分守れる範囲ではあるだろうね。
喧嘩になろうとすれば備え付けの訓練場を使ったりするんだろうけどね。
ここは何処にあるのかな?
ちなみに依頼は掲示板に張り出される。朝一番にギュウギュウに混雑してた場所がそう。場所場所によっては適時張られるみたいなんだけど、ここは夜間か朝一番みたいだね。
っと、そろそろ僕も掲示板を覗いて見ようかね。
とゆっくりと身体を立てて歩き出そうとしたところ、肩を叩かれた。
いかついおっさんが呼び止めたみたい。
って、誰?
「あんちゃん、今登録したばかりだろう。レクチャーしてやろうか?」
ニヤニヤと気持ち悪い笑みを僕に向けている。その顔は気持ち悪いからやめて欲しいのだが。
それにレクチャーは必要ない。事前に勉強済みだ。
依頼を受けながら分からなければ係員に質問すればいいだけだからね。
「悪いが必要ない。他を当たってくれ」
「そうかいそうかい。ま、夜道だけは気を付けろよ。先輩からの忠告だ」
「そりゃどうも」
親切なんだか悪意に満ちているか、不明だけど、一応肝に銘じておくとしよう。
フリフリと手を振る男を見送りながらそう思うのだった。
「気を取り直して日銭を稼ぐとしますか。まぁ、この格好だから出来る事は限られているけどね」
宿を引き払っているので全ての荷物を持ち歩いている。
服はコレともう一着くらい。下着の替えはあるけど。
防具は着ている厚手のシャツ位。魔物と戦うのはちょっと心細いかな。
そうなると街中での依頼か、街周辺の簡単な依頼を受けるくらいかな?
そんな事を考えながら、人が居なくなった掲示板の前へと移動する。
「まぁ、見事に……何もないね」
僕が溜息を吐きながら見ている掲示板には必要最小限の日銭以上稼げる依頼は残っていなかった。
当然、冒険者の花形依頼とされる魔物の討伐は当然の事ながら争うように持って行ったんだろう。
依頼票ってのは依頼主が冒険者ギルドに持ち込んだ仕事を記載してある紙の事だ。
そこに簡単な依頼内容と報酬が書き込まれている。
討伐だったり、肉体労働だったりね。
初日から飛ばしても仕方がないので街中で、さらに半日で終わるような仕事を受ける事にしよう。流石に臭いが服にこびり付く仕事は御免被りたいね。
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