第11話 冒険者登録

渉達はメルビンの護衛をしてほどなくバッケンハイムに到着した。

渉はバッケンハイムの外壁を見て驚いてメルビンに話す。


「メルビンさん。此処って大きな街ですよね?」


『ここバッケンハイムはメタリカでも第二の都市と言われています。理由は冒険者が多く滞在している為です』


「そうなのですね?」


『バッケンハイムには3つの門がありまして、西門から出て進むと農村地帯が多くありまして、私ら商人は大抵ここから農村地帯に行って作物を仕入れします。北の門から出て進むと王都メタリカシティに行きます。そして、東の門から出て進むとスカーレット王国の都市の一つハイデンブルグに着きますが....今は封鎖中です』


「封鎖中って?」


『今スカーレット王国とラインバッハ帝国、それとグレナダ連邦とで戦いがありまして、私達メタリカ王国は中立の立場なので、スカーレット王国との交流を断っているのですよ? 昔はスカーレット王国との交流がありましたけど、今の国王バロン=メタリカ国王が即位した時に一切の国との交流をなしにしたのです』


「そうでしたか.....他の国の争い事に関してメタリカは無関係と言っていると思って良いのですか?」


『まあ....そうなりますね。しかし、この国も......。それは良いとして入り口の兵士に話をしてきますね』

渉はメルビンの話を聞いてなんとなくこの国にも問題があると思った。

入り口の門にいる兵士にメルビンが入国の説明をしているとロイド達が話して来た。


『ワタルさん。此処だけの話だけど、さっきメルビンさんが途中話を辞めた事に付いてはこのバッケンハイムでは絶対に言わないで欲しい』


『そうだわ。メタリカも結構大変なのよ? 今、ラインバッハ帝国の貴族が此処に来ているの。どうやらある人物を探しているみたい。国王はその人物を早く此処から追い出すか又は捕まえてラインバッハに渡すつもりなのよ?』


「その人物とは?」


『確かスカーレット王国の王女様と王子様よ。王都の学院に留学していたけど、スカーレット王国とラインバッハとその同盟国のグレナダが戦争しているので、ラインバッハはその王子達を捕まえようと必死になっている見たい』


「そうなのですね? その王子達は今何処にいるのでしょう?」


『これは僕の推測だけど、王都から出てどうやらこのバッケンハイムにいると考えている。王女は美人と言う評判で王子は女子に似ている評判なんだ』


「へえ...」

すると、メルビンが戻って来て渉達に話かけて来た。


『許可もらいました。ワタルさん達はロイドさんが助けた旅人と言っています。アロで冒険者登録をすると言いましたので大丈夫でしょう。それでは中に入ります』


こうして渉達は街に入って行った。

メタリカ王国の第二都市バッケンハイム。

人口は約2万人がいる商業と冒険者が多くいる街である。

ここの領主は名前をスレイン=ロックボルト伯爵と言い、領民に人気な人物であったのだが、王都での派閥争いに巻き込まれてしまい、此処に飛ばされたのである。

此処はメタリカで唯一の商業都市であり、多くの貴族もこの街に屋敷を持っている。

街には区画があり、貴族や領主宅がある貴族地区、店が多くある商業地区、冒険者ギルドや多くの宿泊施設がある宿泊地区、そして一般住民がいる住宅地区に分けられたいる。

その中の商業地区にあるアインズ商店の前に到着した。


『お疲れ様でした。ロイドさん、これが依頼報告書です』


『ありがとうございました』


『私は店に入って仕事しないと行けないのでギルドにはロイドさん達にお願いします』


『ワタルさん。アリサさん。いきましょう』


「「はい」」

渉達はメルビンと別れて冒険者ギルドに向って行った。


『お二人さん。そこの大きな建物ですよ?』

ロイドが指を指した場所は3階建ての赤いレンガで覆われた建物であった。


「此処が冒険者ギルドですか?」


「....大きい....」


『でしょう? 王都の冒険者ギルドより大きいのよ』


『中に入りましょう』

渉達はギルドの中に入った。

中に入ると多くの冒険者達が受付場所に待っていた。


『僕達は依頼報告して行ってから帰るので、入会受付は一番左端の所にあります。その赤い髪をした女性が受付の人です』


「ありがとうございました」

ロイド達は報告の為、別れて行った。


「亜理紗行こうか?」


「ええ」

二人はロイドが言っていた受付場所に向った。

其処にも多くの人が居た為、二人は列の後ろに並んだ。

しばらくして渉達の順番になったので受付の人に話をかける。


『いらっしゃいませ。ご用件は新規登録でしょうか?』

灰色のロング髪で眼がエメラルド色した耳が少し長い女性の受付嬢がにこやかに話した。


(これは.....エルフ? 違う.....ハーフエルフだ)

渉は受付嬢の姿を見てから説明をして行く。


「そうです。隣にいる彼女と一緒にだが? それと此れはアインズ商会のメルビンさんと推薦人の冒険者ロイドさんの紹介状だ」


『そうですか。それではいただきますね』


受付嬢はメルビンとロイドの紹介状を確認して穏やかな顔で返事をした。


『確認致しました。それでは受付登録をさせていただきますけど、よろしいです?』


「ああ」


「お願い致します」


『まず、この用紙に名前と職業と書いて下さい。その後、この水晶玉に手を触れて下さいね。この水晶は用紙に書いてある内容が本当かどうかの確認する為ともう一つは過去に犯罪歴があるかないかを調べる為なので』


「分かりました。先に彼女から。亜理紗、先にしてくれ」


「うん」

渉の指示で亜理紗は書いた用紙を受付嬢に渡して水晶玉に触れた。

そして、受付嬢は驚きをあらわに答えた。


「アリサさん....これって本当ですか?」


「はい。本当ですけど?」


「....アリサさんの職業は『回復術士』でレベルは....35?? すごいです」

受付嬢が言った言葉を聞いた冒険達は驚いて話していた。


『本当か?』


『そう見たいだ。回復術士の冒険者って珍しいすぎる』


「次は俺だが良いかな?」


『はい。どうぞ』

渉も亜理紗と同じように受付嬢の言う通りに水晶玉を触れた。


『あのう....ワタルさんも本当に冒険者になるつもりですか?』


「ああ。そうだが? 何が問題があるのか?」


『いいえ。『錬金術士』の方が本当に冒険者登録するのは初めてなので.....』


『『『『え?』』』』


冒険者達は渉の職業を聞いて呆れた顔で驚き、遂には大笑いをしていた。


『『『『あはははっはは!』』』』


『マジですか! あんた。錬金術師ってクズ職業が冒険者になるって』


『止めとけ。止めとけ。あんた即死ぬぞ?』


渉は周りの声を気にせずに受付嬢に話した。


「それで登録できるのかな?」


『それは.....問題ないかと......』


『そこのお嬢さん。俺のパーティに入らないか? ちょうど回復術士が必要なんだ。しかもレベル35ってすごいじゃないか?』


渉達に割って入った一人の冒険者が亜理紗を誘って来た。


「いいえ。結構です」


『そう言うなよ? 俺はBランク冒険者で『死神』ベックと言うんだ。お嬢さんよ、俺の女にならないか? ベットでも優しくしてやるぜ』


「なあ。そこのバカ男何を言っているのだ?」


『何を言っているって....お前こそ、クズの錬金術師にくせに』


「亜理紗は俺の妻だ。いい加減にしてくれないか?」


『あんたの嫁かああ。こりゃ面白い! アリサって言ったよな? この旦那をボコボコにしてからベットで愛し合おうぜ!』


ベックはそう言って渉に向って拳を放って行く.......が


『ギャアアアアアアアア!』

渉はベックの拳を掴んで握り潰して、ベックは泡を吹いて倒れた。


「あんたさ....俺の妻に手を出したら、こうなるんだよ」


其の場にいた全員が渉の行動にただ唖然としていると、後ろから40代の男性が割って入って来た。


『そのぐらいで十分だ。ベックを救護室に持って行け! それと二人は俺の所に来てもらう。ミューレン。二人を執務室に連れて来い!』


『は....はい!』

男性はその場を後にした。

その姿を見て渉は思い出した......この男の事を


(顔は老けてるいるが.....まさかなのか?)


「すいませんが、受付の方」


『はい。私の名前はミューレンと言います。何でしょうか?』


「今の男性の方は?」


『はい。ここのギルドマスターですよ?』


「ギルドマスターさんのお名前は?」


『ビンス=ローウッド。元スカーレット王国の近衛騎士団長をしていたと言っていました』


渉はビンス=ローウッドの事を思い出した。


(まさか.....ビンスだったとはなあ.....俺の顔を忘れている見たいだな?)

渉は懐かしい顔を見て微笑み、亜理紗に言った。


「亜理紗。行くぞ。それとミューレンさん。執務室までご案内お願いします」


「うん」


『はい.....』

渉達はミューレンの案内でギルド執務室に行くのであった。










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