第7話 再会②

渉を助けた女性は、いつも別の路線で乗っていた女子高校生であった。


「君は....いつも俺のバスの乗っていた高校生だね?」


『はい....。』


「ヤバかったね。もう大丈夫だ。立てる?」


『身体が怠くて立てません.....』


(そっか....魔力切れを起こしている.....)


「少しこのままで....「ヒール」」

渉は亜理紗に回復魔法を唱えると亜理紗の顔は少し良くなり亜理紗は立ち上がった。


『ありがとうございます。バスの運転手さん』


「俺の名前は夜明渉。君の名前は?」


『上川亜理紗と言います....』


「所でどうして一人で此処にいたの?」

渉は亜理紗に尋ねると亜理紗は今までのいきさつを説明した。


「精霊の村?」


「はい。そこに行って魔道具を置いて戻って言われました。」


「さっき、君が言っていた場所には来たんだけど、誰もいなかったし、魔法陣はなかったよ?」


「え?」


「多分、君達はその帝王に騙されたかも知れない。君の友人達は?」


「奥に進んで行きました」


「そっか....良いかいよく聞いてね? 君の友人が行った先は恐らく災害魔物が住んでいる地域だ。友人達のレベルはいくつ?」


「聞いた所では確か.....レベル30ぐらいって言っていました」

それを聞いた渉は亜理紗に質問をした。


「確か君は座って居る女神から加護を貰った?」


「はい」


「友人達はアンドロメダって言う女神の加護を?」


「そうです」


「ちなみに君のレベルはいくつ?」


「レベル1です.....」


「それじゃ、俺には『鑑定』スキルがあるから君の今の内容を見ても良いかな?」


「はい」

亜理紗の了承を得てから渉は亜理紗を「鑑定」した。


<鑑定>

名前 アリサ=カミカワ 18歳 女 

158cn 50キロ B85 W58 H85  

職業 僧侶見習い レベル1


HP30/200 MP3/150


能力 攻撃E 防御E 魔法防御D 魔力D 知性D 俊敏E 器用D 運D


基本スキル 回復魔法E・生活魔法E・料理B・道具箱アイテムボックス

$%&$%・&%&%&%・#$%&$・&#$#$%


加護 女神フローネの使徒.....経験値3倍(パーティ組むと10倍に変化。有効レベル500)


(おいおい。普通スリーサイズまで表示しないだろうが! やっぱあの天然女神フローネちゃんかあ.....でもこの分からないスキルってまさか....それとフローネの加護があるから何とかなるだろう)


亜理紗の鑑定をした渉は、ある事をした。

それは亜理紗の頭の中に女性の声が聞こえて来た。


<夜明渉からパーティ申請が入りました。<はい>か<いいえ>のどちらにしますか?選んで下さい>


「え?」


「君に聞こえた? パーティ申請を」


「はい。聞こえました」


「それなら、「はい」と返事して欲しい。良いかな?」


「分かりました....」

亜理紗ははいと答えると頭の中に声が答えた。


<夜明渉のパーティ申請を受諾しました。次の戦闘から上川亜理紗の経験値が10倍となります>


「え????」


「その事は後で教えるから、此処から出よう。俺の拠点があるので来てくれる?」


「はい」

渉と亜理紗は渉が拠点としている湖の所に到着すると、亜理紗はその拠点を見て大声を出した。


「な.....何ですかあああ!」


「これはね...家型テント。さあ、中に入って」

渉の手引きで家型テントの中に入った。


「........」

余りにも現実に亜理紗は無言になってしまった......。


「上川さん。今風呂を沸かすから出来たら入って」


「....はい」

渉はそう言って風呂場の準備に行った。

しばらくして風呂が沸いて亜理紗は風呂に入って汚れた身体を洗おうとした時、渉が扉越しに思い出した様に亜理紗に言った。


「ここにタオルと着替え置くね。そうだ、上川さんは生活魔法が使えるから、下着だけは生活魔法「クリーン」を下着に唱えてね。それで下着が綺麗になるから。その間、俺は食事の準備をするから、簡単な物しか出来ないけどね」

そう言って渉はキッチンに向った。


お風呂が終わった亜理紗は大広間に行き、渉が作った食事を食べた。

その後、渉と亜理紗は話をした。


「良く聞いてね。先ず元の世界には今の所戻って来れない。だから君だけ元の世界に戻る方法が見つかるまで俺と供に行動して欲しいけど、良いかな?」


「それは構いません」


「此処から本題に入るね。その為には俺達のレベルを上げてからこの森を出て行く。ここは上川さんが言っていた「精霊の森」では無くて「死霊の森」と言う場所。君の友人が行った場所には災害級の魔物が多数いる。そのレベルは....100以上が大半になる。つまり、君の友人のレベルでは即死になると思う。友人を助ける?」


「......私は.....あの人達に自分の家族と....自分の一生をムチャクチャにされたのです。後、私には元の世界に戻っても良い事がありません...なので、夜明さんと一緒に行きます良いでしょうか?」


「元の世界に戻る後悔はない?」


「ありません! なので....私には亜理紗と言って下さい」


「分かった。俺の事は渉で良いよ」


「はい....渉さん。質問があるのだけど?」


「良いよ。言って見て」


「渉さんは、何故この世界の事は知っているのですか?」


「.....俺は18歳の時に一回此処に召喚されたんだ。でもね、もう15年前の事だから今の状況がわからないんだ。俺の記憶によれば此処から西に街があるはずだ。先ずは其処に向うのだけど、今の俺達のレベルじゃあ無理なので、この拠点を中心に魔物討伐してレベルを上げてから行こうと思う」


「此処で?」


「此処ならオーガとオークぐらいだから君がパーティにいるとお互いの経験値が10倍になるので1~3ヵ月もあれば、鍛えられるし、亜理紗さんの能力も上がるはずだ。亜理紗さんの僧侶見習いって職はレベル50になると職ランクが上がるので亜理紗さんの目標は見習いからの脱出と魔法の勉強だね。あと此処の世界の事も教えないと行けないから」


「分かりました。それで、私は戦えませんけど?」


「戦いは俺がするよ。亜理紗さんは戦いの後で回復魔法して欲しい。それと家の中では料理と生活魔法を使って鍛えるって事で良いかな?」


「はい。私は元々、料理が上手なのです。それと掃除も.....私の夢は.....普通の生活して、普通に結婚して旦那さんに自慢の料理を食べて....家の中を掃除して....旦那さんを迎えて....普通の生活をしたいのが夢なんです!」

亜理紗は渉に自身の夢を語った。


「この世界で落ち着いたら、良い旦那さんとなる男性と出会って普通に生活出来たら良いね....。それと亜理紗さんの腕についている傷は綺麗に治っているから安心して欲しい」


「え? ええええええ」

亜理紗は手首を見て傷が無くなっているのを見た。

昔自殺未遂して手首を切った後が無くなっていたのを確認したら、驚いて.....そして亜理紗は嬉しそうに泣いていた....。


「もう遅いから、寝ようか? 俺の隣の部屋が亜理紗さんの部屋だよ。一応ベットとタンスはあるから着替えは其処に置いたらいいよ」


そう言って渉は自分の部屋に行った。

亜理紗は自分の部屋に入ってベットに寝転んだ。


「本当に.....私....渉さんの事.....結婚したいって気になるでしょうかああああ!」

顔を赤くなった亜理紗は変な妄想を思い浮かべて眠りに入った。

明日から、レベル上げの日々が始まったのである......。

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