系図祭り

 P村の、御社おやしろに、秋になると村人が集まる。社の本殿には『村の一族の系図』がしまってある。

 系図の巻物を広げて、ひとしきりそれを崇めて。

『――あんたのところは五代前の親類か』

『――お前の処は八代前か』

と系図を肴に語り合い、やがて酒盛りが始まり。新米のおにぎりを一緒に食べて。

 酔いが回った頃に三々五々さんさんごご家に帰る。それだけのお祭りなのだけど、そうやって村人たちは『同じ一族』であることを確かめ合う。


 ※ ※ ※


「え? じゃあP村、みんな親類?」

「そんなことは無いよ。そもそも大体数代前とか十数代前とかで分かれてるし、隣村から養子に来た家もあるし、結婚は余所の村としてるから、系図の上ではどこかで繋がってるくらいの話。あ、でも同じ名字の家は多いね」

「うわぁ……(どん引き」

「あ、因みに御社の神主さんも同じ名字」

「不思議とか不思議じゃないとかじゃなくて住みたくないわ、それ(どん引き」

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