第47話「エピローグ」
一週間後に目を覚ました僕は、ウリエルサーバーの〈ゲイル国〉中央広場に足を運んだ。
そこには獣騎士が消滅した後に、辺り一面に真っ白な花が咲いたらしく、プレイヤー達からは『白の奇跡』という伝説で広まっているらしい。
全てのサーバー内で唯一、絶望の獣騎士〈デゼスプワール〉を討伐する事に成功したこの地は、一種の観光名所となり沢山のプレイヤー達が訪れるようになった。
フードを目深まで被ると、しばらく一人で白い花を眺めた後に、誰にも聞こえないように小さな声で思いを言葉にした。
「……僕は、一体何者なんだろうね」
その答えを〈デゼスプワール〉は知っていたのだろうか。
だがユニークボスは、一度倒されると連動して全サーバーから消滅する。
他のサーバーで彼を探しても、その姿は二度と〈ソウルワールド〉に現れる事は無いのだ。
それを悲しく思うと、僕は顔を歪めて両目をギュッと強く閉じる。
すると急に強い風が吹き、白い花びらが宙に舞って優しく頬を撫でた。
少しだけビックリして、とっさに両手で
じっと見つめていたら、その花びらは優しくキラキラと光り輝いた。
何だか悲しまないでと、花びらが言っているような気がした。
こんな事をアザリスとリュウに話したら、きっと笑われてしまうだろう。
だけど、少しだけ元気を分けてもらった自分は、ゆっくり前を向いた。
「……うん、そうだよね。こんな所で立ち止まっていても、答えは見つからない。僕は先に進むよ」
別れを告げて、中央広場の転移結晶に向き直る。
そこには黙って見守ってくれていた、アザリスとリュウがいた。
絶望を打ち倒した事で、新たなマップに進むための扉は開かれた。
まだ分からない事だらけだが、先に進めば全ての謎は解き明かされると思う。
僕は花びらを放し、二人に歩み寄るといつもの様に声をかけた。
「待たせてごめん。行こう、──次の冒険に!」
─おわり─
【あとがき】
続きを書くかどうかは今後のスケジュール次第となります。
構想としてはアンブローズが主人公の家に同居する事になったりとか、イグニス絡みで色々とトラブルに巻き込まれるのとか、考えておりますが忙しくて手に付きません……。
ここまでお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
ソウルワールド〜TS魔法剣士は自分と世界の謎を解くためにゲームのような異世界を攻略します〜 神無フム/アスオン3巻発売開始 @kamina-humu6
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ソウルワールド〜TS魔法剣士は自分と世界の謎を解くためにゲームのような異世界を攻略します〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます