第9話 女神フローネから聞いた今のヒストリア
女神フローネは渉達が自分の声が聞こえている事と更に話が出来る事に驚いていた。
『どうして、私と会話が出来るの? 私の加護はある一定のレベルにあがったのみ私から神託を降りるはずですが......』
「それはな....俺がな....フローネちゃんの腕輪を解析して作った指輪なんだ」
「渉さん?」
「亜理紗が此処に来た時、腕輪を付けていたのを憶えている?」
「ええ。渉さんに「これは今は必要ないから俺に預けて欲しい」って渡したけど?」
「ああ。それでその「腕輪」を錬金術で解析して時間は掛かったがフローネとの会話できる指輪を作ったのだ。理由は簡単、この世界の今の現状を聞くためと...あと」
「後?」
「この天然ボケ女神が俺の事を忘れていたからだ!」
『私ですか?』
「決まっているだろう? 俺の姿を見てまだ分からないか? 普段は眼鏡をしているがな? 貴方なら俺達の今の姿を見えているはずだよ....このバカ天然の女神フローネちゃん」
『そのフローネちゃんは止めてくれませんか? ....でも以前に言われた気がするので....』
「ならよく考えてみろよ?」
渉の言葉を聞いてフローネは頭抱えて考えて行くと...ある事に気が付いた。
『その言い方.....そのワタルって言う名前.....! まさか!』
「そのまさかだ」
『本当に.....。召喚されたんだ.....。私の勇者ワタルさん!』
フローネは泣きながら渉の事を思い出した。
亜理紗は渉に今の状況が分からない為、渉に説明してもらう。
「渉さん?」
「亜理紗には一回話をしたと思うが、俺がここに来たのが15年前だって事を」
「それは聞いたけど?」
『亜理紗さん。よく聞いてね。このワタルさんは貴方の世界の時間で15年前にワタルさんを召喚して此処に連れて来たの。5年後に私の加護を受けた他の5人と一緒に大魔王を倒した勇者なのです。大魔王を倒したワタルさんは召喚された時の年齢で元の世界に帰還したのです。』
「ええええええ!」
亜理紗はとても驚いてアングリな顔をしたのを見て渉は説明した。
「今回の召喚では勇者の能力はなかったんだ。それは、俺が元の世界に帰還する時、自分の能力を封印して帰還したからだ」
「それはどういう事?」
「地球では魔力が全くないし、帰還しても能力はそのまま引き継ぐ事になるのをこの天然女神に聞いたので、しかも、後の人生には関係ないと思ったのだが。まさか、此処に召喚されると思ってもいなかった。俺はこのままのんびりと暮らたいと考えたのに......」
『まあ。良いじゃないですか? ここに戻って来られてね?』
「何が此処に戻ってだ! ったく......それでフローネに聞きたい事がある」
『なあに? だ・ん・な・さ・ま』
「亜理紗の前に旦那様って言うな! 亜理紗.....この女神との関係はないからな?」
渉はフローネが言った言葉を聞いた夜叉になっていた亜理紗をなだめようとしていた。
「渉さん....。私以外に女神に手を出したの?」
「手を出す前に、元々フローネは「ヒストリア」に降臨出来ないんだって。むやみに自分が統治している世界に降臨するとこの世界の住人がパニックになるのだからな?」
「まあ...そう言う事にして起きます.....あとで....一杯イチャイチャしてよね....」
「分かった分かったから」
『あのう.....お二人さん......それで私に聞きたい事があるって?』
「お前なあ.....行き成り修羅場にさせやがって......フローネ。俺が帰還した後のヒストリアの現状を教えてくれないか?」
『そうですね.....。先ずワタルさんが帰還した後、この世界は平和に暮らしていたのよ。だいたい5年ぐらい前かしら、突如2人の異世界から来た魔王が召喚されて、この世界の国を攻撃を開始したの。そのお陰で世界は2つに別れてしまい.....。私はワタルさんの召喚した後遺症で50年勇者なる人を召喚出来なかったの....そこでアンドロメダを含む4人の女神達があなたが住んでいる地球から何人も召喚させて魔王討伐をさせていたのよ? 毎年100人ぐらいの数で』
「そうか...亜理紗。ここ最近、地球での行方不明事件が多かったよな?」
「私...そのニュースは見てないの....ごめん」
「そっか。それで召喚された人たちは今どうしているのか?」
『いないわ。今回の召喚された人達も、さっきアンドロメダ達の会話をこっそり聞いた所では貴方達以外は既に死んでいたの。亜理紗さんの友人も.....』
「そうですか....」
「それでフローネ。亜理紗が召喚されたラインバッハ帝国って俺がいた時は無かったが?」
『ラインバッハ帝国は異世界から来た魔王が作った国なのよ。元々ラインバッハはライン王国と言う小さな国だったの。5年前ライン王国が魔王を国王として即位して、周辺の国々を支配下として今のラインバッハ帝国になったのよ。後、貴方が今いる『死霊の森』を囲んで国が3つあるの。貴方がいる場所から南の方にさっき言っていたラインバッハ帝国、西にあるのが人族、エルフ族、獣人族達が多くいるメタリカ王国、北にあるのが私の加護があるスカーレット王国。これは貴方が良く知っている夫婦が作った国でもあるのよ?』
「スカーレット王国って、あの堅物の聖騎士デビットとお転婆聖女マリアが作った国なのか? あいつら確か三大大国であったロキシア王国の王女と王女専属騎士だったはず。あいつら結婚したのか?」
『そうよ。あの後、ロキシア王国の国王から領土を与えられて、その後結婚して独立したのよ?』
「親のビクトール国王から援助をしてスカーレット王国を守っているのか?」
『そうでもないの。ロキシア王国は別の異世界魔王の一人に攻め込まれてスカーレット王国までの援助が出来ていないのよ? 丁度中立国メタリカのおかげで今は膠着状態になっているわ。ラインバッハ帝国はメタリカに攻め込むか思案中だと思う。実は気になる事があるのよ』
「気になる事?」
『そう、今スカーレット国王の子供達がメタリカの王立学院にいるの。其処でラインバッハ帝国はスカーレット国王の子供を捕らえて、それをエサにスカーレット王国を降伏させようと考えている見たいなの。ワタルさん。アリサさん。その子供を保護してスカーレット王国まで連れて行って欲しいの?』
「それは分かった。何とかしてみる」
『そろそろ時間見たい.....この通話は私が一人の時に使えないから注意してね?』
「それなら、フローネが一人の時に話してくれ」
『うん』
こうして女神フローネとの会話が終わり、渉達はこれからの事を話した。
「亜理紗。先ずはこの森から西に出てメタリカに行き、冒険者登録をして夫婦漫才の国王夫妻の子供達を探そう」
「どうして冒険者なの?」
「冒険者なら護衛依頼でスカーレット王国に行く事が出来るし、なりより俺達の身分証明がないから他国には入れないだ。しかもラインバッハとスカーレットは今膠着状況だからなかなか入国は出来ないはずだ。女神フローネの言い方だとまだ時間はあるかと思う....それと.....新婚旅行みたいだろ?」
「そうね....新婚旅行って......バカ」
「嬉しいくせに.....」
「もう...」
「あいつに聞くのを忘れた! 子供の名前を聞いていない!」
「あ?」
「まあ。良いか。その件は後々で考えて。先ずは此処から西に向って森を出てメタリカに向うぞ」
「うん」
こうして渉と亜理紗の冒険が始まるのであった。
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