第107話 配信 ダンジョン
「…………はい!『ネイカとリグレ』SFO編!ネイカとー」
「天音コロでーす!」
「…………ちょっとコロさんこちらまで回して頂かないと!姫宮イルもいますわよ!」
「そしてSFO編ではお兄ちゃんも居ます!」
「兄でーす」
「あとはカメラ役の雫ちゃん!」
「よろしくお願いします」
『うおおおおお』
『きたあああああああ』
『待ってた』
配信を切り替え、改めて挨拶を行う俺たち。コメント欄はほとんどが盛り上がっているもので、どうやら二人のリスナーにも俺のことは受け入れられているようだった。ネイカと共に、俺自体の知名度も上がってきているのかもしれない。
「さっきの顔合わせでも言ったけど、今回はさっきのアプデ告知に合わせてダンジョン探索から始めるよー!」
「私たちは一度挑戦していますわね!」
「そうだったんだ!どうだった?」
「うーん…………とにかくヤバかった?」
「そうですわね!私たちはどちらも魔法使いですから、物量に対応できずにすぐ退散してしまいましたわ!」
『涙目退散』
『そんなになのか』
『あれはヤバかったな』
『後衛二枚でダンジョンは無理ゲー』
コラボも配信ということもあってか、そのコメントはネイカ側のものとリグレ側のもので綺麗に分かれている。とはいえ何度もコラボしている配信しゃんおリスナー同士というべきか、どことなく雰囲気は似ていて一体感を演出していた。コラボの時のノリが確立されているのだろう。
「じゃあ、とりあえずは移動しながらダンジョンの説明かな?あとはその辺のモンスターで軽くコンビネーション合わせる感じで!」
「はーい!」
『前衛一後衛三か?』
『兄ってどういうポジなん?』
『魔法って結局何ができるん?補助魔法とかまだ見たことないかも』
俺も、実はSFOが始まってから魔法を使うプレイヤーとは関わったことがないかもしれない。もちろんスキルテイカーのイベントに参加してくれているリスナーが魔法を使っているのは見たことあるが、そういうのではなくちゃんと対面しての関わりではという意味だ。
やはりファンタジーの醍醐味と言えば魔法なので、その魔法が間近で見られるというのはかなり楽しみだった。
…………いや、俺の魔法獣も一応魔法という分類ではあるのだが。
「とりあえずダンジョンの説明からだよね!でも行ったことあるなら二人から説明した方がいいかな?」
「行ったって言ってもホントにすぐ退散したんだよねー」
「そうですわね。いきなり五匹の群れがこう…………しかも小癪なことに耐久型モンスターと魔法型モンスターの組み合わせでしたわ!」
『きつかったなあれ』
『違うモンスター同士で群れてるん?』
『めんどいな』
『一丁前にシールド貼ってきてたな』
異なる種類のモンスター同士で群れているというのは、通常のフィールドでは見たことのない光景だ。もちろん上位種が下位種を引き連れていたりはするが、イルの話のように明確な役割分担ができるような組み合わせの群れは見たことがない。
ネイカはそんなイルの話を受けて、ダンジョンの説明を開始した。
「それこそがダンジョンの特徴なんだよね!通常のフィールドとダンジョンに明確な境界線はなくて、さっきの話に出てきた『異なる種類のモンスターの群れ』とか『宝箱』が出てくるようになったらそこがダンジョンって言われてるの!それで、ダンジョン内では絶対にモンスターが群れで存在してて、その群れを全部倒すと、普通の経験値やドロップに加えて追加ボーナスが貰えるんだよね」
「私たちは初戦で敗退したからまだ追加ボーナスは見たことありませんわね」
『追加ボーナスか』
『アプデの報酬の追加ってそれのことかな』
『宝箱は?』
「宝箱の方は、なんか色々入ってるらしい!お金SP通常アイテム素材装備…………種類も量も結構バラつきがあって、もしかしたら極低確率で伝説級のアイテムが出るなんて話もあったりなかったり?」
「伝説級のアイテム?」
「うん。未発見の伝説級アイテム」
「未発見って…………まあ可能性は否定できないんだろうが…………」
『見つかってないならないのと同じだよ』
『釣り文句かな』
『とにかく夢があるのはわかった』
誰も挑戦しないから、そんな曰くが生まれたのだろうか。
今回はアールの街周辺ということでレベル帯的には少し余裕のある攻略となるので、報酬目的というよりは検証目的の攻略となっている。
「あとはボスだね!各ダンジョンにはダンジョンボスがいて、これも倒すとボーナスが出るって話だけど、今のところ討伐報告数も少なくて何か特別な報酬が出たって話もないみたいだね。まあアップデートで追加される限定報酬っていうのはこのボスの事なんじゃないかな?」
『むしろ今までなかったのか』
『いや、流石にあるだろ。通常報酬の方に限定が追加されるんじゃないの?』
『そのボスって限定のボスなん?』
「あー、うん。ダンジョンボスはダンジョン以外では確認されてないね。でも違うダンジョンに同じダンジョンボスが出たっていう報告はあったみたい。普通に出てくるモンスターはダンジョンの外でもたくさんいるいつものモンスターだね!」
「私たちの時のも近くのフィールドにいるモンスターの組み合わせでしたわね」
『限定ボスで専用報酬なかったらバグだろ』
『専用の実績ならあるから…………』
『低レベルのダンジョンではボス報酬が落ちないとか?』
ネイカの話を聞いて、様々な予想を展開するリスナーたち。
俺も話を聞いた限り、最後のコメントと概ね同じ意見だ。ただ、落ちないというよりは確率が低すぎる方の気がするが。
「とまあ、ダンジョンに関する説明はこんな感じかな?あとは実際に入ってみてからで!」
「それじゃあお互いのスキルの確認ですわね!私お兄様の魔法獣が見てみたいですわ!」
「はいよ」
『魔法見せて』
『魔法獣っていっぱいいるん?』
『今日はどこまでやるの?』
ネイカによるダンジョンの説明を終えた俺たちは、今度は実際のダンジョン攻略へ向けてお互いのスキルを確認し合う時間へと移るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます