第6話 亜人奴隷制度の歴史と変革


 第4代国王の、ツ・カンラン・ジンヲンの行った亜人奴隷の奨励を行った事が、呪いとなって3世代で直系男子が絶えたと、奴隷を否定する国からは噂されたのだ。


 ただ、ツ・エイワン・クインクヲンは、その時の為に、自分の子供達に代々宰相家として国王を助けるツワ家と、もう二つのツヤ家とツフ家を大公家として用意しておいた。


 その事で国王家のツ家は大公家によって、養子縁組され、引き継がれることになっていた。


 第7代国王ツ・ランジン・エイカンの次女とツフ家の次男と結婚していた事で、ツフ家の次男に皇室のツ家を継がせて、第8代国王にしたので、大きな混乱にはなってない。




 最後に出来た区画の第9区画においては、緩和されてはいるが、運が悪ければ、人攫いにあう事もある。


 また、金糸雀亭の様に亜人奴隷を使ってはいるが、人攫いにあうのを防止するために、奴隷の亜人に新たにギルドが奴隷紋を刻み直しをする店も多い。


 ギルドの奴隷紋契約は、無料で行われるのだが、その際の条件として主人側にも契約を結んでもらう事が条件となっている。




 その主人側の契約とは、奴隷に対して暴力を振るわない事と、非人道的な命令を行わないの2つであって、それに違反した場合は、命令者の行動の自由を奪うというものだった。


 なお、その契約に反した主人は、その命令の度合いによって、体の自由を奪われる様になっている。


 契約に違反して自由を奪われた主人には奴隷が献身的に看病することになっており、自由を奪われた主人が死ぬ事は無いが、主人が動けない間は、奴隷の介護を受ける事になる。


 また、暴力などを振った主人は、動けない時の介抱によって奴隷の有り難みを味わいその後の態度が変わってくるという。




 ギルドの奴隷紋についてのアフターケアとして、奴隷が人攫いに奪われた場合は、追跡可能なので、ギルドに届ければ、ギルドが率先して、冒険者と国の警ら隊か時には、軍が出て奴隷の保護が出来る様になっている。


 また、他国でギルドの奴隷紋が付与されている奴隷を売買するにしても、大陸全土に、ギルドが国を超えてつながっている為、他国で販売も出来ず、近年まで帝国だけが、祐逸の販売先だったが、それもギルド帝国支部が出来たことで、奴隷攫いの組織の資金源を奪うことになった。


 ギルド帝国支部ができる前は、帝都内で奴隷攫いも横行していたが、大半がギルドの追跡によって、大きな奴隷攫いの組織は、捕らえられたか、廃業して帝都を離れてしまうか、街道沿いで盗賊団となっていたりする。




 第9区画は、次期皇帝と決まっているツ・リンケン・クンエイによって、ギルドを誘致するために、4年前に父である、第21代皇帝のツ・リンクン・エイクオンを説得して、ギルド支部を誘致させた。


 ツ・リンケン・クンエイは、建国以来初めて、次期皇帝を現皇帝から指名を受けている。




 このツ・リンケン・クンエイは、現在、帝国軍の最高司令官として軍を取りまとめているのだが、政治にも軍事にも長けていると言われている。


 ギルドと帝国の間に入って、360年間ギルドの支部の設置を拒んでいた帝国を説き伏せ、ギルド支部の設立に貢献している。


 その際には、開発中だった、帝都の西側の第8区画の開発を途中で打ち切って、新たに南側に第9区画を作って、ギルドの誘致を行なっている。


 ギルド側に配慮して、奴隷商人と、それに類する商人達を、この区画に入れない様に、特別区の様な管理をさせている。


 ただ、表立って行なっては居ないが、この区画に独自の行政所を儲けるなどして、ギルドにも配慮をしている。


 ツ・リンケン・クンエイが、ギルドを利用することで、軍の魔物への対処が、東の森に集中する事で、南の王国と北の王国を結ぶ、東街道の拡充と、魔物からの安全性を上げ、途中の宿場の整備も行なって、交通面について大きく貢献している。


 最初は、ギルド支部の誘致を嫌がっていた貴族も居たのだが、ギルドを誘致して国内の魔物退治をギルドに下請けとして利用した事で、今まで、各地に魔物討伐の為の部隊を東の森に集中したことで、東の森の開発も進み、利用可能な土地の拡大と、街道を使う行商人が増えた事による通行税の増加によって、ツ・リンケン・クンエイの手腕を疑う者は誰もいなくなった。


 そのため、現皇帝から受けている次期皇帝の座を、皇族と貴族からも認められている。




 また、この第9区画の亜人奴隷の奴隷紋は、ギルドが行ったものが多く、ギルドの魔法紋の複雑さから、この辺りの亜人奴隷の奴隷紋を解除して、自分たちの奴隷紋を刻む事が出来ないと言われている。


 ギルドの奴隷紋には追跡可能な魔素を流すので、攫っても奴隷が追跡されてしまうので、直ぐに見つかってしまう。


 直ぐ追跡されてしまうので、奴隷商人ごと捕らえられてしまうのだ。


 奴隷紋の解除をしようとしても、解除に手間取っている間に捕らえられてしまうので、奴隷商人もギルドの奴隷紋が付与された亜人を攫う事はしない。


 その奴隷紋についても、ギルド側にツ・リンケン・クンエイが働き掛けて、表向きは奴隷としての立場ではあるが、アイデアをツ・リンケン・クンエイが出して、ギルドが実現したと囁かれている。




 そのせいもあって、帝都内における奴隷用の亜人攫いの件数は下がってきているが、その代わりに街道沿いの旅人を襲う事案が増えてきたのだ。


 その為、アメルーミラもその犠牲になったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る