第13話 王都までの護衛依頼
渉達は一階に降りてミューレンの所に向って歩いて、ミューレンの受付に来た。
「ミューレンさん。買い取り頼むけど問題ないか?」
「先程、ギルドマスターから指示がありまして、お二人の専属担当として私が行いますのでよろしくお願いします。買い取りの件も聞いていますので大丈夫です」
「それじゃあ、これをお願いします」
渉は腰に巻いているポーチから解体したオーガの魔石5個とオークの魔石と肉を各10個取り出した。
実は渉のポーチには
理由は簡単でこの世界では、マジックポーチは普及しているが自分のスキル「
「はい。確認しますね」
ミューレンは取り出した魔物の素材を確認して、結果を渉に報告した。
「それでは、オーガの魔石一個1万ベルク、五個ありますから5万ベルク。オークの魔石一個が3千ベルクで合計3万ベルク、それとオーク肉が1体分で2千ベルクで合計2万ベルク。最終買い取り額は合計10万ベルクとなります。受け取りは誰にしますか?」
「亜理紗のカードに入金をお願いする」
「分かりました。それではアリサさん、ギルドカードを出して下さい」
亜理紗は自分のギルドカードをミューレンに渡した。
「はい。これで良いのですか?」
「少し待って下さい........終わりました」
ミューレンは亜理紗のギルドカードを受付にある台に乗せてから、亜理紗に返却をした。
以前、報酬は現金で渡していたのだが、貨幣の供給不足と盗賊とかで盗まれる事が多い為、冒険者ギルド全体でカードに貯金機能が取り付けられて、街限定ではあるが、買い物や食事、宿泊料金の支払いには会計場所に置いている台にカードを乗せるとカードに記憶されている預金から自動で引き落としが出来る様になっている。
所謂キャッスレス決済で、村にはそのシステムがないので商業ギルドで必要な現金を引き出しが出来るようになっており、1ベルクは日本円でほぼ1円計算と思って良い。
「お二人さん。報酬の受け取りもカードでお渡しになります。もしも、村とかに行く場合は、商業ギルドにて引き出しが出来ます」
「ありがとうございます」
二人はギルドを出て行った。
「渉さん。宿に行くの?」
「いいや、さっきビンスから聞いた場所に行くぞ。あそこなら俺達の家型テントが使えるからな?」
そう言って渉はビンスから聞いた場所に向い、その場所の上で家型テントを取り出し、中に入った。
家の応接間で二人は今後の相談をする。
「今後の予定だが、今俺達の冒険者ランクは最低ランクのGだから、明日からは依頼の数をこなしてCランクになれば護衛依頼が受けられる。王都の護衛依頼か又は氏名依頼を受けて王都に向う事になるからな? それまではコツコツと依頼の数をこなしていくぞ」
渉は亜理紗に冒険者ランクの話を説明する。
その内容は、冒険者のランクは一番最上位はSで最低ランクはGである。
ランク上げは依頼の数をこなして行く。
下記の通りに限定されている。
Gランク......初心者。主に街の掃除や店のお手伝いなどの簡単な作業がメイン。
Fランク......主にギルド指定依頼(薬草採取と低い魔物討伐)がメイン。
Eランク......魔物討伐が中心。掲示板に張られているEランクの依頼がメイン。
Dランク......一般冒険者。
Cランク......一般依頼の他に護衛依頼が追加。ここから指名依頼も受けられる。
Bランク~Aランク.....上級冒険者。高難度な依頼とダンションの探索が受けられる。
Sランク......最高ランク冒険者。この世界では10人ぐらいしかいない。
G~Eランクまでは一個上のランクの依頼が受けられる。
D~Sランクまでは同じランクの依頼しか受けられない。
渉達は護衛依頼が受けられるCランクまで上げないと行けないのだ。
Eランクまでは2か月程で上げられるのだが、DランクからCランクまでは最低でも半年はかかると考えて良い。
Bランクに上がるには昇級試験を受けて合格しないと行けない。
A以上のランクになる為は、ギルドマスターの紹介と街の領主の紹介が必要で、Sになると国王の紹介が必要になる。
渉達はギルドランクに関してはB以上になると面倒が大きくなるので、Cランクで十分だと考えていた。
こうして渉達は依頼の数をこなして行って、3か月後にはCランクになっていた。
○○○○○○
渉達がCランクに昇級して1週間後、ギルドに向って受付嬢ミューレンの所に行って、依頼があるのか確認していた。
「おはよう。ミューレンさん」
「おはようございます。ワタルさん。アリサさん」
「護衛の依頼はあるのかな?」
「ちょうど、良い護衛の依頼がありまして、場所はメタリカ・シティなのです」
「その内容を教えて欲しいのだが?」
「分かりました。依頼人はスレイン=ロックボルト伯爵で内容は伯爵のお子さん達を王都メタリカ・シティまでの護衛です。募集人数は6人で4人までは決まっています。報酬はBランク以上は一人50万ベルクでCランクは一人10万です」
「それでその4人のランクは?」
「Bランクパーティ「蒼き狼」達でパーティ人数は4人です。後の二人はまだですので今から受けられますよ?」
「それで此処から王都までの道のりと日数は?」
「此処から王都までは馬車で約3日間かかります」
「その依頼を受けます。ミューレンさん手配をお願いします」
「分かりました。出発日は3日後で、明後日の昼頃、此処の待合室で顔合わせをしますのでギルドに来てください」
「ありがとう」
渉達は護衛依頼を受けた後、ギルドから出た。
「渉さん。今日はどうする?」
「護衛に必要な買い物をするぞ。3日程かかるらしいから、食料は1週間程あればいいはずだ。家型テントは使えないから普通のテントを買わないとな。それと回復薬に必要な材料はあるから、家テントで錬金するから。お前は食材を買ってくれ」
「分かったわ」
二人は手分けして準備して行くのであった。
顔合わせ当日、二人はギルドの待合室の中にいた。
其処には50代の男性と20代前半の男性2人と女性2人がソファーで座っていた。
二人は空いている席に座るとミューレンが説明をする。
「お待たせしました。隣の方は依頼者のスレイン=ロックボルト伯爵の執事長のアレックスさんです」
「私はスレイン=ロックボルト伯爵様の執事をしていますアレックスと言います」
「次にこちらにいる方達はBランクパーティ「蒼き狼」さんです」
「初めまして。「蒼き狼」のリーダをしているブランコと言う。職業は戦士でレベル80」
「俺はガインで剣士でレベル80。よろしく」
「私はメルダ。探索専門でレベルは70よ」
「私はリアと言います。魔導士でレベル78。よろしくね」
「そして最後にCランク冒険者のワタルさんとアリサさんの夫婦です」
「「よろしくお願いします」」
渉達は挨拶するとリーダーにブランコが尋ねた。
「すまんが職業とレベルを教えてくれないか? 先ずはアリサさんからお願いする」
「私は職は僧侶でレベル55です」
「「「「それはありがたい。回復する人がいるなんて」」」」
「俺は職業は錬金術士だが一応剣は使える。レベルは60だ」
渉はそう話すと「蒼き狼」達は苦い顔をした。
「なんだって錬金術士だと! アリサさんだけで充分だ。だからあんたは要らん。そうでしょうアレックスさん」
「そうだよな?」
「「ええ」」
「蒼き狼」達がそう言うと執事長のアレックスが答えた。
「ブランコさん。決めるのは私ですよ?」
「そうなのだが?」
「ワタルさんと言いましたね。戦闘経験はありますか?」
「もちろんありますよ? それと言ってもいいかな?」
「どうそ、かまいません」
「俺は亜理紗と魔法が使える「蒼き狼」さんのお仲間がもしも魔力が少なくなった時、即座に上級魔力回復薬を作り渡す事が出来るのと剣で魔物を倒す事が出来る」
「そうなのですね。分かりました。同行しても良いです」
「ありがとうございます。アレックスさん」
「いえいえ。それで護衛依頼はスレイン=ロックボルト伯爵の子息のブレンダお嬢様とミランダ様です。来月、王都の魔法学園にご入学されるので、王都までの護衛をお願い致します。馬車はお嬢様達の馬車と荷物の馬車で合計2台あります。「蒼き狼」様達は前と後ろで渉様ご夫婦はお嬢様の馬車を守って欲しいのです。よろしいですか?」
「「「「了解です」」」」
「私達も大丈夫です」
「出発は明日の早朝で場所は北門の前でお願い致します」
こうして顔合わせが終わって、解散をした。
渉達は、家型テントに入って色々と話をする。
「渉さん。「蒼き狼」さん達に本当のレベルを言わなくて良いの?」
「そうだな。この世界のBランク冒険者は大体レベル80ぐらいだからな?」
「私達のレベルの半分以下なのね?」
「そうなるよ。ステータス確認してから寝るとするか?」
「そうね」
二人は明日の為に早めに寝るのであった。
ちなみに二人の今の状態は下記の通りである。
名前 ワタル(=ムーンライト) 33歳 男 180cn 65キロ
職業 錬金術師(元勇者) レベル60(280)
HP58000(800000) MP4000(350000)
基本能力 攻撃S 防御S 体力S 魔法防御S 魔力S 知性S 器用S 俊敏S 運S
基本スキル 剣術S・格闘S・全属性攻撃魔法S・支援&回復魔法B・生活魔法B・料理C・全異常耐性無効・HP超回復・MP超回復・亜空間収納・転送魔法・飛翔魔法・二刀流・解体魔法・眷属召喚・結界魔法・探知魔法・マッピング済み地図・解体魔法・能力隠蔽・
加護...女神フローネの使徒.....経験値3倍(パーティ組むと10倍に変化。有効レベル500)
ちなみに()は隠蔽した事柄・基本スキルと加護は他には見えないように隠蔽している。
亜理紗のステータスも同じ様にしている。
次は亜理紗
名前 アリサ(=カミカワ) 18歳 女
158cn 50キロ B85 W58 H85
職業 僧侶(聖女) レベル55(250)
HP36000(450000) MP25000(400000)
能力 攻撃D 防御D 魔法防御B 魔力S 知性S 俊敏C 器用B 運B
基本スキル 弓術B・回復魔法S・生活魔法S・料理S・
支援魔法A・全魔法防御耐性・全異常魔法耐性無効・聖魔法S・身体強化・結界魔法・鑑定・能力隠蔽
ユニークスキル 天使の祈り......半径20メールの範囲内にいる仲間に対して、一定時間での攻撃系を無効化(1日1回のみ使用可能)
天使の歌......半径20メートルの範囲内にいる仲間に対して、HP&MPを1時間に各1000を回復(1日2回のみ使用可能)
天使の踊り.....半径20メートルの範囲内にいる仲間に対して、一定時間での攻撃を上げる(1日3回のみ使用可能)
ちなみにこの三か月の間、渉の転移魔法を使って「死霊の森」の魔物を倒していた為以前よりレベルが上がっていたのである。
「蒼き狼」のレベルより3倍ほどの差があったのだ。
次の朝、渉達は北門の前で依頼主の馬車が来るのを待っているのであった......。
~作者より~
次はメタリカの王都に向って行くのですか......色々と問題が出てきます
面白いと思った方は是非とも☆を★にしていただくと嬉しいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます