アブとハチと留年生 消えた死骸
「この辺りで間違いはないんですね? 中海さん」
燃える刀を構えて男が言った。
「ああ、部下に追跡をさせておったから間違いないはずじゃ」
「了解致しました。 後は我々にお任せ下さい、プロですから」
「信用しておるぞ、プロじゃからな」
やり取りを終えると、男達は公園へと入っていった。
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まずは私と山下で手分けして情報収集をすることになった。 私は大学内、山下は知り合いのバンドマン達にだ。
二時間後、私達は幾らかの情報を得て大学近くのカフェに集合した。 山下は怪虫がどの方向へ向かって飛んでいたのかという情報を、私は怪物の攻撃方法などのは情報を共有した。
「つまり、怪虫は体長約4kmで獰猛、口に付いている牙で攻撃し、公園を巣にしている生き物ということか」
山下が渋い顔をしながら言った。
「襲われて死んだ奴は聞き込みをした限りでは少なかったから装備を整えればそれなりに戦えるんじゃないか?」
それに私には二度の怪物撃退経験があるしな。
「自信満々だな、柳川。 お前がそこまで生き生きしてるのも久しぶりだ」
「今の私は無敵と言っても過言ではない!」
声を張り上げてみせた。 1000万もあれば留年分の借金を親に返せるし、張り切らない理由がない。
「そんだけ元気なら怪談サークルにもちゃんと来てくれよな、、、」
山下が小声で何か呟いていたが、今の私には何も聞こえない。 山下の手を引っ張り公園へと向かった。
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その頃公園では、二人の男と巨大なハチが対峙していた。 危険な空気が漂っている、燃える刀を持つ男の手が動き、上段に刀を構える。
「怪虫とやらは貴様か、プロの我々の目に留まったが運の尽き。 四肢を切り落としてくれよう」
鎧を身に纏った男が言った。 それに同調するように刀を持つ男がハチの頭を目掛け刀を振り下ろす。
「待て! 私は争いを好まない! 凶行に走ったアブは私自ら葬ったのだ! これ以上何を望むかぁ!」
ハチは刀を前足で横に捌きながら叫ぶ。 しかし二人の男は止まらない、鎧の男がハチの針をへし折った。
「「貴様とて同じ怪虫だろう、依頼主は怪虫の標本を御所望だ。 何、大人しくすれば一瞬で終わる事、プロは長期戦を好まぬ」」
男達が同時に言った。
「待て! 真相を知りたいのだろう? 人間よ! ならば語ろう、あれは、私とアブが」
ハチが言葉を言い終わる前に燃える刀が弧を描き、首を切り落とした。
「標本には出来そうになくなってもうたなぁ、兄者」
「後で繋ぎ合わせれば良い事だ。 依頼主には捕獲成功と伝えておけ、プロはしくじらない」
ハチの死骸を担ぎ、二人の男は公園を去った。 柳川達が公園へと着いた時には、全てが終わっていた。
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