大ツ・バール帝国の亜人奴隷制度
第5話 亜人奴隷制度
大ツ・バール帝国は、先代の第20代皇帝ツ・エイデル・リョウリンによって、ツ・バール国を、大ツ・バール帝国と改名し、国王を皇帝とし、そして、国民を臣民と呼ぶように変更した。
国名の頭に、「大」を冠するのは、他国より自分達種族が上だと主張するために行う。
それは、自己顕示欲の賜物であって、他国との格付けをアピールするために行なっている。
ツ・バール国は、300年程度の新興国であったのだが、それを第11代宰相である、ツワ・リンデル・リョウクンが嫌ったのだ。
国内の三大公家を自分の弟と息子達に継がせて、なおかつ、国王も継がせたことで、ツワ・リンデル・リョウクンが主導して、国名を、大ツ・バール帝国と改名し、国王を皇帝と呼ばせ、国民を帝国臣民とした。
流石に、国の歴史の改竄は行わなかった。
建国の父である、ツ・エイワン・クインクオンの話を改竄する勇気は無かったようだ。
国名の変更は、ツ・エイデル・リョウリンによって布告されたが、実際にそれを指示したのは、ツ・エイデル・リョウリンの父である、第11代宰相である、ツワ・リンデル・リョウクンだったという。
第11代宰相である、ツワ・リンデル・リョウクンは、自分の三男を第18代国王の次女と政略結婚させる。
第18代国王は、病弱で、時々、病にふせっていた。
ただ、上に長女と次女を授かった後に長男を授かった。
第19代国王候補としての世継ぎもあり安泰かと思っていたのだが、病弱だった第19代国王は、長男が成人する前に崩御するので、成人前の長男に、第20代国王に据えるのだが、成人前に事故死してしまう。
そのため、第21代国王には、第19代国王の次女と結婚していた、宰相家の三男である、ツワ・エイデル・リョウリンを、国王に据えることになった。
ツワ・エイデル・リョウリンは、ファミリーネームを皇族の名前である、ツ家に入ることになったので、ツ・エイデル・リョウリンとして、第21代国王に就任している。
建国当初のツ・バール国は、北の王国の庇護下にあり、東街道を通行するため、魔物の護衛を行なっていた。
そのおかげで、南の王国と北の王国の交易ルートを確保したことで、建国の父であるツ・エイワン・クインクオンが、北の王国の庇護下で、ツ・バール国を建国した。
建国後のツ・エイワン・クインクオンは、不毛の地とされた東の森の西側に農業を起こすことに成功する。
農業の成功は、広大な不毛の地を人の住める土地に変えた。
当初は、建国当時の人々と細々と、農業を営んで、自分達の食糧を確保していたのだが、生産が追いつかなくなると、近隣諸国の食糧事情の改善のため、食べるものに困る人々の救済のためと称して、移住を募った。
その条件として、帝国で農地を与えることを約束して、農家の三男坊以下の小作人を対象として、移住を募ったのだ。
その話を聞いた、小作人達が、農地が持てるということで、近隣国の農家の三男以降の若者を中心に移住する人が増えた。
帝国建国と同時に大規模な人口の流入が起こったのだ。
364年前に、大ツ・バール帝国(建国当時の国名は、ツ・バール国)の建国者であるツ・エイワン・クインクヲンが、不毛の地と言われていた東の森の西側でも、作物を作る事に成功した。
不毛の地で作物の生産を拡充する為、近隣諸国の農家の三男以下を対象に移住者の募集をかけている。
当時は、どの国も食糧難の時代であり、特に、農家の三男以下は、長男の家の近くに家を作り、長男の家を手伝う事で、ギリギリの生活をする程度だった。
各国においても、食べる事がやっとの状況の農家の三男以下の生活保障については苦慮していた。
そんな、三男以下を対象に農地を与えることを約束して募集を掛けたところ、多くの近隣諸国の食糧事情の解消ため、各国も協力的に支援してくれた事で、建国と同時に大きく人口増加が起こっている。
それに伴って、帝都周辺に農地の拡充の為の道具の生産拠点になる土地を準備すると、農具の販売目当ての鍛冶屋と行商人の流入が起こったのだ。
農業人口の流入によって、農具用の鍛治、鍛治用の材料、近隣の農家の作物の買取、そしてその人たちの為の食堂、宿、借家と産業の拡充が進み、帝都の発展が進んだ。
新たな農地の拡充が帝国を急激な発展を生み帝都を発展させた。
その後も発展が進み、帝都の拡張は進み現在では9番目の区画が整備された。
ただ、第4代国王である、ツ・カンラン・ジンヲンの代になると、拡大された農地が、管理する農家の人手を確保する事が困難になってきた。
それまでは、各国の農家の三男以下を受け入れて、農業生産を行い、穀物を他国へ輸出するまでに至っていたのだが、帝国から穀物の輸出によって、近隣諸国の状況が変わったのだ。
それまでは、各国の農家も穀物を中心に栽培を行なっていたのだが、帝国から安価な穀物が輸入される様になると、高額な嗜好性の高い作物に、徐々に、シフトしていた事で、各国の農業事情も好転していた。
その事によって、以前の様に各国から農業人口の流入が減ってしまったのだ。
生産量は増えていたのだが、更なる収入の為に、農業労働力の確保のために、ツ・カンラン・ジンヲンは、亜人奴隷を奨励して、農奴として雇う事を認めたのだ。
亜人奴隷については、各国とも、徐々に、奴隷制度の撤廃を行なっていた事もあり、この決定を牽制した。
帝国では、人属至上主義をとり、人属以外の種族は奴隷にすることを許されているのは、この、第4代国王であるツ・カンラン・ジンヲンが定めた亜人奴隷の奨励が発端になっている。
この政策が、現在も続いており、帝国内で亜人奴隷が認められていることから、人属至上主義が起こってしまったのだ。
ただ、奴隷商人としては、新たな市場を得た事と、各国で奴隷制度の廃止が進んでいたため、多くの奴隷商人達も、ツ・バール国に移転する事になる。
ただ、この亜人奴隷の奨励を行ったことで、皇室は亜人の呪いにかかったと揶揄される様になった。
第4代国王の、ツ・カンラン・ジンヲンは、亜人奴隷を奨励して、10年経たずして他界して、その後を継いだのは、長男のツ・カンヲン・クヲンジンなのだが、病弱だったこともあり、即位と同時に、北の王国からの縁談もあったのだが、病弱だった事で、婚儀は見送られていたのだが、即位後2年で他界してしまった。
ただ、ツ・カンヲン・クヲンジンには、ツ・ランヲン・ジンクオンという弟がおり、すぐに第6代国王として即位している。
これで安定したかと思われたのだが、第7代国王ツ・ランジン・エイカンに代替わりした時に、大きな変異が起こった。
ツ・ランジン・エイカンは、第一子に男子が誕生したのだが、幼少時に他界してしまい、残りは、女子1人となってしまったのだ。
その後、正室から、もう2人の子供を授かるが、どちらも女子だったことから、皇室の維持の為に、ツ・ランジン・エイカンに側室を持たせる事となった。
ただ、3人の側室を持たせて、子供を授かったが、全て女子となってしまった。
ツ・ランジン・エイカンは、結果として六女をもうけるが、男子の誕生なく他界してしまうこととなり、皇室の直系男子が途絶えてしまった。
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