第6話 配信 スライム
「とか言ってる間に、第一モンスター発見だよ」
あれから数分もせず。俺たちは、SFOの世界で初めてのモンスターとの遭遇を果たしていた。
そのモンスターは、さすがの俺でも一目でわかる。MMOに限らず、RPGの定番も定番のスライムだ。
『待ってました』
『やっぱり最初はこいつ倒さないとな』
『親の顔よりみた光景』
コメントも一段と盛り上げてくれる、序盤の心の支えである。
「まあ、スライムに負けるわけにはいかないよね」
ネイカが剣を構えながらそう呟く。
『フラグ』
『フラグ』
『まさか……な』
『お兄さんは戦わないの?』
「お兄ちゃんは見学だよ。SFOはスキルがないとダメージ入れられないからねー」
『なるほど』
『俺もネイカちゃんに守られたい』
『裏山』
『お兄さん見てるー?』
見てまーす。
なんて、声に出して返事はしないが。
そんなことを考えているうちにネイカとスライムの戦闘が始まった。
とはいえ流石に序盤敵だということか、スライムはネイカと対峙してもほとんど身動きは取らなかった。というか、ネイカに向かってゆっくりと動いていた。
「……『スラッシュ』」
少し様子を見ていたネイカがスキルを発動させながらスライムに突っ込んでいく。恐らく、あの動く速度がスライムの移動速度だと判断したのだろう。
それは実際その通りのようで、スライムはネイカが迫ってきても躱すような動作は見せずにネイカのスラッシュによるダメージを受ける。
『おっそ』
『さすがスライム』
『俺でも勝てそう』
『むしろ勝てなきゃヤバいだろw』
『VRMMOって結構緩いのか?』
『このご時世にここまで弱いスライムも珍しい』
一連の流れを見た視聴者が思い思いのコメントを書き込む。
その間にもネイカはほとんど動かないスライム相手にスラッシュを二発撃ちこみ、スライムを撃破エフェクトのポリゴンへと変えていた。
「うーん、手ごたえないなあ」
「全然動かなかったな」
「他のVRゲームだともっと動くんだけどねー」
「……貰えた経験値も1だな」
『1w』
『さすスラ』
『古き良きスライム』
「それじゃあスライムさんにも挨拶したことだし、お兄ちゃんのスキル獲得を最優先していくよー」
試し斬りも終えたところで、ネイカが今回の目的を説明した。モンスターを十種類見つけることと、実際に解析スキルを使って魔法獣を解放することだ。
『面白そう』
『召喚というよりは魔法で獣を生み出すって感じなのか』
『弱そう』
『自力で戦え』
「自力で戦えって言われてるよお兄ちゃん?」
「え、あー……頑張ります……?」
「もー、気の利いたこと言ってよー」
『キラーパスw』
『もぉ~』
『もぉ~』
『そんなコメ拾うなw』
『もぉ~』
無茶ぶりに困る俺を見て、ネイカが楽しそうに笑う。
その後も適当な雑談をしながら、森に住むモンスターを探し回ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます