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 祝福の儀を受けてから五年の歳月が経った。

 僕の身体はたくましく成長している。170cm程の身長は成長しきった大人と同じ程に見えるだろう。数日後に成人の儀を向かえるが、まだまだ身体は成長するだろう。


 五年の間に起こった事を話しておこう。


 まず、父親が教会に出向き、僕を追放すると正式に伝えてきた。成人の儀を終えた瞬間までは子供であると猶予を貰っていた。それもあって、家の中での僕の地位は一番下にまで落ちた。雇っているメイドよりも下に。だけど、彼女たちはまだ男爵家三男として扱ってくれた。

 特に歳が一番近いメイドのマリアが良くしてくれたのは助かった。勉強にしろ訓練にしろ、彼女の助けが無かったらどうなっていたかわからない。


 そして、親兄弟と顔を合わせる事が無くなった。

 これは僕の地位が下がった事によるよりも、兄たちが辺境伯に仕え出した事によるのだが。母親とも顔を合わせぬ為に、食事も一人だった。


 剣の訓練も頑張った。剣だけじゃないが。

 そこそこの腕になったんじゃないかと自負している。


 学校にも通わせてもらった。ただ、男爵家を追放になると皆が知っていたので針のむしろの様な居心地で何度も逃げてしまおうかと考えたくらいだ。

 でも、生きると決断したんだ、逃げずに優秀な成績で卒業できたのは感慨深い。


 魔法についても話しておこう。

 土魔法、しかも成長限界1しかないので有用な魔法を使えるまでは無かった。ただ、魔力だけは多かったのか、いくら使っても疲れる様子は無かったので石ころを作り出せる魔法や小さな盛り上がりを作れる魔法は同時に五個くらい操れるまでになった。

 でも、石ころを飛ばしたところで魔物を殺せるまでには行かなかった。精々、気を引くが牽制に使えるくらい。


 これからが大事なんだけど、スキルカードに鑑定ってその他のスキルがあったのを覚えているだろうか?

 鑑定ってのは物がどれだけ役にたつか、壊れにくいかってのを見るスキルなんだ。実際、使えるかと言えば、全く使えない。なぜかと言えば、教会が鑑定用の道具を作ってしまったからだ。成長限界3と同様の道具を売り出してしまえばスキルを使う人など全くいないのだ。だから僕も期待していなかった。

 けど、スキルカードの表記が不思議だったから毎日使って鍛えてみた。だって、通常なら(1)と書かれるはずなのに(▲1)だよ。この記号が何か不思議に思うだろう。


 その成果が今日、このタイミングで華を咲かせたみたいなんだ。

 そう、目の前にあるスキルカードがこんな表記に見えたんだ。


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 名前:コーネリアス=フォースター

 教会:ウェール教会

 スキル:※火(5)

     ※水(3)

     ※風(0)

      土(1)

 その他スキル:鑑定(▲1)

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 これが何を示しているのかわからない。

 だけど、このスキルカードをメイドのマリアに見せた所、※の表記は見えないと言っていた。

 何故、この様に見えるかはわからない。

 火の魔法も使えないし、ただ表記が変に見えるだけだった。


 それともう一つ。

 他人のスキルカードは変わりなかったから僕のスキルカードにだけ適用されるみたい。

 不思議な話もあるもんだ。

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