草分け #1
草分けの祖たちは、野分様と共に峠に登りいわお様を鎮め、みずは様をなだめ、ほづち様を安んじて、村の四境を定めた。そして、最後に野分様の
草分けの家の当主自身は、
そうして、古い智恵を、或いは古い決め事を持ち出して、物事をまとめてしまうのだ。
今P村に残っている草分けの家は四つ。他の幾つかは昭和までに断絶するか、村を出て行くかしたらしい。
※ ※ ※
「――で、今でも草分けが黒だと言えば白いモノも黒くなる、と?」
「まさか。今時、草分けにまとめてもらうほどの事なんて滅多には起きないし」
「ふうん……まさかあんたが草分けの一人とか?」
「ないないそれは無い。だいたい、村から出たらそれはもう草分けじゃないんだ」
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