沙夜奈ら、初してありがとう。

泣かなかった。その自由を、僕は愛した。欠かさずに、肉体を気遣い、心の奥処に、自由を求めた。僕は自由な鳥が複数で飛び、陣形を作るのを知っている。あんなに愛した、あの女が、一服の内に指環を嵌めた。僕はがっくりした。だってあの子は、この女に殺害されたのだから。未発表の原稿用紙より。

沙羅 そこで五人に包囲された霊能者が徒党を組んだ。その続篇は、既に破り捨てられた。こんな感じ?

沙羅業を煮やした小説家と功を奏した兎さん、喪服で徘徊する可憐な乙女が、正体を明かせば、杜の丘の鳥たちが一斉に逃げた。その飛びかたは、正しくも美しい形相をした怪物と妖精だった。戦術を練り歩く怪物と、一生付き従う妖精の、波瀾万丈な乙女の行方を、誰か知っていますか。

白毒蛇 知らんな。ナコルル。な? ナコルル。

名無し 知らぬが仏さ。

火薬庫の眠れる獅子と不眠症の女 知る由もなく化粧は下手な乙女だ、よう。洒落か?お前の護身術は。或いはその冷淡な胸元で蠱惑するのか?気合いだけで勝つのが人間だ。女なら愛嬌だ、思い出が美しいまま死にたいなら、その一つを大切にすれば、転生だけは、保証してやろう。二つが皆を守る道しるべ、三つなら、ふたりで生存しようにも、裏切られた女の火矢が、ふたりの秘密を暴くだろう。

白毒蛇 長文乙。にしても解りみが深い。

名無し 思い出作りか。懐古主義の巣窟か此処は。

火薬庫の眠れる獅子と不眠症の女 で、結局血の気の多いのは、血も涙もない労働者って仕掛け。お前は、児戯に等しい御儘事を忘れんな。さぞ、二重表現を躱せば名文でしょうよ。その不埒を治す毒の蠍は、あたしと言えば、女に成ると言った。

白毒蛇 最新型のピストルかお前は。

名無し 詩人はドアをノックした。軽い言葉を語る女は、奇っ怪な謎解きを出した。神が為した導きは、魔導士の杜の丘で、気絶した。夜の寝言は更には、あたしと寝ろ。後は、室内のランプと室内香が、馥郁たる甘い音楽を流した。で、寝ている女の名前は?

白毒蛇 呼ぶとどうなる? 恋人だろ?

名無し 神に誓って言えよ、その女の名を騙らないってな。

沙羅 神仏との交信術を教えてあげましょうか。

火薬庫の眠れる獅子と不眠症の女 肉体なんて悪魔がくれたものだ。他愛もない。

白毒蛇 死とは、友達だ。天才の専売特許だがな。

沙羅 余興を下さいな。

名無し 世話が焼ける。

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