第5話 転移(上川亜理紗の場合)

~上川亜理紗の視点~


私が目を覚ますと、周りには何もない世界が広がっていた。


「此処は?」

私の開口一番は今いる場所が何かだと思っていた。

私はバスの中を見ていると


『此処は何処?』


『おい。綾香。此処は何処か知っている?』


『分からないよ』


『そうだよな....』

綾香達も今の状況に驚いていた。


するとバスの中の乗客全員がパニックになって騒いでいるとバスの運転手さんが私達乗客に向って話した。


「すいません。今から確認しますので此処で待って下さい」

バスの運転手さんはその場に騒いでいた私達にそう言ってバスから降りて外に出た。

すると何処から女性の声がバスの中に響いて来た。


『ようこそいらっしゃいました。皆様降りて頂きませんか?』

女性の声はバスから降りて欲しいと言ったので、私達乗客全員はバスから降りた。

降りると私達の目の前に5人の女性が立っていて、その一人の女性が前に出て話を始めた。


『皆様は、私達『神』によって召喚されました。貴方達には私達の願いを聞いて欲しいのです』


そこへ一人の中年男性が女性に尋ねる。


「おい。俺達を此処から帰してくれ。仕事に間に合わない!」


『それは.....出来ません』


「なんだって!」


「なんでよ!」


「これって.....異世界召喚なのか? 来たああ!」

ただ一人森崎君は喜んでいた。


「神」と言った女性が淡々と話し始める。


『貴方達には「ヒストリア」と言う世界ではびこる魔王を倒して欲しいのです。魔王を倒した時は元の世界に戻しましょう』


その女性を話を聞いた森崎君は女性に質問した。


「それは本当か?」


『本当です』


更に後方にいた老人が更に女性に質問する。


「わしは....もう80歳なのだが、戦えないぞ?」


『それは問題ありません。貴方には若い頃の姿になって転移させましょう。この方と同じ歳の方は若い頃に戻って転移させますのでご安心下さい』


それを聞いた私以外の乗客全員は喜んで騒いだ。

私だけは....まだ戸惑っていた.....。

そして、女性は召喚した内容を話始めた。


『私はこの女神達の代表で名前はアンドロメダと言います。私が持っている水晶玉に触れて下さい。この水晶は能力を見て『ヒストリア』の世界の何処かに転移させるのかを判断させていただきます。転移先は私の他、ここにいる5人の女神が転移しますので、そこで加護を貰ってから転移先に転移させますので良いですか?』


「綾香。俺達が先に行くぞ」

森崎君は綾香達に声をかけて、私にも命令した。


「上川! 分かっているよな? 俺と一緒に来い!」


「.....うん」

私には逆らう気がなく、綾香達について行った。

アンドロメダと言う女神が持っていた水晶玉を綾香達は触って行き、彼女は綾香達に水晶玉の内容を言った。


『貴方達は.....すごいです。先ずそこの男性の方』


「俺ですか?」


『はい。貴方はの能力を持っています』


「本当ですか!」


『そして、隣にいる女性の方達は、の能力を持っています。なので私アンドロメダの加護を与えましょう』


アンドロメダと言う女神は綾香が聖女、安奈が剣聖、瑞希が賢者の資質があると言って綾香達は喜んでいた。

次に私が水晶玉に触れると......アンドロメダはシブい顔で答えた。


『貴方は.....能力がありますわ.....私の加護は与えられませんのでそこの奥に座って居る女神から加護を頂いて下さい』

そう言われて私は奥に座って居る女神の所に行った。

森崎君や綾香達は冷やかしついでに一緒に行った。


「すいません....」


『はい.....どうしました?』


「アンドロメダって言う方から貴方から加護を貰いなさいと言われたので....」


『そうですか....私の加護では与えるスキルは3つしかお渡し出来ませんが....』

女性はそう答えると綾香が女性に尋ねた。


「良いかしら? あの子に与えるスキル一覧を見せて欲しいのでけど?」


『分かりました....』

女性はスキル一覧を出して綾香達に見せた。

一覧を見た綾香達は相談して女性に答えた。


「女神様、この子どう言ったスキルが欲しいのかわからないので私が代わりに言って良いですか?」


『そうなんですね....良いですよ? 貴方はそれで良いですか?』

女性は私に尋ねると横から綾香が小さな声をかけた。


「分かっているでしょうね? あんたは優吾の奴隷だから選択はないの?良い?」


「はい....それでいいです」


「なら女神様、この子に与えるスキルは....「料理」と「生活魔法」であとの1個は女神様に任せますわ」


『分かりました.....「料理」と「生活魔法」と他は私が選んだスキルを渡しますね....これで終わりました』


「ありがとうございます......」

私は女性に感謝の礼をして、先程のアンドロメダと言う女神の所に向った。

アンドロメダと綾香達が色々と質問して、色々なスキルを綾香達に授けた。

そして、アンドロメダは私達に転移先の話を始めた。


『今から貴方達を転移先を決めますが、亜理紗さんだけ別の転移先になりますが?』

アンドロメダはそう言うと綾香がお願いをした。


「あのう。この子も私達と同じ転移先にして欲しいのですが? 私達幼馴染なので一緒に転移して欲しいのです」


すると、アンドロメダはにこやかに答えた。


『わかりました。良いです? 貴方達が亜理紗さんを守るって事で一緒の転移先に転送しますね。転移先は魔王との戦いをしている王国の城の中に送りますね。そこにいる国王から私からの神託を伝えますのでご安心下さいな』


「「「「わかりました」」」」

綾香達はそろって返事して、私は不安な感じをして黙っていた。


そして、私達5人は転移したのであった。

それは....綾香達4人の悪だくみがあったのは言うまでもなった.......。



〇〇〇〇〇

~女神アンドロメダ視点~


私達は召喚した全員を転移させて、白いテーブルを置いてフローネ以外の女神達とお茶を飲んで話をしていた。


『アンドロメダ様。今回の召喚者ってフローネが加護をあげた2人以外全て欲望まるだしの方ばかりですね』


『そうね、フロンティア』


『しかも、アンドロメダ様が加護をあげた4人は一番すごいですね? なんせ勇者と聖女と剣聖と賢者ですもの?』

アテーネはアンドロメダが加護をあげた4人に対して褒めていた。


『ああ。私の方なんか80のジジイに若くしたからスキル1個しか渡せなかったわ。アンドロメダ様はいくつ渡しました?』

とシレーヌは呆れた顔で答えた。


『全部で10個よ? 確かフロンティアとアルテシアは5個だったよね? まあ、フローネの世界だから制限は有るかも知れないわ』


『アンドロメダ様が加護した4人とおまけの1人は何処に転移されたのですか?』

アルテシアはアンドロメダに綾香達の転移先を聞いた。


『確か、『ラインバッハ帝国』の帝都ですわ』


『それって、アンドロメダ様が送り込んだ魔王の所ではありませんか?』


『そうよ。だって今帝国と『スカーレット王国』との戦いの最中だからね? フレーネが以前召喚した勇者パーティの2人が統治していますから。あそこを落とせば後は烏合の衆ですから。だから私の世界でを送ったの』

アンドロメダは答えるとシモーヌが綾香達の事を聞いた。


『アンドロメダ様。本当にあの4人はなのですか?』


『違いますよ? 私が渡したスキルはフローネの世界だと十分な能力を発揮出来ないし....勇者達がを上手く利用したら、もしかしてこの世界で最強になるかも知れないし.....。それに『ラインバッハ帝国』の帝王には、『彼等には捨て石にして使い潰しなさいって。あの子なら上手くやるでしょう』』


『『『『それは面白い』』』』


『でしょう? フローネの世界で、今は勇者と言われる人物がいない。私の世界での勇者、フローネの世界で言うと魔王かしら? それも最強な2人を送り込んでいるから、数年で私達の物になりますわ。私『破滅の女神』アンドロメダがフローネの『ヒストリア』を破滅の世界にしてさしあげましょう!』


アンドロメダ他、4人の女神は.....実は召喚した者の全てをお互いに殺戮させるように送られて何人生き残ったのかを賭けをしていたのであった。

フローネの加護を受けた召喚者は、上川亜理紗と夜明渉の2人のみ。

しかも、亜理紗は見習い職で、渉は無能である。

それを見たアンドロメダ達は大いに笑っていた。


.....しかし、彼女達、いやフローネを入れた女神達は知らなかった。

亜理紗の見習い職はフローネの世界では大きく変化する職で、渉は15年前にこの『ヒストリア』で大魔王を倒した勇者であった事に.......。

亜理紗と渉が『ヒストリア』を救う事になるとは、彼女達には分からなかった......。






 

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