第3話 剣聖シオン
「ここは、モンスターが多いから早くお家に帰った方がいい。帰れるかい?」
なんだ、子供扱いされてる気がする。
よく見てみると、目線がいつもより低い気がする。そして身体が異様に軽い。まさかーー
「僕って子供に見えます?」
「ああ。7歳くらいの男の子だろ?」
どうやら子供の年齢で転生しているらしい。とりあえず、この場をごまかすか。
「実は、父親と旅をしていたのですが、モンスターに殺されてしまって…。」
「なんということだ!では、帰る家もないのかい?」
子供っぽく、小さく頷いた。
「それはいけない。良ければ、近くの村まで送ろう。頭は大丈夫かい?」
「頭はタンコブくらいで治ってますので、大丈夫です。村までよろしくお願いします。」
2人は、村に向かって歩き始めた。これはチャンスと、この世界の事を聞いてみる。
どうやら、この世界は最近まで魔族の侵略を受けていたらしい。そこを勇者一行が、魔族を蹴散らし、魔王を封印することに成功した。まだ、魔族の残党のモンスターは居るが、だいぶ穏やかな世界になったと。
「もう村に着くはずだ。ちょっと村の村長と相談してみようか。」
!!!!!!!
「何っ!?」
急に赤髪のイケメンが驚く!
次の瞬間、目の前でズドーンっと大きな音がする。煙が上がってよく見えないが、なにか大きな物体が立っている!
「なぜ、貴様が…!?」
煙が消えると、そこには2メートル以上の大男が立っていた。筋肉隆々で、黒光りし、頭部に角が2本生えている。あきらかにボス級だ!
「おお、久しぶりじゃないか。剣聖シオン。」
どうやら、この赤髪イケメンと知り合いのようだ。
「お前は…封印されていたはず!?何故ここに…俺を倒しにきたのか!魔王!!」
え…イマナンテ。
「いや、お前に用はない。そこの小僧に用がある。」
「えっ…俺!?」
「異世界転生してきた奴は、皆殺しにしてきた。お前たちは危険だからな。」
ちょっ…また死ぬのはゴメンだ!
「させるかっ!!」
剣聖シオンが、剣で斬りかかる!
が、軽く片手で弾かれ吹っ飛ぶ!
「ぐはあっ!」
「さらに力を付けた俺に敵うわけなかろう。では、異世界人よ、死ね!」
ゆっくり歩き始めたと思った瞬間
瞬時に目の前に移動してきた!速すぎる!
「死ねーーーー!!!」
マジか…もう死にたくない!!
魔王は右拳を振り下ろす!!
その瞬間!俺の身体から白い光の刃が飛び出した!!
「ぐはあっ!?」
白い刃は、魔王の腹部を貫いている。
「何が起きたんだ…?」
「この力は…やはりなにか企んでいるとは思ったがこういうことだったか。」
魔王は、何か呟きながら吐血している。
すると、魔王は傷ついた腹部を押さえながら呪文を唱えると、一瞬でその場から消え去った。
「居なくなった…とりあえず、窮地は脱したかな。」
何が何だか分からないが、命は助かった。それだけで、今は良しとしよう。
先程、シオンと呼ばれていた人を見に行く。
大丈夫、呼吸はしているため気絶しているだけだろう。
しばらくして、シオンは目を覚ました。
「魔王は!?どうした!?大丈夫か!?」
めちゃくちゃ混乱していたが、もう魔王は居なくなったと話す。そしてさっき起きた事を説明する。
「そうか、光の刃か…。魔王に傷を負わせるとは、とんでもない力だな。君のスキルが関係ありそうだが。まあ、無事で良かった。それにしても、魔王があれ程までに強くなっていたとは。」
「どうして魔王を知っているんですか?」
「昔、勇者と一緒に倒しにいったんだよ。」
待って、この人メチャクチャ凄い人なんじゃ…
「もう私も老いた。昔ほどの力は出せないが、君の指導役にはなれるかもしれない。どうだね、私のもとで修行しないか?」
「マジですか!師匠、お願いします!」
「その調子のいいところ、あいつに似ているな。」
剣聖シオンはニコッと笑っている。
ーーーーーーーーーー
それから、10年が経過した。
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