第12話 ギルドマスターとの会談

渉達はギルドマスターがいる執務室の前にいた。


『ギルドマスター。冒険者登録した二人をお連れしました』


『分かった。入ってくれ』


『ワタルさん。アリサさん。どうぞ中に入って下さい』

受付嬢のミューレンが扉を開けて渉達は中に入った。

中に入ると前にはギルドマスターのビンス=ローウッドが座っていた。

ビンスは渉達に話をする。


『そこに座り給え』


ビンスが指を指したソファーに渉達は座った。


『俺はこの冒険者ギルドのバッケンハイム支部のギルドマスターのビンスだ』


「俺の名前は渉。隣にいるのが」


「亜理紗です」


『ワタルとアリサだな? 受付嬢のミューレンからの報告だと、ギルド新規加入登録の件で、ベックと騒動をしたと聞いたのが?』


「俺は亜理紗を守っただけです」


『ベックはこのギルドでの一番功績のある冒険者だ。そいつがアリサを仲間に誘ったのに、なんでお前が出て来るのだ?』


「俺は亜理紗の旦那からだ。ベックと言う冒険者にはそう言っていたのだが?」


『別にお前が旦那って言ってもアリサには関係ないだと思う。理由は単純だ。お前が錬金術士だからだ。クズ職業のお前では僧侶の亜理紗にはもったいないとベックは思ったのだろう? 違うか?』

ビンスは渉がいくら理由を話しても全く聞かない。


(本当にお前は堅物だよなあ.......。さて、どうしかものか?)

渉は色々と思案をしていると亜理紗が話を割って入って来た。


「それなら、あのベックさんは私を可愛がると言っていました。私の話を聞くまでもないぐらいに。だから渉さんが怒ったのです!」


『それは、アリサをパーティの仲間にする為にだな。そこのクズ職より良いかと思って言っているからだ』


「私は渉さんと一緒にいたいのです!」


『それは俺が許すと思っているのか!』

ビンスは亜理紗に睨みを付け始めた。


(これは.....俺の事を話すしかないだろうなあ。まあビンスの驚く顔を見るとするか?)


そして、渉はビンスに話をかける。


「一つ聞いて良いか?」


『なんだ!』


「あんたの娘って確か、マリーちゃんだったか? 昔、俺に話をした時、『俺のマリーちゃんに手を出したらぶっ殺すって言ったよな?』それを聞いたレノアさんがお前の頭を叩いて『このバカ亭主! いい加減にしなさい!』って怒られたのを忘れてはいないだろうな?」


『なんで、お前がその事を知っているのだ! しかも、俺の妻も知っている!』



「そりゃあ。その時、俺もいたんだよ。あの脳筋バカ聖騎士と天然聖女さんと一緒に。お前、俺の事よく知っているのじゃないか? 『死神』ビンス」


『お前、俺の別名と国王夫妻の事を知っている!』


「本当に忘れているのだなあ.....もう15年の前だからそうなるか」

そう言って渉は眼鏡をはずした。

渉の顔を見てビンスは驚いた顔をして叫んでいた。


『お前......ワタルなのか......』


「だからさっきから名前を言っているはずだぞ! この親バカのビンス!」


『ワタル!』

ビンスは席を立って渉の所に行き、渉を抱きしめた。


『ワタルうううううう!』


「く....来るなって!」


「あのう。渉さん。これってギルドマスターとの関係は?」


「そうだった。こいつは一回目の召喚の時に一緒に冒険をした間柄なんだ」


『ワタル。もしかして誰かに召喚されたのか?』


「ああ。女神アンドロメダ他4人の女神によってね」


『そうなのか......。』


「どうした?」


『そっか.....女神アンドロメダ様によって召喚だとしたら....敵になるかも知れん』


「ちなみに言い忘れたが俺と亜理紗の加護は女神フローネだぞ?」


『それは本当か?』


「ああ。本当だ。それでビンス教えてくれないか? 今の現状を」


『分かった。お前達は知ってもらった方が良いかも知れん』

ビンスは渉達に今の状況を話した。

その内容は以前女神フローネが話した内容と同じだったが、違う事もいくつかあった。


『ワタルが聞いた魔王って言うのはアンドロメダが別の異世界から来たって言うのだな?』


「そうだけど?」


『俺の方は、ちょっと違ってな....ワタルさ。今、この世界にいる魔王って知っているよな? 彼女と脳筋の魔王しか今はいない。あいつらは此処に来た時に言ったんだ『俺達はアンドロメダ様から召喚された勇者』だってさ』


「それはどういう意味だ?」


『今、ラインバッハ帝国にいる帝王ベリアル=ラインバッハは女神アンドロメダから召喚された勇者で、もう一人も同じはずだ』

ビンスが言っていた内容を聞いた渉はフローネから聞いた話と組み合わせて一つの結論に達したのをビンスに話をする。


「なあ。ビンス、一つ聞いて良いか? その勇者が来た日から、アンドロメダ達によって召喚された人は今どうなっている?」


『あいつらが来たのが5年前でその間に召喚された人間は約300人。今はお前達以外で約数人しかいないはずだ。殆どはあいつらに殺されたんだ』


「それを聞いてアンドロメダの思惑が分かった気がする。此れは俺の推測だが、本来の目的はあいつらがフローネの世界を支配するゲームだと思われる。アンドロメダ達が加護している世界から勇者と言うより魔王と呼ばれる2人がフローネの世界を壊して自分達の世界にする為だと俺は思っている。その後、魔王討伐に俺の元居た世界の人間達をこの世界に召喚させて戦わせていると考えている」


『それで?』


「多分だけど、あいつらの経験値上げる為に「地球」からの召喚者を殺しているのではないかと。それってこのヒストリアの世界での重要な人物達を殺す為だと思っているからだ」


『そうなると、今あいつらに支配されていない国は、スカーレット王国と中立国メタリカ。後はスカーレット王国の国王夫妻の母国セント・フローネ教国になるかと。今、教国は隣の国バステーユ帝国との戦い真っ最中だ』


「そのバステーユ帝国とは?」


『確か魔王が支配している帝国だと聞いている。内容は分からん』


「そうか」


『それで、お前達は冒険者として活動するのだな?』


「今の所はそうなる。新規登録してランクをCぐらいに上げないと行けないからな?」


『それなら、一応渡す物がある』

ビンスは渉達に冒険者ギルドカードを渡した。


「これは?」


『お前達の冒険者カードだ。内容は知っているかと思う』


「それは助かる」


『お前が登録していたランクのカードはスカーレット王国の国王夫妻が所持している。理由は簡単だ。もしも、お前が戻って来た時に渡すと国王が言っていたのだからな?』


「そうか。それより聞きたい。なんでお前がここのギルドマスターをしているのだ?」


『それは......王女様と王子様を監視する為だ。まあ監視より管理って事かな?』

ビンスの言い方だと国王の子供達を影で援助する為に送られたと渉はそう思った。


「俺達は当分ランク上げで此処に滞在するからな? まあ護衛依頼が出来るようになったら別の街に行こうと思う。情報収集だと思っていい」


『そうだったな.....ワタル。お金はあるのか?』


「そう言えば、この国の通貨は?」


『中立国ではあるが、昔のままでベルクだ』


「ありがとう。今は一文無しだが、『死霊の森』で狩った魔物があるから、ギルドで買い取りして欲しいのだが?」


『『死霊の森』だと! それで何体あるのだ?』


「確か、オーガ約2000、オーク3000。他に3000ぐらいあるはずだ」


『おいおいおい。其処まで買い取り出来ないぞ? オークなら一日10体、オーガなら一日5体までなら即日買い取り出来る。一遍に出すとあとあと此処の国王が目を付けられるからな? あの国王、どうやらラインバッハ帝国かスカーレット王国のどちらかに手を結ぼうと考えているみたいだ。』


「分かった」


『それじゃあ。一階にいるミューレンに買い取りの話をしてくれ』


「それじゃあ、ありがとう。ビンス」


『昔のよしみだ』

渉はビンスの執務室から出て一階のミューレンがいる受付に向った行った。



~作者より~

あけましておめでとうございます。

今年も私の小説を読んで下さいね。

この物語は、

①召喚~魔王討伐編

②領地改革編

③改革後

以上の順に書こうかと考えています。

①はシリアス要素

②はコミカル要素

③は両方合わせた内容

で掲載しようと思っています。

1月より毎週火曜日と土曜日に更新致します。














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